ジョコビッチが「今年もっとも厳しい試合」でチチパスに勝利、ソネゴは地元イタリアで初のマスターズ4強入り [イタリア国際]

金曜日に第1セットを落としたジョコビッチは続く2セットでそれぞれ先にブレークを許しながら巻き返し、フォロ・イタリコで8年連続となるベスト4進出を果たした。彼は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより9月に開催された昨年の大会で、通算5度目のタイトルを獲得した。
「このチャレンジを克服することができて本当にうれしいよ。恐らくこれは、今年ここまででもっとも厳しい試合だった」と試合後にジョコビッチはコメントした。
ジョコビッチとチチパスの試合は金曜日に始まったが、セットを先取したチチパスが第2セットもワンブレークして2-1とリードした時点で雨により順延となっていた。断続的な雨のため、試合はすでに3時間半も中断されていた。
「2つの試合をプレーしたように感じるよ。昨日の試合では、彼(チチパス)のほうが優れた選手だった。彼は今日も出だしはよかったよ。そして僕はなんとかメンタル的に持ち堪え、第2セットと第3セットの重要な瞬間に彼のサービスゲームをブレークすることができた」とジョコビッチは振り返った。
「今日はコンディションもまったく違っていたよ。ボールはより弾み、よりこちらに向かってきた。昨日はコートが濡れていて本当に遅かったからね」
両者は昨年のフレンチ・オープン準決勝でも対戦し、ジョコビッチが5セットのロングマッチを制していた。
今年のフレンチ・オープンは通常より1週間遅れ、2週間後の5月30日に開幕する予定になっている。クレーコートシーズンで難しいスタートを切ったジョコビッチは、ときどき自分のテニスに苛立ちを感じているように見えた。
第3セットの序盤にブレークポイントを握られたときにジョコビッチは難しいドロップショットを打ったが、それはネットコードの上に乗って自分の側に落ちてチチパスに2-1のリードを許した。ジョコビッチはこれに怒ってコートサイドの広告板に向かってラケットを投げつけ、スポーツマンらしからぬ行為で主審からコードバイオレーションを受けた。
今大会でのジョコビッチは、テイラー・フリッツ(アメリカ)に対する2回戦でも癇癪を起していた。彼は雨が落ち始めた際に迅速にプレーを止めなかったと言って、主審に食ってかかっていたのだ。
昨年のUSオープン4回戦で、ジョコビッチは苛立って打ったボールを誤って線審の喉にぶつけてしまい失格処分を受けていた。
ある長いラリーの間にチチパスはドロップショットを追って走り、それからベースラインに戻って最終的に強烈な片手打ちバックハンドをダウン・ザ・ラインに打ち込んだ。これに対するジョコビッチのフォアハンドはアウトとなってチチパスがブレークに成功し、彼は第3セット5-4から自分のサービスゲームを迎えた。
しかしチチパスそのポイントのあとに片手を膝に置いて屈み込み、もう一方の手に持ったラケットを地面について体を支えていた。そして目に見えて疲労困憊していたチチパスは、次のゲームをキープすることができなかったのである。ジョコビッチは素早くそこに付け込み、3ゲームを連取して2日間に渡る3時間16分の死闘に終止符を打ったのだった。
激闘を終えたジョコビッチには、あまり休む時間がなかった。彼は同じ日の夜に、地元選手のロレンツォ・ソネゴ(イタリア)に対する準決勝を戦うことになっていたからだ。
「今年はあまり多くの試合をプレーしていないから、それほど疲労していないんだ。今日はもうひとつの勝利を勝ち獲る意欲に満ちてるよ」」とジョコビッチは準々決勝のあとに話した。
第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を3-6 6-4 6-3で倒した試合を通し、ソネゴは地元の観客の大声援に後押しされていた。2人の試合は金曜日に予定されていたが、雨により土曜日に延期されていた。ソネゴがATPマスターズ1000の大会で準決勝に進出したのは、今回が初めてとなる。
パンデミックによる規制の一環として大会の序盤は無観客で行われていたが、イタリア政府の再開プランに従い木曜日から収容人数の25%ほどに当たる観客の入場が許されるようになっていた。
世界ランク4位のドミニク・ティーム(オーストリア)を破って勝ち上がっていたソネゴは、2試合連続でトップ10選手に勝ったことになる。
「僕にとって感動的な瞬間だ。僕は今、自分のベストテニスをプレーしている」とソネゴは語った。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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