大坂なおみがオリンピックでのプレッシャーに言及「初めてとしては少し過剰だった」 [東京2020]
1年遅れでの開催となる世界的なスポーツの祭典「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)の女子シングルス3回戦で、第2シードの大坂なおみ(日清食品)はマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)に1-6 4-6で敗れる番狂わせが起きた。
それは大坂と日本や世界のファンたちにとって、期待していたエンディングではなかった。しかし東京オリンピックのスタートは、大坂にとって永遠に輝く思い出であり続けることだろう。
開会式でオリンピック聖火台に火を灯したあと、彼女自身が「それは間違いなくスポーツ選手としてもっとも大きな功績であり、人生最大の栄誉でした」と話していた。
だからこそ恐らく、そのことが大坂が火曜日の3回戦でフレンチ・オープン準優勝者のボンドルソバに対して予想外の敗北を喫したことに対処する助けとなるだろう。しかしそれは、直ちにという訳にはいかないかもしれない。
「すべての敗戦でがっかりするけれど、この負けは他のどれよりも酷い気がします」と大坂は振り返った。
グランドスラム大会を4度制したチャンピオンであり世界でもっとも稼ぐ女性アスリートである大坂にとって、自国開催のオリンピックで広告塔としての役割を担うことで膨らんだ期待は対処しがたいものだった。
「間違いなく、そのための大きなプレッシャーを感じていいました」と大坂は打ち明けた。
「それはもしかすると、以前にオリンピックでプレーしたことがなかったからかもしれないと思います。初めての年としては少し過剰でした」
日本で生まれアメリカで育った世界ランク2位の大坂はいつもなら頼れる自らのグラウンドストロークに苦しみ、左利きのボンドルソバは一連のドロップショットや狡猾なショットなどを駆使して対戦相手をコンフォートゾーンの外に引きずり出した。
「彼女にとって、日本でプレーするのは大変なことでしょうね。ましてやこれはオリンピックなのだから。本当に大きなプレッシャーよ。想像もできないわ」と世界42位のボンドルソバは相手を気遣った。
メンタルヘルスの問題で2ヵ月のオフをとったあと、大坂は最初の2試合でストレート勝ちをおさめた。しかしその火曜日は雨のためにスタジアムの屋根が閉じていた中、コンディションは違っていた。
今週の初めに大坂は、ふたたびプレーすることがどれほど幸せなことなのかについて語っていた。彼女はメディアと話すことで心に疑念が植え付けられると言い、フレンチ・オープンでは記者たちと話さないと告げた。パリで1回戦に勝ったあと、彼女は試合後の記者会見をスキップしたことで1万5000ドルの罰金を科され、さらにメディアを避け続ければ出場停止処分を受けることもあり得ると警告された。
その翌日に大坂は精神衛生の問題に対処するための休息が必要と判断してフレンチ・オープンを棄権し、過去にうつ状態に陥っていたことを明かしていた。そのあとウインブルドンも欠場したため、東京オリンピックは彼女にとって復帰戦だったのである。
敗戦直後に取材ゾーンを通らなかった大坂はしばらくして関係者に促されて戻り、少数の記者たちに「大会前に長い休みを取り、何とかうまくやることができました」とコメントした。
「悪いパフォーマンスだったとは言わないけれど、自分の期待はずっと高いものでした。どうやってプレッシャーに対処していいか分からなかったから、私の姿勢もあまりよくなかったと感じています。だからあれが、この状況で自分ができるベストでした」
大坂と初対戦だったボンドルソバは最初から絶好調で、第1セットでは大坂が試合に入り込む前に迅速に4-0とリードを広げた。それは単に大坂の当たり日ではなかったということだけでなく、ボンドルソバが目覚ましいパフォーマンスを見せていたからでもあったのだ。
「私はシモナ(ハレプ)を2度倒したことがあるけど、今は彼女(大坂)がもっとも偉大だと思うわ。テニス界でもっとも偉大で、オリンピックの顔でもある。だから彼女にとって、このような状況でプレーするのは大変なことだったと思う」とボンドルソバは大坂に対する敬意を示した。
ボンドルソバは次のラウンドで、ナディア・ポドロスカ(アルゼンチン)を6-2 6-3で破って勝ち上がったパウラ・バドーサ(スペイン)と対戦する。
そのほかの女子シングルスの試合では第4シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)、第7シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、第9シードのベリンダ・ベンチッチ(スイス)、第13シードのアナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)、第15シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)、カミラ・ジョルジ(イタリア)が勝ち上がり、ベスト8が出揃った。
準々決勝ではスビトリーナがジョルジと、ムグルッサがリバキナと、ベンチッチはパブリウチェンコワと顔を合わせる。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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