「彼女らしくないミス」に畳みかけた大坂が2年ぶりの全豪優勝 [オーストラリアン・オープン]

ダフネ・アクハースト・メモリアルトロフィーにキスをする大坂

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)の女子シングルス決勝で、第3シードの大坂なおみ(日清食品)が第22シードのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)を6-4 6-3で下し、2年ぶりに女王の座に返り咲いた。試合時間は1時間17分。

 どちらも試合序盤は緊張しているのが伝わってきた。ブレイディのミスに付け込んで大坂が先にブレークするが、大坂も突然ミスを連発してブレークバックを許してし3ー2となる。

 徐々に緊張がほぐれて調子を上げるブレイディに対して大坂はその後もリターンからプレッシャーをかけ続け、5-4からブレイディのサービスゲームを40-15からデュースに持ち込んだ。そして最初のセットポイントでブレイディがチャンスボールをネットに打ち込み、大坂が6-4で第1セットを先取した。

 ブレイディはこのミスを「10回に1回あるかないかの凡ミス。ちょっと自信を奪われたかも」とそのシーンを振り返っている。その心の動揺を大坂は見逃さなかった。

「彼女らしくないミス。プレッシャーを感じているだろうから、チャンスだと思った」と第2セットの立ち上がりから畳みかけ、4ゲームを連取。その後一度はブレークを許すが、最後はラブゲームで締めて危なげなく勝利を手にした。


決勝戦を終えてネット越しに健闘を称え合う大坂とブレイディ

  ブレイディの強烈なショットに差し込まれるなど、パワーとスピードでは相手が優勢だったかもしれない。また、ファーストサービスの確率はともに48%と低かった。それでも大坂は高い技術と強くなったメンタル、そしてオフに取り組んできたリターン技術を駆使して相手を上回った。

「あまりいいプレーができないのは予想通りだけど、一つひとつのポイントを取りにいった。グランドスラムの決勝はどうしても勝ちたい気持ちが強くなり、自分にプレッシャーをかけすぎてしまう。それでもなんとかなった」と大坂は試合を振り返った。

  ブレイディは自分にはまだ身についていない能力が大坂にあると脱帽した。

 「なおみも武器であるはずのサービスがよくなかったから、自分にもチャンスはあった。でも彼女は大事なポイントでハイリスクなプレーができ、必要なときにいいショットが打てる。アグレッシブでプレッシャーをかけてくる能力は誰もが持っている訳じゃない、特別なもの」

 大坂は決勝の前から“相手は初のグランドスラム決勝だから自分が有利”と自信満々に言い続け、実際にその差を見せつけた。大会中もガルビネ・ムグルッサ(スぺイン)戦でマッチポイントを2つ凌いで勝利するなど、成長し続けた。年齢では大坂が2歳下だが、様々な経験を重ねたことで選手としても人間的にも、ブレイディには自分より一回りも二回りも大きく見えたのではないか。(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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