4度目のグランドスラム制覇を狙う大坂がブレイディとの決勝に臨む [オーストラリアン・オープン]
大坂なおみ(日清食品)がふたたびオーストラリアン・オープンのタイトルを獲得しようとしまいと――間違いなく、彼女は勝利を期待されている――以下の点は確かであるように見える。テニスは今、新しい支配的勢力を手にしているということだ。
もちろん土曜日のタイトルマッチでは、大坂が第22シードのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)に敗れるという可能性は当然ながらある。しかしながら木曜日の準決勝で第10シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)をねじ伏せ、圧倒したのは第3シードの大坂なのだ。
昨シーズンから続けている20連勝の勢いに乗っているのは誰だろうか。すでに世界ランク1位としての時間を過ごしたことがあるのは誰か。オーストラリアン・オープンで2度目のタイトル、そしてグランドスラム大会で4つ目のタイトルを掴もうとしているのは誰だろうか?
そして彼女は、まだ23歳だ。グランドスラム大会を23回制したセレナと同じく、彼女たちのスポーツのもっとも重要な舞台でゴールラインが近づいてきたときに大坂が常に見せつける『決意』もある。彼女はグランドスラム大会準々決勝以降の試合で、合わせて11勝0敗のという記録の持ち主なのだ。
より低いレベルのWTA大会であろうとグランドスラム大会だろうと、もっと安定性を持ちたいと思っていることについて大坂は頻繁に話している。
例えばディフェンディング・チャンピオンとして臨んだ1年前のオーストラリアン・オープンにおける3回戦負けや2019年ウインブルドンの初戦敗退が見せるように、彼女はときどきグランドスラム大会の早い段階でつまずくことがある。
しかしひとたびフィニッシュラインに近づくと、彼女は確実に結果を残すのだ。
「私は“人々は準優勝者を覚えてはいない”というメンタリティを持っています。覚えているかもしれないけど、刻まれるのは優勝者の名前なのです」と大坂は説明した。彼女は日本で日本人の母とハイチ人の父の間に生まれ、3歳のときに家族とニューヨークに移住した。
「私がもっとも激しく戦うのは、決勝の舞台だと思います。それが自分を際立たせる場所なのだと私は考えています」
セレナは大坂が6-3 6-4で終止符を打つまで、オーストラリアン・オープン準決勝で8戦全勝だった。大坂は第2セットで4-4と追いつかれたあと、最後の8ポイントを連取した。試合の終わりにネット際で抱擁を交わしたとき、大坂の頭には「現実の生活の中で彼女(セレナ)をクローズアップで見るというのは常に非現実的な瞬間だわ」という思いが通り抜けていた。大坂は長いこと、39歳のセレナをアイドルとして崇めてきた。
お互いにパワフルなサービスと早いタイミングで捕えるフォアハンドという同じ基本要素を土台としており、コートでの動じない態度を含めてふたりのテニスはかなり類似していると言える。昨年のニューヨークで実現した大坂との対戦で、ブレイディはそのことを感じていた。
「彼女は相手にいいサービスを打たなければならないと感じさせるような圧力をかけてくるわ。彼女は45秒くらいで自分のサービスゲームをキープしてしまうのよ。彼女は凄いパワーで向かってくるから、こちらも攻撃的にプレーして先に攻撃をしなければといけないというプレッシャーがかかるの。そうしないとたくさん走らなければならなくなるんだけど、私はそんなに走り回りたくないわ」と25歳のブレイディは大坂について語った。
「彼女は相手にいいパフォーマンスをしなければというプレッシャーをかけてくるのよ」
ブレイディは大坂に対し、今回はメンタル的ものに対処しなければならないことを認めた。かかっているものの大きさを考えれば、それは当然のことだ。カギになるのは、それがプレーに影響を与える度合いと長さを制限することだろう。
「土曜日に自分がどんな風に感じるかは分からないわ。でも私はその瞬間を楽しみ、ただテニスをプレーしようとするだけよ。そのことについては、とにかくあまり考えないようにしないとね。でも『これが私のグランドスラム初タイトルとなるかもしれないんだ』と考える場面があると思うの」とブレイディはコメントした。
「ええ、間違いなくそういった考えが頭をよぎるでしょうね。もしそうなったとしても、もっと感情をコントロールできるようにするだけよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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