大坂のコーチが彼女のプレーへの情熱と分析力を称賛

写真は前哨戦開始前にメルボルン・パークで練習中の大坂なおみ(日清食品/右)とコーチのウィム・フィセッテ(ベルギー)(Getty Images)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)の大会13日目は、女子シングルスとミックスダブルスの決勝が行われる予定になっている。

 大坂なおみ(日清食品)はポジティブな姿勢で臨めているから勝っているのかもしれないし、勝っているからこそポジティブな姿勢でいられるのかもしれない。

 いずれにせよ、それは機能している。第3シードの大坂は準決勝で第10シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を倒した瞬間にマッチ20連勝目を記録し、土曜日のタイトルマッチで第22シードのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)と対戦する。

「彼女がいい態度で臨んでいるとき、彼女は頭の中で何をする必要があるかや何をしたいかを非常にはっきりと認識しているよ。そうやって彼女はいいプレーをするんだ」と彼女のコーチで元選手のウィム・フィセッテ(ベルギー)は教え子について語った。

 名コーチとして知られるフィセッテ氏はかつて、キム・クライシュテルス(ベルギー)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)らを指導していた。2019年に大坂のコーチに就任した彼は今、彼女が成功に付いてくるプレッシャーにいかにうまく対処しているかについて毎日驚いていると打ち明けた。

 23歳の大坂は2020年USオープンで3度目のグランドスラム大会優勝を遂げたが、準決勝でのセレナに対する勝利でもうひとつのタイトルにまた一歩近づいた。

「なおみは試合前に興奮していた様子で、まるで私が自分の子供たちをおもちゃ屋に連れていったときのようだったよ。なおみはコートに出ていってセレナと対戦することにわくわくしていたんだ」とフィセッテ氏は振り返った。

「それを見て僕は、とてもいいことだと感じたよ。何故なら多くの場合、選手は負けることを恐れてプレッシャーを感じるものだからね。しかし彼女の精神姿勢はポジティブな部分を見つめるというものなんだ。例えば『これはまさに私がいたいと望んだ場所。私はこのためにトレーニングしてきた。これこそ私が最高のテニスをしたい瞬間なんだ』という具合にね」

 フィセッテ氏はまた、戦略に関する大坂のアプローチについても称賛した。一例として彼は、大坂がセレナのフォアハンドリターンが試合終盤に不安定になったことに気付き、最後のゲームではそちらのサイドにサーブを入れることで相手のミスを引き出していた点を指摘した。

「それはなおみの一番いいところだ。彼女はパワフルなサービスと強いグラウンドストロークを兼ね備えているが、彼女の能力はそれだけではないんだよ。彼女はコートでしっかり考えてプレーする選手でもあるんだ」

 有力な優勝候補の一角として大会を迎えた大坂に対し、ブレイディは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者と濃厚接触したとみなされために2週間に渡ってホテルの部屋から出ることができない『ハードロックダウン』を課された72人の選手のひとりだった。

 繰り返しになるが、ここでもポジティブな姿勢が役に立った。ブレイディのコーチであるミハエル・ゲゼラー(ドイツ)によると、彼女は文句を言わなかったそうだ。その代わりに彼女は、フィットネストレーナーのダニエル・ポール氏が手投げするボールを打つなどして何とか練習する方法を見つけ出した。

「私たちは正しい方法でその状況にアプローチしました。私たちは『状況を変えることはできないのだから』と言ってマットレスを壁に立て掛け、ダニエルがボールを投げて彼女が少なくともラケットでボールを感じられるようにしたのです。とにかくその状況で最善を尽くそうとしていました。ここまでのところ、すべてはかなりいい結果に繋がっています」とゲゼラーは話した。(APライター◎スティーブン・ワイン/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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