ジョコビッチがオーストラリアン・オープン準決勝で完璧な記録をキープ「今大会で最高の出来だった」
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)はオーストラリアン・オープン準決勝で完璧な記録を誇っており、この日の彼はほとんど非の打ちどころのないプレーでその記録を維持した。
ネットの向こうにいるのが10度目の予選をついに勝ち上がり、27歳にして初めてグランドスラム大会本戦に出場した世界ランク114位のアスラン・カラツェフ(ロシア)であっても関係なかった。ジョコビッチは試合開始から50分もの間、1度しかアンフォーストエラーを犯さなかった。
最初の第7ゲームは競ったものとなったが、ジョコビッチはそこから8ポイントを連取して第1セットを取った。そのまま快調に進むかに思われたが、第2セットの終わりにカラツェフが波に乗った時間帯はあった。
アンダードッグの男に応援が流れていくのを感じながら――メルボルンで新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐために5日間のロックダウンが発令されたためにファンはしばらく会場を訪れることを禁じられていたが、この日はロッド・レーバー・アリーナに騒々しい観客たちが詰めかけていた――、ジョコビッチはギアを上げて6-3 6-4 6-2で試合を終わらせた。
この勝利でジョコビッチはシーズン最初のグランドスラム大会の準決勝での戦績を9戦全勝とし、2度目の3連覇と9度目の優勝まであと1勝と迫った。
「勝てば勝つほど、また戻ってきたくなるんだ。恋愛関係は続いているよ」と世界1位のジョコビッチはコメントした。
第4シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)と第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)がもうひとつの準決勝で火花を散らす間、ジョコビッチは1日の休息日を得ることになる。チチパスはこの前日、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)との5セットマッチを終えたばかりのところだ。彼は体を休めて試合を観戦し、日曜日の決勝で誰と対戦するかを知るためにポップコーンを用意すると言って笑いを誘った。
メルボルンでの過去の成功を考えると、ジョコビッチは決勝を前に自信を持っているはずだ。彼はすでに同種目での大会最多記録となる8つのタイトルを手にしており、18回目のグランドスラム制覇を目指している。もしそれが実現すれば、男子の最多記録を持つロジャー・フェデラー(スイス)とナダルの「20」にまた一歩迫ることになるのだ。
33歳のジョコビッチはまたロラン・ギャロスで13回優勝したナダルに次いで、ひとつのグランドスラム大会で9回以上勝った2人目の男子選手になろうとしている。ウインブルドンを8度制したフェデラーとジョコビッチは、現在のところ2位の座を分け合っている。
「今の僕にとって、最優先事項は回復だ。僕は十分に試合をし、練習もしっかりしてきたからね。今はオーストラリアン・オープンでもっとも重要な試合のために、必要なエネルギーを集めるべきときなんだ」とジョコビッチは次戦を見据えた。
メルボルン・パークの準決勝でフェデラーやアンディ・マレー(イギリス)のような選手たちを倒してきたジョコビッチは、カラツェフに対しても第2セットを終わらせるためのサービスゲームに入るまではそのようなテニスを展開していた。しかしそこで予選勝者のカラツェフは、そこまで倒してきた3人のシード選手たちに対してやっていたようにプレーレベルを上げた。
第7ゲームを苦労の末にキープしたあと、カラツェフはこの試合で初のブレークに成功してスコアの差を5-4にまで縮めた。
冷静さを取り戻したジョコビッチは2つのセットポイントを手にしたが、そこでふたたび硬くなってフォアハンドのミスと32本のラリーの末のドロップショットのミスでそれをものにし損なってしまった。そして彼は次のセットポイントを掴むまで、逆に2本のブレークポイントを凌がなければならなかった。
そんな訳でカラツェフがフォアハンドを打ち損なって何とかセットを締めくくったあとにジョコビッチは飛び上がって宙に拳を突き上げ、「ヤー、ヤー、ヤー(そうだ、そうだの意)」と叫びながらコートサイドのベンチに戻っていった。
観客たちがジョコビッチの応援に戻り、「ノール!ノール!」と彼のニックネームをコールした。ジョコビッチは第3セットの出だしでブレークし、ひとつ返されたあとにさらに2度ブレークして試合に終止符を打った。
勝利のあとに驚くべき大躍進を遂げたカラツェフについて、「大いに称賛されるに値する」とジョコビッチは評価した。カラツェフは大会後に更新されるATPランキングで、初めてトップ50入りすることが決まっている。つまり彼は、もはや予選を通り抜けなくてもグランドスラム大会本戦に出場することができるのだ。
「このことは僕にとって、大きな自信になるよ。自分のことをもっと信じることができるようになったからね」とカラツェフは今回の快進撃について語った。彼がメルボルンで学んだ最大のことは「自分が誰に対しても競い合うことができる」ということだと話したカラツェフは、今大会を経て一躍トップへの仲間入りを果たした。
3回戦から腹筋の問題に苦しめられていたジョコビッチは当初、それが筋肉の裂傷肉だと主張していた。しかしその後も勝ち続けている彼は、大会が終わるまでは詳細について話すことを拒否している。
カラツェフに対する勝利のあと、ジョコビッチは「この大会全体を通して最高の出来だった」と自賛した。
「素晴らしい気分だ。ボ―ルをしっかり打ち抜くことができたし、痛みはなかったよ。ここまでで最高の試合だったね。適切な瞬間に調子を上げることができた。こんなふうに感じることができてうれしいよ」とジョコビッチは手応えを口にした。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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