ウインブルドン3連覇のジョコビッチがグランドスラム優勝回数でついにフェデラーとナダルの「20」に並ぶ [テニス]
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を6-7(4) 6-4 6-4 6-3で倒して大会3連覇を達成した。
試合開始から約2時間半後にセットカウント1-1となってジョコビッチがふたつのブレークポイントに直面したとき、20回目のグランドスラム制覇への挑戦は重要な分岐点に差し掛かった。スタンドを埋め尽くす観客は、熱狂的に彼の対戦相手の名前を叫んでいた。
恐らくコートで直面していた苦境に、また恐らくベレッティーニへの熱狂的応援に、またもしかすると追い求めているマイルストーンの重さに妨げられていたジョコビッチはそれらをすべて払いのけた。そして彼はこれまで多くの舞台で本当に多くの瞬間に何度も何度もやってきたように、強い決意を固めてレベルを上げた。
次の2ポイントの双方で、ベースラインでの優位性で知られるジョコビッチはネットに出た。その双方で、ベレッティーニのパッシングショットがネットにかかった。
2ポイント目のあとに彼は観客席を凝視して耳に指を向け、それから応援を促すようにラケットを振った。彼は望んでいたもの――彼のニックネームを叫ぶ「ノール、ノール!」という声援――を手に入れた。そしてその2ポイント後に時速190kmのサービスエースでそのゲームを取ったあと、ジョコビッチはラケットを耳の後ろに当ててより大きな歓声を聞いて満足そうに頷くと笑みを浮かべた。
その1時間後、試合は終わっていた。ジョコビッチがグランドスラム大会を制したのは通算20回目となり、男子の最多記録を持つラファエル・ナダル(スペイン)とロジャー・フェデラー(スイス)に並んだ。男子ではこの3人以外に14タイトル以上保持する者はいない。
そしてジョコビッチはもちろん、もっと欲しがっている。
「僕は自分をベストであると見なしている。僕は自分がベストであると信じている。そうでなければ僕は自信満々にグランドスラム大会に勝ち、歴史を築くことについて話したりはしていないだろう」と世界ランク1位であり他の誰よりも長い時間をトップの座で過ごした34歳のジョコビッチはコメントした。
「しかし、僕が史上もっとも偉大な選手か否かに関しての議論は他の人々に任せるよ」
これは間違いなく、人気のある話題だった。いわゆる『ビッグ3』の各メンバーが、自分のサポーターを擁している。今季の成り行きは、はっきり確信できないでいる人々の考えの中で少しジョコビッチ寄りに傾くことになるかもしれない。
シーズン最初のグランドスラム3大会での優勝は、1969年に成し遂げたロッド・レーバー(オーストラリア)以来の快挙だ。ジョコビッチは8月30日に開幕するUSオープンで、『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』達成を目指すことになる。テニス史上で同じ1年に4つのグランドスラム大会すべてで優勝した男子プレーヤーは、1938年に達成したドン・バッジ(アメリカ)と1962年と69年に成し遂げたレーバーの2人しかいない。
「間違いなく、僕はそれに挑戦するよ」とジョコビッチは表彰式の際にセンターコートの観客たちに向かって宣言した。
「今の僕は非常に調子がよく、明らかにいいプレーをしている。だからこのまま突き進もうじゃないか」
ウインブルドンで3年連続6度目の栄冠に輝いたジョコビッチは、オーストラリアン・オープンで9回、USオープンで3回、フレンチ・オープンでは2回優勝している。
「ラファとロジャーに大いなる敬意を払わなければならない。彼らはレジェンドだ。我々のスポーツの伝説的存在だ。彼らは僕がキャリアで対戦した中で、もっとも重要なプレーヤーだ」とジョコビッチは語った。
「彼らこそが、僕が今ここにいる理由なのだと思う。彼らの存在があったからこそ、上達するためには何が必要かを常に考えてきたんだ。精神的、肉体的、戦術的により強くなるには何をしなければならないかを僕に気付かせてくれたよ」
フェデラーはツイッターを通して「素晴らしいパフォーマンス、見事だ!」とジョコビッチにお祝いのメッセージを送り、ナダルも「素晴らしい業績だ」とツイートした。
これはジョコビッチにとって30回目のグランドスラム決勝で、男子でこれよりも多くの決勝を戦っているのは31回のフェデラーだけだ。それに対して25歳のベレッティーニは、キャリアで初めてその舞台に立っていた。
「これが僕の最後のグランドスラム決勝とならないよう願うよ」とベレッティーニは話した。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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