男子シングルスのベスト8が出揃う、木曜日から試合開始時間が15時に変更 [東京2020]
1年遅れでの開催となる世界的なスポーツの祭典「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)が第15シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)を6-2 3-6 6-2で振りきりベスト8に進出した。
彼はサービスを打つ前に疲労困憊して前屈みになり、ポイント間にはラケットで体を支えた。チェンジエンドの際にはコートサイドのベンチの横で冷たい空気を吹き付けるゴムのチューブを掴んだ。彼は一度トレーナーを呼び、2度のメディカルタイムアウトを取った。
前日に雨が降ったあとに気温は31度まで上がったが、湿気のために体感温度は37度だった。ロシア五輪委員会(ROC)を代表してプレーするメドベージェフは有明の息詰まるような暑さと湿気に大いに苦しみ、一度など主審のカルロス・ラモス氏がプレーを続けられるか彼に尋ねたほどだった。
何とか生き残ったメドベージェフは次のラウンドで、ドミニク・コプファー(ドイツ)を7-6(7) 6-3で破って勝ち上がった第6シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)と対戦する。
選手たちが直面したこれらの問題のため、なぜ主催者は大会のより早い段階でメドベージェフやノバク・ジョコビッチ(セルビア)を含むプレーヤーたちが訴えていたテニス競技のすべての試合を夕方に移すというリクエストを聞き入れなかったのかという疑問が浮かび上がっていた。
水曜日の試合が終わりに近づいたとき、主催者はプレーヤーにとって身体的に楽になるように木曜日から試合は15時から開始すると発表した。テニス競技はこれまで、11時から試合が始まっていた。
センターコートが影の中に入る遅い時間帯にプレーできたジョコビッチは幸運だった。第1シードのジョコビッチは9本のサービスエースを決め、練習パートナーでもある第16シードのアレハンドロ・ダビドビッチ フォキナ(スペイン)を6-3 6-1で退けた。
「コンディションは過酷だ。僕はプロテニス界でプレーしてかれこれ20年になるが、全人生を通して連日このようなコンディションに直面したことは一度もなかった」とジョコビッチはコメントした。
ジョコビッチは準々決勝で、日本の錦織圭(日清食品)と顔を合わせる。錦織はイリヤ・イバシカ(ベラルーシ)に7-6(7) 6-0で勝利をおさめ、2012年ロンドンと2016年リオデジャネイロに続く8強入りを決めた。
シングルスの試合を終えたジョコビッチはそのあとニーナ・ストヤノビッチ(セルビア)とのペアでエントリーしたミックスダブルスの初戦に臨み、ルイーザ・ステファニー/マルセロ・メロ(ブラジル)に6-3 6-4で勝った。
今大会でのジョコビッチは同じ年に4つのグランドスラム大会すべてのタイトルとオリンピック男子シングルスでの金メダルを獲り、『ゴールデンスラム』を成し遂げる最初の男子プレーヤーとなることを目指している。
すでにオーストラリアン・オープン、フレンチ・オープン、ウインブルドンを制しているジョコビッチは、この類いまれなコレクションを完成させるために東京オリンピックとUSオープンで優勝する必要があるだけだ。この偉業を成し遂げたのは、1989年のシュテフィ・グラフ(ドイツ)しかいない。
一方で第3シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)がベストには程遠いプレーで第14シードのユーゴ・アンベール(フランス)に6-2 6-7(4) 2-6で敗れ、第12シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)は第8シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)を6-1 2-6 6-1で倒した。
「これは誰がより耐える力を持つかの戦いだ。10~12本のグラウンドストロークのあと、僕たちは『ウォーキング・デッド(ゾンビ)』みたいになる」とシュワルツマンは人気テレビドラマに例えて過酷さを説明した。
そのほかの男子シングルスの試合では第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)がニコラス・バシラシビリ(ジョージア)を6-4 7-6(5)で、ジェレミー・シャルディ(フランス)はリアム・ブローディ(イギリス)を7-6(3) 4-6 6-1で下し、勝ち上がった両者の準々決勝での対戦が決まった。
男子ダブルスでは、アンディ・マレー/ジョー・ソールズベリー(イギリス)がマリン・チリッチ/イバン・ドディグ(クロアチア)に6-4 6-7(2) [7-10]で惜敗した。マレーは男子シングルスで2度金メダルを獲得したディフェンディング・チャンピオンだったが、右大腿四頭筋の問題からシングルスを棄権してソールズベリーの信頼と好意に応えるためダブルスに集中することを決めていた。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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