ジョコビッチがタイトル防衛と20回目のグランドスラム制覇にあと1勝と迫る「それは僕にとってすべてを意味する」 [ウインブルドン]
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス準決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)を7-6(3) 7-5 7-5で倒して大会3連覇に王手をかけた。
同大会で2018年から続けている連勝を「20」に伸ばしたジョコビッチは、今季のグランドスラム大会でもマッチ20連勝を継続している。彼は日曜日に勝って2つの連勝を「21」とすれば、グランドスラム大会優勝回数で男子の最多記録を持つラファエル・ナダル(スペイン)とロジャー・フェデラー(スイス)の「20」に並ぶことができる。
「それは僕にとってすべてを意味する。だからこそ僕はここにいるんだ。僕はそのためにプレーしているんだよ」と世界ランク1位のジョコビッチはコメントした。
準決勝でのジョコビッチは自分よりもずっと若く経験も遥かに浅い相手に対して苦境に立たされ、そこから抜け出すために奮闘しなければならなかった。ストレート勝ちに終わったが各セットは競り、激しいものだった。どのセットもシャポバロフが取る可能性は十分あるように見えていたが、最後にそれをものにしたのは常にジョコビッチのほうだった。
「第1セットで彼はサービング・フォー・ザ・セットを迎え、第2セットの大部分でも彼のほうがいいプレーをしていた。彼は多くのチャンスを手にしていたが、ただ必要な瞬間にそれを決めきることができなかった」と34歳でシャポバロフより12歳も年上のジョコビッチは振り返った。
「僕は重要な瞬間に精神的に彼よりもよく持ち堪え、彼に1本余計にショットを打たせてアンフォーストエラーを引き出すことができた」
この試合でアンフォーストエラーをわずか5本に抑えたジョコビッチに対し、シャポバロフは36本と量産した。もうひとつのカギは、ピンチでの勝負強さだった。一度ずつブレークし合ってタイブレークとなった第1セットのあと、ジョコビッチは第2セットで5回と第3セットで3回あったブレークポイントをすべてセーブした。
片手打ちバックハンドでときに荒々しいまでに力強くスウィングする左利きのシャポバロフはジョコビッチをぎりぎりまで追い詰め続けたが、仕事をきっちり終えることはできなかった。第1セットで先にブレークしたシャポバロフは5-3まで順調に漕ぎつけ、次のゲームでセット奪取まであと2ポイントというところまで迫った。しかしそこで取りきることができず5-4から自分のサービスゲームを迎えたシャポバロフは、ジョコビッチの疲れ知らずのディフェンスを前にそのゲームでセットを締めくくることに失敗したのだ。
土壇場で追いついたジョコビッチは、もつれ込んだタイブレークでは完璧ではなかったもののシャポバロフよりいい仕事をした。ジョコビッチは大部分で安全にプレーして相手のミスを誘う戦法を取ったが、それが機能してシャポバロフはダブルフォールトでそのセットを終えた。
第2セット5-5からブレークされたゲームでもシャポバロフは同じ失敗をし、第3セットも5-5の場面でサービスゲームをキープすることができなかった。3度目のブレークに成功したあと、勝利を確信したジョコビッチは雄叫びを上げた。
シャポバロフはジョコビッチに対して7戦全敗となったあと、涙を流しながらコートをあとにした。試合後の彼は「今回の敗戦が本当に辛いのは、自分が彼をも倒すことが可能でトロフィーを目指せるプレーができていると感じていたからだ」と悔しさを滲ませた。
「こんな感覚はこれまで一度も経験したことがなかった。だからこそ、こんなに辛いんだ。僕は試合のある部分ではノバクに勝っていたと感じていた。もしノバクをやっつけることができれば、誰だって勝つことができる」
確かにそれは事実だ。今度はその任務に、もうひとりのグランドスラム決勝の新顔がトライすることになる。第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)はもうひとつの準決勝で、第14シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)を6-3 6-0 6-7(3) 6-4で退けた。
今シーズンのジョコビッチはすでにオーストラリアン・オープンとフレンチ・オープンで優勝しており、今大会でタイトルを防衛すれば『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』達成に向けて4分の3を完了することになる。1969年にロッド・レーバー(オーストラリア)がやってのけて以来、同じ年の初めから3つのグランドスラム大会を連続で制した男子選手はひとりもいない。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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