男子決勝は白石光と高畑里玖の早稲田大先輩後輩対決に、連覇狙う松田美咲に挑むは決勝初進出の平田歩 [2020インカレ室内]

写真は白石光(早稲田大学2年)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

全日本学生テニス連盟が主催する「2020年度全日本学生室内テニス選手権大会(第57回)」(大阪府吹田市・江坂テニスセンター/2月19~25日/室内ハードコート)の大会6日目は男女単複の準決勝が行われ、各種目のファイナリストが出揃った。

 男子シングルスは第1シードの白石光(早稲田大学2年)が第6シードの熊坂拓哉(亜細亜大学4年)を6-4 6-4で退け、ノーシードの高畑里玖(早稲田大学1年)が第2シードの田形諒平(筑波大学3年)に6-2 6-2と快勝。女子は第3シードで昨年度優勝の松田美咲(亜細亜大学4年)が大会V3を狙った第7シードの清水映里(早稲田大学4年)との注目カードを6-2 6-4で制し、第1シードの平田歩(慶應義塾大学3年)は第5シードの山崎郁美(亜細亜大学1年)を7-6(5) 3-6 6-4の接戦で下した。

 トップシードとしてインカレ王者として、また名門のエースとして常にプレッシャーは切り離せない。

「もう心臓がはち切れそうな感じです」

 そうは見えない心境を吐露した白石だが、ここまでの3試合同様に準決勝もストレート勝利。両セットとも4-1から一旦はイーブンにされたものの、気持ちの切り替え、攻守のメリハリを見せてそれ以上の接戦には持ち込ませなかった。

「リードしたときに、自分から打ち過ぎたり何か試そうとしたことがうまく噛み合わなかった。追いつかれてからは、大事なところで我慢強くチャンスを待って攻めていけたのがよかったと思います」

 プレッシャーという点では最後の一戦も相当なものだろう。相手はチームの後輩でもある高畑だ。しかし、重圧よりも喜びが勝る。

「今年の早稲田は層が薄いと言われたりもするので、1年の高畑がここまで上がってきて早稲田同士で決勝ができることはうれしい」

 ふたりは2週間前に一般大会で対戦したばかり。白石が逆転勝ちしたが、結果よりもその内容で自信がついたという高畑は今大会、白石同様にここまで1セットも落としていない。この日、インカレ準優勝の田形との準決勝もサービスブレークの好発進。田形のほうは前日のタフマッチも多少響いていただろうか。一気に5ゲームを連取した高畑は、「自分のことを信じて最後まで集中できた」とアグレッシブに攻めきった。


ノーシードから1セットも落とさず決勝に進出した高畑里玖(早稲田大学1年)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

 高校時代にダブルスの全国タイトルは獲っているが、シングルスではベスト4が最高だった。「プレーに幅ができ、心理戦も学んできた」という成長の証として、まず準決勝の壁を破った。

 この10年で7人目となる早大生のチャンピオンは、果たしてどちらか。

 男子が早稲田対決なら女子の決勝は亜細亜対決か。そうもなりえた準決勝のカードだったが、阻止したのは昨年ベスト4の平田だった。積極的にオールラウンドなプレーを展開する山崎をフルセットの末に振りきった。

 一方、2連覇を狙う松田のほうは史上初の3度目の優勝を狙う清水の快挙を阻んで決勝へ。6-2 6-4のスコア以上に白熱した試合だった。それもそのはず、松田によると二人は高校と大学を合わせて20回以上も対戦し、まったく互角の成績という長年のライバル。左利き同士で互いに手のうちを知り尽くし、ともにこの春の卒業後はプロに転向する決意を抱いている。

 意地がぶつかり合うようなラリー戦。よりアグレッシブな清水のショットはウィナーにもなるが、ミスにもなる。そこが松田の狙いどころで、「無理にいきすぎず、まず相手に打たせて、とにかく走って拾う中でチャンスを見つけて前に入っていこうと考えていました」との作戦通り、我慢強いディフェンスから隙を見逃さずポイントに繋げた。

 第2セット第8ゲームで3度のデュースの末ブレークしながら5-3のサービスで締めきれなかったことを反省したが、5-5にはさせず最後はふたたびのブレークで締めくくった。


学生大会最後のライバル対決を終えた松田美咲(亜細亜大学4年/左)と清水映里(早稲田大学4年)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

「2連覇すること、学生最後の大会ということは大きなモチベーションです。でも一番は、応援してくれている人たちに優勝で恩返しがしたい」

 優勝へ強い思いを口にする松田に対し、平田は「楽しめたらいいなと思います」と屈託なく笑う。インターハイ・チャンピオンの肩書きを持つ平田だが、大学では初めての決勝進出だ。ベスト4止まりだった3回のうちの1回は昨年のこの大会。松田にファイナル・タイブレークの激闘の末に敗れた。しかも第2セット5-2、第3セットも5-2と、いずれのセットもマッチポイントを握りながらの逆転負けだ。リベンジに燃える素振りすら見せないのは本心か。因縁の対決の行方やいかに。(ライター◎山口奈緒美)

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撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

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