「ミスが多かったのは強く打つ必要があったから」大坂が窮地を脱して準々決勝へ、相手は曲者シェイ・スーウェイ [オーストラリアン・オープン]
第10シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が第7シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)を6-4 2-6 6-4で倒して準々決勝進出を決めた日、同じサイドのドローのもうひとつの準々決勝は第3シードの大坂なおみ(日清食品)とシェイ・スーウェイ(台湾)の対戦に決まった。
2つのマッチポイントを凌いだ大坂は最後の4ゲームをもぎ取って第14シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)との元世界ナンバーワン対決を4-6 6-4 7-5で制し、辛うじてその舞台にたどり着いた。
グランドスラム大会を3度制した実績を持つ大坂は、そのうちのひとつである2019年に優勝した大会の準々決勝に戻ってきた。大坂はUSオープンを含む昨年8月から続いている連勝数を「18」に伸ばし、同じく最近好調だったムグルッサの進撃をストップさせた。
この日曜日に先立ちグランドスラム優勝歴2回のムグルッサは、このオーストラリアン・オープンで1度しかサービスブレークを許していなかった。彼女は最初の3試合をストレートセットで勝ち上がり、その過程で合計10ゲームしか落としていなかったのだ。
しかし大坂はその涼しくて曇り空だったこの日、2020年オーストラリアン・オープン準優勝者でもあったムグルッサのサービスゲームを5度ブレークした。
「彼女がこの試合に先立ち本当にいいプレーをしていたと知っていたから、私は少し怖気づいていたわ。ストレスがかかるポイントで、私はとにかく自分だけに集中しなければならないと感じていたの。そして今日の私は多くのアンフォーストエラーを犯したかもしれないけれど、それは強く打つ必要があると感じていたからなの。というのも返球が短くなったら、彼女は間違いなく決めにくるからよ」と大坂は振り返った。
この試合での大坂は36対28と相手より多くのアンフォーストエラーを犯したが、ウィナー数では40対24と大きく上回っていた。
「彼女は素晴らしいプレーをしているわ。強烈なショット、ビッグサーブ。それが彼女に多くのフリーポイントを与えているのよ」とムグルッサはコメントした。
カギとなる瞬間は、大坂が最終セット3-5とリードされて自分のサービスゲームで15-40とされたときに訪れた。結果的にムグルッサは、このチャンスで試合を終わらせることができなかった。ムグルッサが最初のマッチポイントを迎えた場面で、大坂はこの日決めた11本のサービスエースのひとつを時速191kmで叩き込み、2本目はムグルッサがフォアハンドをミスしてしまった。
そしてその15分後、試合は終わっていた。
2019年フレンチ・オープン準優勝者で第19シードのマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)を6-4 6-2で破ったことで、世界71位で35歳のシェイはプロ化以降の時代で初めてグランドスラム大会の準々決勝に至った最年長プレーヤーとなった。
シェイはフォアバック両サイド両手打ちを含め、“スーウェイ・スタイル”と呼ばれるトリッキーで独特なテニスをする。恐らくそれに煩わされたのか、ボンドルソバはウィナー数よりも13本多い31本のアンフォーストエラーを犯した。
今大会はシェイにとって、38回目のグランドスラム本戦の舞台となる。彼女は2回戦で、2019年USオープン優勝者で第8シードのビアンカ・アンドレスク(カナダ)を倒していた。
記者が彼女に年齢についての質問をしたとき、シェイは「私はまだ18歳のふりをしようとしているの」とジョークで返した。
画期的な勝利をおさめたにもかかわらず、シェイは「あまり実感がわかないわ。だって観客がひとりもいなんですもの!」と冗談を言って笑っていた。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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