「今すぐ帰って家族に会いたい」今大会を振り返り、東京五輪までの予定を語ったマレー [ウインブルドン]

写真はアンディ・マレー(イギリス)(Getty Images)


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス3回戦でアンディ・マレー(イギリス)が4-6 2-6 2-6で第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)に敗れ、試合を振り返った。

「手術を受けてからこの数年頑張ってはきたけど、一度も彼のようなレベルの選手と互角に戦うことができなかった。自分がトップフォームのときでも難しかっただろう。他のトッププレーヤーが相手でも同様に厳しかったと思う。まだ自分が思うようなプレーができていない。今週はある意味では凄くよかったけど、それと同時にストレスも溜った。長時間の試合を2度もプレーしたのは、この6ヵ月に行ってきたどんなことよりも重大なこと。だが、まだ理想のプレーができず、物足りないのは明らかだ。フレッシュな状態で戦うことが難しく、ストレスが溜まる。ここまで辿り着くのに物凄い練習、トレーニングをしてきた。それなのにこんな形で敗退するのは悲しい。相手が素晴らしいプレーをしたのは事実で、それを否定するつもりはない。今大会で素晴らしい場面もあったけど、今日の試合よりもいいパフォーマンスを見せるには、これからまたさらに努力を重ねなければならない」

 今大会でのポジティブな面、ネガティブな面を具体的に挙げた。

「グランドスラムで1週間ケガなく戦えたことはポジティブだ。凄くいいテニスができた場面もあれば、悪い場面もあった。例えば、ニコラス・バシラシビリ(ジョージア)との1回戦では(4セットではなく)3セットで終わらせなければいけない試合だった。このような大会ではできる限りエネルギーをセーブしながら勝ち上がらなければならない。でもメチャクチャになってしまった。オスカー・オッテ(ドイツ)との2回戦でも第1セットを取って第2セットもワンブレークアップだったのに3ゲーム連続で落とし、第2セットと第3セットを奪われてしまった。そこでもっとうまくゲームをコントロールできていれば、今日はもう少しいい状態で戦えたはずだ。競った試合ではもっといいプレーができるはずだ。それを実現するには、試合経験も練習ももっと必要だと感じている。だが、この数ヵ月の取り組みでは足りなかった」

 フィジカルには満足だが、練習量が足りないという。 

「体力面には満足している。正確な時間は分からないが、3時間半か4時間はプレーできた。最高のレベルで争うには試合経験がもっと必要だし、現在の自分のようにシードが付かないと2回戦でマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)のように強烈なサービス、ストロークを持った強敵に当たってしまう。でも、そのレベルのスピードにはまだついていけないと思う。ランキング3位や4位ならシードされてサーブ&ボレーができれば、もっと楽に勝ち上がれる。繰り返すが、もっといいテニスをするには、練習コートでもっともっと時間が必要だ」

 練習量とコンディショニングのバランスに気を付けている。

「今は体のケアに十分気を使っている。若い頃も今ほど気を付ければよかったという思いもある。シンチ選手権に出る前に1回練習できたのは悪くなかった。本来、3~4ヵ月もツアーから離れていたなら、もっと試合をしたいと思うものだ。グラスコートのシングルスは2017年以来プレーしていなかったからね。ただ、まずは自分の体の状態を見て、オーバーワークにならないように気を付けないといけない。大会に備えるときに、少し強度を落とす必要がある。昔は1日4時間の練習を6日連続でしていたけど、今はそれと同じことはしない。ほかにもっといい方法がある。もう毎日必ず練習する必要がないと思っている。実際、昨日はコートで練習しなかったんだ。ケガをする前は毎日ボールを打ちたいと思っていた」

 レフティー対策はするべきだったと後悔している。

「今日の試合で立ち上がりが悪く、レフティーのサービスに苦しんだから、“昨日練習で左利きのサービスを打ってもらえばよかった”と思ったんだ。これからもチームと話して、自分に合った最善の方法を探っていく。確かなのは、今回グラスコートシーズンに向けての練習が足りなかったから、次回は増やすつもりだ」

 今後は試合に出続けることが重要だという。

「自分の動きが落ちているのは変えられないこと。2016年のときのように動けなくなっている。でも、ボールを打つときは痛めた臀部には関係ない動きなので、以前と同じようにボールを打てる。明らかに動きは落ちているから、継続して3~4ヵ月はコートに立ち続けたいと思っている。そうすれば自分のテニスはより高いレベルに戻ってくるはずだ。今大会のプレーが完璧だったというつもりはないが、バシラシビリ戦ですごくいい時間帯もあったし、オッテ戦の後半もよかった。今後数ヵ月での大きなテーマは継続性になる」

 この数ヵ月の努力が報われたとは思っていない。

「また観客の前でプレーできて最高だった。素晴らしい応援だった。コートに立つための努力は、この声援を受けるためにやっているんだと思い出させてくれた。さっきも言ったけど、数試合をケガなく乗り越えたのがポジティブな面だ。逆に、この3ヵ月にとんでもない努力をしてきたのに、自分が期待していたほどの成果が得られなかったのも事実。努力が報われたとは思わない。ジムでの厳しいトレーニングを続けてきた甲斐があったのか。この大会で素晴らしい雰囲気の中で、忘れられないようないい思い出もできてよかったと思う反面、ここまで努力したのが報われたのか疑わしいと思う気持ちも半分あるんだ。今日の試合で負けてチームで話したけど、自分のプレーには満足できなかった。継続して大会に出続ける方法を見つけ、今日のような相手と戦えるようにするために必要な練習をするためにこれからチームと話し合う必要がある。ここまで凄まじい努力をしてきたのに、このような大きい大会で自分が理想とするプレーを披露するまでの練習はできなかった。デニス・シャポバロフを倒すと宣言したい訳じゃないけど、今日の試合でのパフォーマンスよりもずっとよいプレーが自分にはできるはずなんだ」

 東京オリンピックまでの予定はまだはっきり決まっていない。 

「東京五輪への移動は5日前くらいに設定されており、それより早くも遅くも現地入りすることができないんだ。それまでのプランはまだはっきり決まっていないが、練習するのは確かだ。ダブルスを組むジョー・ソールズベリーとも話さなければならないし、ダブルスの練習もする。彼と一緒にプレーしたことがないから、練習は欠かせない。でも、今すぐ家に帰って家族に会いたい。明日の朝にまず妻や子供たちと会って、それから何をするか考えるよ」

 東京での隔離生活は問題ないという。

「当然、バブルや隔離生活は送りたくないものだけど、僕はある程度は耐えることはできる。この大会は普段とは違うけど、いつものように過ごしていて、違うのは夕飯を食べに外出していないことくらいかな。そのほかの過ごし方は一緒だ。ホテルとジムと練習コートの往復で、普段のツアーで観光もしないし、コロナ禍でもそこまで大きく変わらない生活をしている。東京では規制が厳しくなるのは分かっているけど、問題ないよ」(テニスマガジン)

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