予想外の準々決勝カード、ディミトロフ対カラツェフ [オーストラリアン・オープン]
これはオーストラリアン・オープンで誰も予想していなかった準々決勝のカードだった。USオープン優勝者で昨年の大会でも準優勝した第3シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を6-4 6-4 6-0で倒した第18シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は、アスラン・カラツェフ(ロシア)との大一番へと駒を進めた。
そう、世界ランク114位にしてグランドスラム大会で初の本戦をプレーしている27歳のカラツェフだ。この大会で4度目のベスト8進出を決めたディミトロフに関しては、完全な番狂わせという訳ではない。
29歳のディミトロフは世界ランク3位に至ったこともATPファイナルズで優勝したこともあり、これ以前にグランドスラム大会での対戦はなかったとはいえ、この日までに友人でもあるティームとの対戦成績ですでに3勝2敗とリードしていた。
長くテニスの神童と称えられながら、ディミトロフはグランドスラム大会で一度も準決勝より先に進んだことはない。だからこそ彼は、カラツェフのような勢いに乗っている選手を警戒している。
「ここまで勝ち上がっているということは、それはそれなりの理由があるからだ。それは疑いないことだよ。おとぎ話であろうとなかろうと、これは試合なんだ。いつだって準備ができているようでなければいけないよ」とディミトロフは試合後にコメントした。
3回戦で第8シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)から金星を挙げたカラツェフは、今度は第20シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)に対する3-6 1-6 6-3 6-3 6-4の逆転勝利を追加した。
過去9度のグランドスラム大会ではすべて予選敗退に終わっていたカラツェフは、先月にカタール・ドーハで行われた予選でついに3試合を勝ち抜いた。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる影響を受け、今大会の予選は史上初めて国外で開催されていた。
この快進撃でカラツェフは、プロ化以降の時代でオーストラリアン・オープン準々決勝に進出した3人目の予選勝者となった。このようなことが起きたのは、1989年のゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)以来のことである。彼の前に初のグランドスラム大会でベスト8に至った男子選手は、1996年ウインブルドンでのアレックス・ラドレスク(ドイツ)だった。
世界114位の選手が同大会でベスト8まで勝ち残ったのは、1991年のパトリック・マッケンロー(アメリカ/ジョンの弟)以来のことである。
「僕はたくさん努力を積んでいたんだ。その成果がこのタイミングで出たんだよ。それがいつ起こるかは分からないものさ。それがここで起きたんだ」とカラツェフは遅咲きの快進撃について語った。
ティームは日曜日にいくつか身体の問題を抱えていたが、それを言い訳にしたりくどくどと説明したりはしなかった。しかしながら金曜日の夜に2セットダウンから挽回してニック・キリオス(オーストラリア)との死闘の影響で、彼がまだ疲れていたことは明らかだった。
「ちょっとした身体の問題に加えて本当に付いてない日で、さらに彼が素晴らしい選手だという事実もあった。だからこの3つが重なれば、こういう結果は起こり得るものだよ」とティームは話した。
「僕もマシンではないということさ。ときどきそうなりたいと思うことはあるけどね。たまにはどうしようもなくついていない日というものがあるものだよ。100%じゃない状態でコートに出た場合、このレベルではすぐにこのような結果になる。それが正に今日起こったことだったんだ」(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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