グランドスラム大会でスーパースターと対戦するのは夢の実現? 大敗の危機? それとも両方?

写真はラファエル・ナダル(スペイン/左)とキャメロン・ノリー(イギリス)(Getty Images)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)でのラファエル・ナダル(スペイン)に対する男子シングルス3回戦に先立ち、キャメロン・ノリー(イギリス)は敬意と自信が健全に交じり合ったある種の感情を適切な言葉で表現した。

『少し怖がってはいるが、過剰に怖気づいている訳ではない。畏敬の念を抱きつつも、過剰なほどではない』

 これはノリーのような選手――今週までグランドスラム大会大会で6度しか勝ったことがなかった世界ランク69位――が彼らのスポーツ最大の舞台のひとつで、ナダルのような選手に立ち向かうときの難しいバランスだ。

 グランドスラム大会で『ビッグ3』のメンバーやセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のような偉大な選手と対戦するということは、立ち向かう者に多くのチャンスを提供する。スポットライトに当たる瞬間、アイドルとの対戦、ベストの選手に対して自分の力を試せること、キャリアを変えるかもしれない結果を掴むチャンスなどなど…。

 或いは逆に、一方的な敗戦の喫する可能性もあるだろう。ある者たちは、それでも構わないと思っているはずだ。

 テキサス・クリスチャン大学でのプレーを経てイギリスを代表する選手になった25歳のノリーは、ロッド・レーバー・アリーナで第2シードのナダルと対戦する前に「信じられないような経験」をする可能性について語った。そしてその土曜日の3回戦では、起こることの「すべての瞬間を楽しむ」ことが必要であることについても言及した。

 彼はナダルは「伝説的選手」だということを認め、その少しあとには「ただのもうひとりの選手」であると考え、彼に「自分の持てるものを見せる」と誓った。結局は誰も驚くことではないが、持てるものを見せつけて7-5 6-2 7-5の勝利で21回目のグランドスラム制覇にまた一歩近づいたのはナダルのほうだった。

「ラファのような大物とプレーするのは常に素晴らしいことだよ」とノリーはコメントした。

 スコアに関しては、ナダルがマイケル・モー(アメリカ)と対戦した2回戦の6-1 6-4 6-2よりは幾分競っていた。世界177位で23歳のモーはナダルを「僕が本当に小さな子供だったときから何年にも渡って見てきた選手」と呼び、この種の試合は「間違いなくの僕が夢見ていたものだ。この上なく幸せだよ」と話した。

 土曜日に四大大会で初の4回戦進出を果たした第24シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)は、2019年フレンチ・オープンでロジャー・フェデラー(スイス)に対して3回戦デビューしたときのことを思い出した。

「あれは厳しい3回戦の相手だったよ。彼は僕が思うにすべての中でもっとも偉大な選手だ。だから試合に勝つことよりも、経験について考えがちになってしまうものなんだ」とルードは振り返った。
 
 プレーヤーたちはこのような別格の存在の相手と対戦するたび、次の対戦ではそれほど怯えさせられなくなるという。勝つチャンスがまったくないと考えて試合に臨むことと、ある種の自信を持って臨むこととの間には違いがあるのだ。

 2016年ウィンブルドンのジュニアの部チャンピオンである19歳のアナスタシア・ポタポワ(ロシア)は、1年前のオーストラリアン・オープン1回戦でセレナに0-6 3-6で敗れた。そのリマッチは金曜日の3回戦で実現し、ポタポワは最終的に6-7(5) 2-6で敗れはしたが第1セット奪取まであと1ポイントと迫り、試合はずっと興味深いものになった。

「“どうしよう。私はセレナとプレーしているんだわ”なんていうふうには感じなかったわ。そういうのはもう経験済みよ。私は以前より、頭の中でもっとリラックスしていた」とポタポワは説明した。

 グランドスラム大会でドローが決まったとき、ある選手はそれを研究する。しかし見たところほとんどの者は、次の対戦相手より先のことを知るのを避けようとしているようだ。恐らくそれは縁起担ぎのため、あるいは決まり文句の通り「1試合1試合に集中したい」と思うからかもしれない。

 しかしながら必然的にスーパースターとの早期対戦があるときには、それを無視するのは難しい。世界99位で24歳のニーナ・ストヤノビッチ(セルビア)は、グランドスラム大会で一度も勝った経験がないままメルボルンにやってきた。そんな彼女にとって、1回戦より先を見るなどとんでもないことだった。

「それから私のコーチが『もし勝ったら2回戦で誰と当たるか知ってるかい?』と聞いてきたの。『誰?』と聞くと彼は『セレナだ』と言ったの。私は『何? 本当? 現実なの?』と聞き返したわ」とストヤノビッチはAP通信とのビデオインタビューの中で明かした。

「テニスの練習をしてきたこの長い年月を通して、私の願いはセレナと対戦することだったの。私は彼女のテニスが大好きよ。私は彼女のテニスを崇拝しているわ」

 もし最終的スコアが6-3 6-0でセレナの勝利となったあとなら?

「私は本当に楽しんだわ。例え自分が負けたとしてもね」とストヤノビッチは自分が負けた試合について微笑みながら言った。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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