「マッテオのサービスをいかにリターンできるか」決勝を見据えるジョコビッチ [ウインブルドン]

準決勝で勝利の瞬間ガッツポーズするノバク・ジョコビッチ(セルビア/右)とうなだれるデニス・シャポバロフ(カナダ)(Getty Images)

 
 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス準決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)を7-6(3) 7-5 7-5で倒した。

 シャポバロフはこの先間違いなく多くのタイトルを獲るはず。

「彼に負けたことはないが、最近対戦した3、4試合では僅差の勝利だった。今日も3セットとも際どかった。最初の2セットは彼のほうがよかったと思う。第1セットではサービング・フォー・ザ・セットがあり、第2セットも取るチャンスがあった。そこで取りきれなかっただけ。重要なポイントで彼よりメンタル面でよかったのかもしれない。彼になるべく多くのショットを打たせ、アンフォーストエラーを引き出した。テニスはグラスコートの速いサーフェスでは非常に難しい。彼は左利きでサービスをどこにでも打てる。ツアーの中でもトップレベルのサービスだ。サービスの調子がよければ、どんなサーフェスでも強敵だ。選手として成熟し、昨年に比べてアンフォーストエラーの数が減っていると思う。常にアグレッシブなのは変わらない。積極的にネットに出てウィナーを決めようとする。ベースラインからしっかり試合の流れを読んでプレーしている。以前より我慢強くなり、ポイントを組み立てるのがうまくなった。しかし、重要なときは足りなかったのかもしれない。正しいショットディシジョンで彼のミスを引き出した。でもストレート勝ちとはいえ、接戦だった。彼にとっては素晴らしい大会だったはず。自分を信じ続けて前に進めば、今後間違いなく多くのタイトルを獲るチャンスに恵まれるはずだと彼には伝えたよ」

 決勝で観客を味方につけられるか。

「観客の応援をもらえるか分からないけど、どんな選手もビッグマッチで多くの観客を味方につけることが重要だ。味方にするのと敵対するのはとても大きな違いになる。ベレッティーニは初のグランドスラム決勝である意味アンダードッグになる。でも、人々はアンダードッグが勝つような驚きを見たいと思うものだ。でも、僕にとってこの決勝がどのくらい重要なのかを皆は理解してくれていると思う。僕は大きな歴史を刻もうとしている。日曜日の観客がどんな風に反応して、どちらを応援するか、どんなことが起きても対応できる準備をしておくよ。僕もそれなりにキャリアを積んで様々な経験をしてきた。自分が何をすべきかにしっかり集中したい」

  難しい状況を乗り越える能力はどのレベルで見につけたのか。

「生まれ持った才能ではなく、時間と経験、メンタル、フィジカルのトレーニングで身につけてきた。試合を重ねて、似た状況で自信を持って心地よくプレーし、状況を潜り抜けられる。グランドスラムの大事な試合を乗り越えられる。経験は毎試合重ねており、テニス選手として経験できることは本当に多く経験してきた。自分の強みや、自分に何ができるのかをよく分かっている。試合に勝つ方法をいつでも見つけられる保証にはならないけど、自分はそこに頼ることはできる。今日は試合に勝つ方法を見つけられた。どっちがどのセットをとってもおかしくなかった。でも最後には勝った」

 身体を目一杯伸ばすスライディングは他の選手には真似できない独特のものだ。

「コーチはグラスコートでスライディングすることを推奨しないが、僕はキャリアを通してずっと自然にやってきた。足首の柔らかさがあり、ボールに身体を伸ばすときは自然と体がこのように動くんだ。これは選手10人がいたら9人はやらない動きだろう。グラスコートでは普通ボールを打ったら、少しステップを踏んでから戻ろうとする。でも自分は大きなスライドのステップでボールに追いつこうとする。若い選手にとってこれが手本になるかどうかは分からない。テニスの指導書にはない動きだ。体のストレッチ、柔軟性についてはスパイダーマンにも助けてもらっている」

 決勝の相手となるマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)とはロラン・ギャロスで対戦した経験もあるが、どのように強くなってきたと見ているか。

「この1年で世界最高の選手の一人。全豪でもドミニク・ティーム(オーストリア)と素晴らしい試合をした。2年前にUSオープン準決勝にも進んだ。ビッグサービス、フォアハンドなど武器を生かしてどんどん強くなっている。どんなサーフェスでも強い。今年マドリッドの決勝、ロラン・ギャロスでの準々決勝もタイトな4セットだった。グラスコートは明らかに彼のプレースタイルに向いている。この大会でも凄いビッグサービスを打ってる。リズムもよく、リターンするのは難しい。僕のリターンは武器のひとつで信頼を置いている。彼のサービスをうまく、たくさん返せればいい。そこでチャンスを掴めるか。今日もサービスがうまく打てた。日曜日もピンチで機能してほしい。決勝はどちらが勝ってもおかしくない。彼は今が旬の選手。間違いなくグラスコートで今一番調子がいい」

 ベレッティーニは初のグランドスラム決勝になるが、自分のときはどうだったのか。

「もう15年前のことだ。2007年のニューヨーク(USオープン)。ロジャー(・フェデラー/スイス)に3つのタイブレークを落とした。興奮したよ。惜しかった。でも勝利を信じる力が足りなかった。でも、皆それぞれだ。僕は20歳で初めてだったが、マッテオはもっと年齢も経験も重ねている。トッププレーヤーからの大きな勝利も、大きな大会で優勝した経験もある。まったく違う状況だが、彼はこの数週間に見せてきたハイレベルなプレーを見せるだろう」

 6回目のウインブルドン優勝、20度目のグランドスラム優勝の意味を語った。

「自分にとってすべてだ。そのためにここでプレーしている。ロンドンへ来る前、グランドスラムのトロフィーをもうひとつ獲ることが目標だった。今、いいところまできている。決勝では何でも起こり得る。経験では自分が有利だ。ベレッティーニはグラスコートで今年たくさん勝っている。前哨戦のロンドン(ATP500)で素晴らしいプレーを見せた。強烈なサービスとショットでダイナミックにプレーしている。どちらにとっても難しい試合になるが、いい戦いを楽しみにしている」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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