41歳のビーナスが90回目のグランドスラム大会でウインブルドン90勝目

写真はビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)(Getty Images)


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の大会2日目は、男女のシングルス1回戦が行われた。

 ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は以前ほどではないにしてもそこそこいい出来の時速180kmのサービスを叩き込み、10本のエースを奪った。彼女はフォアハンドをコーナーに打ち込み、ネットに出てシャープなボレーを放った。すべてが終わったとき、41歳のビーナスは腕を上げて『カモン!』と叫び、2018年以来のウインブルドンでの勝利を祝った。それから彼女は微笑み、くるりと回りながら手を振るいつものジェスチャーを見せた。

 ウインブルドンに23度出場してシングルスで5度優勝しているビーナスはミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)を7-5 4-6 6-3で倒し、記録更新となる90回目のグランドスラム大会出場でウインブルドンにおけるマッチ90勝目を挙げた。

 元世界ランク1位のビーナスは現在111位で、過去8つのグランドスラム大会で1回戦か2回戦で敗れていた。

「すべてに勝つことはできないわ。人生で重要なのは、どのようにして難しいチャレンジに対処するかということなの。コートでは、各ポイントがチャレンジよ。誰も何も与えてはくれないから。自分がうまくチャレンジに対処したと考えたいわ」とビーナスはコメントした。

 33歳のブザネスクは一連のケガに苦しめられ、トップ20から150位以下にランキングを落としていた。

「私たちは2人とも、もう若くはないわ。彼女は数年私の先を行っているけど」とブザネスクはビーナスについて話した。

「彼女がこの歳でまだプレーしていることに、本当に敬意を払うわ。そして彼女がこのレベルで戦い続ける限り、私はうれしいの。何故なら彼女はすべてのテニス選手にとってのお手本だからよ」

 ニック・キリオス(オーストラリア)と組んでミックスダブルスにもエントリーしているビーナスは、1997年にウインブルドンでデビューした。彼女はこのグラスコートのグランドスラム大会で2000年に初優勝を飾り、最後に栄冠に輝いたのは2008年のこととなる。

 この試合中にビーナスの家族は静かに様子を見守っていたが、目に見えてビーナスの勝利を望んでいたのはオンス・ジャバー(チュニジア)だった。第21シードのジャバーが自分の1回戦でレベッカ・ピーターソン(スウェーデン)を6-2 6-1で下してビデオ記者会見を行っているとき、自分が次に対戦する相手を決めるビーナスとブザネスクの試合は最終セットに突入した。

「彼女(ビーナス)が勝つよう願っているわ。ビーナスとプレーすることは大きな名誉であり特権だから」とジャバーは大きな笑みを浮かべて言った。

「彼女は伝説の人であり、私にとってのインスピレーションの源なの。私は本当に何度も彼女の試合を観たわ。彼女の戦い方が好きよ。正直に言うと、彼女との対戦は私の夢なの」

 少し前にビーナスが親切にも自分と練習してくれ、WTAツアーで優勝した初のアラブ人女性となったことを祝福してくれたのだとジャバーは明かした。

「本当に素晴らしい人だわ。いつもとてもハッピーで協力的で。私は彼女のことが大好き」

 のちにビーナスは賛辞を返し、ジャバーのことを「ツアーでのお気に入りの人物のひとり」と呼んだ。

「彼女は障壁を打ち破ったのよ。彼女が何をするにつけても、それを成し遂げた彼女の母国で初の女性となっている。彼女は私も含め、多くの人々にインスピレーションを与えているわ」とビーナスは語った。(APライター◎CHRIS LEHOURITES/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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