「テニスの普及に役立つ決勝にしたい」準決勝、決勝を語る大坂なおみ [オーストラリアン・オープン]

2月19日、決勝戦に向けて練習で笑顔を見せる大坂なおみ(日清食品)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)の女子シングルス準決勝で、第3シードの大坂なおみ(日清食品)が第10シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を6-3 6-4で倒した。試合時間は1時間15分。

 大坂はいきなりブレークされる苦しい立ち上がりだった。だが、気持ちを切り替えてすぐに反撃した。

「最初は間違いなくナーバスだった。でも0-2からは、相手が何をしてくるかを考えるよりも、自分がコントロールできることをしっかりしようと意識した。彼女が相手のサービスをどうリターンするのかをずっと見てきたから、それを恐れすぎてサービスの確率が悪かった。パーフェクトにサーブをしなかったらどうなるかと意識し過ぎていたことがよくなかったのだと思う」

 そして今大会何度も口にしているリターンへの取り組みがこの試合でも大いに助けになったという。

 「リターンはシーズン前に一番力を入れていた部分。セレナとの対戦ではエースを決められるのはきついけど、それを私がコントロールすることはできない。でも、自分が返せるボールに関しては、うまく中央に返すことで形勢をニュートラルにすることができた」と手応えを口にした。

 この試合で大きな反省点はサービスだったという。

 「これまでの試合に比べて自分のサービスはあまりよくなかった。ダブルフォールトが多かったし、確率があまりよくなかった。相手からのプレッシャーが原因だと思う。ファーストサービスの確率はもっと上げられたかなと思う。でもセカンドサービスが悪くなかったのがよかった」

 彼女はまた、セレナへの特別な思いも語った。

「今日は素晴らしい瞬間、彼女と会うこと自体が素晴らしい。セレナがあとどのくらいプレーできるか分からないと言われると、ちょっと悲しい。こんなことがあり得ないのは分かっているけど、彼女には永遠にプレーし続けて欲しい」

  今大会を勝ち上がる中にも、精神面での成長を自分自身で感じられたという。

「マッチ経験が自分を引き上げてくれた。この大会は(ガルビネ・)ムグルッサ(スペイン)と対戦するまでパニックにならなかった。だからその後はあの試合が大きな助けになっている。今日の試合でブレークされたときもあり、そのあとのリターンゲームで“ブレークできないだろうな”と感じたけど、それを受け入れるしかないと考えた。ある意味関係ない、気にしないと。ポイントは1つずつしかプレーできないのだから」


2月19日、決勝に向けてショットの感触を確かめる大坂なおみ

 決勝まできたからには、優勝への思いは強い。

 「人々は準優勝者の名前をそこまで覚えてないものだと思う。歴史に残るのは優勝者だけ。だからファイトする。相手も同じ数だけ勝ち上がってきているから、一番大きな戦いになる」

 決勝で戦うジェニファー・ブレイディ(アメリカ)との通算成績は2勝1敗。唯一の敗戦(4-6 4-6)は2014年のITF大会だが、2018年と2020年は大坂が勝っている。

 「昨年のUSオープン準決勝での対戦は凄く記憶に残るものだった。(7-6(1) 3-6 6-3で勝利)試合を通して物凄くレベルが高かった。また決勝で対戦するのはまったく驚きではない。チャールストン(6-4 6-4勝利)でも早い段階で対戦したのかな。彼女はスーパーアスレチックだからショットで射抜くのは難しいけど、楽しみにしている」

 この決勝を迎えるにあたり、テニス界全体のことも考えている。

「テニスをしない人もこの試合(決勝戦)を見るから、テニスの普及に役立つような試合をしたい。私はこのスポーツをさらに大きくしたいから」と大坂は大きな志を持って土曜日の決勝戦に向かう。(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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