クデルメトワが失セットゼロの完全優勝でツアー初タイトルを獲得「私にとって素晴らしい1週間」 [ボルボ・カーズ・オープン]

写真はトロフィーを抱えるベロニカ・クデルメトワ(ロシア)(Getty Images)

WTAツアー公式戦の「ボルボ・カーズ・オープン」(WTA500/アメリカ・サウスカロライナ州チャールストン/4月5~11日/賞金総額56万5530ドル/クレーコート)の女子シングルス決勝で第15シードのベロニカ・クデルメトワ(ロシア)が重要なポイントでの強さを見せてダンカ・コビニッチ(モンテネグロ)を6-4 6-2で倒し、WTAツアーのシングルスで初のタイトルを獲得した。

 今シーズン最初のクレーコート大会に臨んだ23歳のクデルメトワは、優勝を含む6試合で1セットも落とさなかった。これ以前にその偉業をやってのけたのは、2012年のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が最後だった。

 同じく初タイトルを目指していたコビニッチがマッチポイントでフォアハンドをアウトした瞬間、クデルメトワはWTAツアーで初優勝を飾った今季5人目の選手となった。

 自分がトロフィーを掲げる様子を観ていた数十人の人々に向かって、「ここでのプレーは本当に楽しかったわ」とクデルメトワは語った。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、大会は一般公開されていなかった。昨年の大会は開始前にパンデミックが宣言されたため、開催中止となっていた。

 また今年はメインスタジアムが5000万ドルをかけた改築の最中であったため、試合はその他のコートに振り分けられていた。しかし満員のスタジアムでプレーしたかのようにこの勝利を大事にするであろうクデルメトワにとって、それは大したことではなかった。

「もちろん、大きな意味があるわ。私は本当に幸せだし、最初のタイトルを獲ることができた自分を誇りに思っているの」とクデルメトワはコメントした。

 週が始まったとき、クデルメトワは自信を持っていなかったのだと打ち明けた。彼女が初めてチャールストンでプレーした2019年は1回戦負けを喫しており、自分が遅いサーフェスで実力を発揮できるかについて不安があったのだ。

 土曜日の夜、クデルメトワは初優勝への期待で気持ちを落ち着かせるのに苦労していた。しかしコートに足を踏み入れたとき、彼女は今週を通して見せてきたパフォーマンスでコビニッチに対して試合の主導権を握った。

「私にとって素晴らしい1週間よ。本当にいいプレーができたから、自分がこのトロフィーに値したと思うわ」と彼女は振り返った。

 サービスとフォアハンドを武器とするクデルメトワは、3人のシード選手を倒して決勝まで勝ち上がってきたコビニッチを退けた。第1セットで2-3とリードされていたクデルメトワは3つのブレークポイントを凌いでキープし、それから最後の4ゲームのうち3ゲームを取った。

 第2セットでも1-2とリードされていたが、クデルメトワはそこでも挽回した。第5ゲームのデュースからポイントを取ったときには叫び声を上げ、結局そのゲームを制して3-2とリードした。時速198kmのサーブでエースを奪って次のゲームをキープしたクデルメトワは、その数分後に試合を締めくくった。

 トロフィーと並び、彼女は副賞としてボルボSUVの新車の選択権を手に入れた。表彰式のあとに彼女はボルボのモデルカー4台が停めてある場所に歩いていき、賢い選択をしようとしている車のバイヤーのように振る舞った。

 クデルメトワは勝者が車を授与されるという話は聞いていたが、「車を手に入れるよりタイトルを獲るほうがより大きな意味がある」と話した。

 一方で2016年以来のツアー決勝でプレーした26歳のコビニッチは、「また間違いなく、またここに戻ってくるわ」と決意を新たにした。

 これに先立ちダブルス決勝も行われ、第1シードのニコール・メリカ(アメリカ)/デミ・シヒュース(オランダ)がマリー・ブーズコバ/ルーシー・ラデッカ(ともにチェコ)を6-2 6-4で下して今季2勝目を挙げた。


女子ダブルス優勝のニコール・メリカ(アメリカ/右)とデミ・シヒュース(オランダ)(Getty Images)
 
 大会は決勝の数時間前、今や緑のクレーコートと骨組みだけになった古いスタジアムコートで起工式を行った。2001年に大会がヒルトンヘッドアイランドからチャールストンのダニエル島に場所を移してから、スタジアムは変わっていなかった。大会の会場であるチャールストン・テニスLLCのオーナーであるベン・ナバーロ氏は、来年はスタジアムを観客で満員にすることを計画している。

 ナバーロ氏の娘であるエマ・ナバーロ(アメリカ)はテニス選手で、今週の2回戦でクデルメトワに敗れていた。(APライター◎ピート・イアコベリ/構成◎テニスマガジン)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

写真◎Getty Images

Pick up

Related

Ranking of articles