復帰戦に臨んだナダルがソックに辛勝で大会デビューを飾る「足の痛みをもう少し減らす必要がある」 [シティ・オープン]
ATPツアー公式戦の「シティ・オープン」(ATP500/アメリカ・ワシントンDC/8月2~8日/賞金総額204万6340ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したジャック・ソック(アメリカ)を6-2 4-6 7-6(1)で倒して初戦負けを回避した。
約2ヵ月ぶりに公式戦でプレーしたナダルが、左足にケガを抱えていた選手のように見えた時間帯もあった。不安定なサービス、重要なゲームでブレークを与えてしまったフォアハンドの連続ミスなど、世界ランク192位の対戦相手に主導権を握ることができなかった。のちにナダルは、痛みがあったことを認めた。
水曜日の夜に大会デビューを果たすナダルを観るため詰めかけた7500人の観客を前に、3時間以上かけた勝利への過程で彼がグランドスラム大会を20回制したチャンピオンらしく見えた瞬間もあった。
「試合は簡単なものではなかった。僕はやや過剰に苦しみ始めていた」とナダルは振り返った。
この試合のハイライトは、第1セットで見せた背中をネットに向けて足の間から放ったショットだった。このポイントをものにしたナダルは拳を突き上げ、観客は歓声を上げた。このポイントやタイブレークでソックが放ったドロップショットに追いついてウィナーを決めたナダルの動きを見る限り、足の問題などないように思われた。ナダルはウインブルドンとオリンピックを欠場して3週間ラケットを握らなかったが、その理由の一部が足のケガだったことを最近になって明かしていた。
左腕から繰り出されるフォアハンドのウィナーでセットポイントを掴んだナダルは、リターンエースを決めて第1セットを締めくくった。タイブレークでの彼は、文句の付けようがない調子だった。その一方で第1セットでのファーストサーブの確率は47%で、第2セットで一度もブレークポイントを掴めなかったことはよくない部分だった。
ソックとの対戦成績を6勝0敗としながらも、このようなヘマが「彼のようなプレーヤーに扉を開けてしまう」とナダルは気を引き締めた。
「正直なところ、足の痛みをもう少し減らす必要がある。それが真実だよ」と35歳のナダルは試合後に話した。
彼自身が指摘したように、ナダルのプレーには多くのアップダウンがあった。彼が6月11日に13回優勝していたフレンチ・オープンの準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れたあとに休養を取っていたことを考えれば、それは仕方のないことだ。
その間にジョコビッチがナダルとロジャー・フェデラー(スイス)に並ぶ20回目のグランドスラム制覇を果たしたため、8月30日に開幕するUSオープンを前に『ビッグ3』が男子の最多記録を分かち合うことになった。
USオープン前に戦いの準備を整えることが最重要事項だとしたら、ナダルはソックに対してサビを落とすチャンスを得た。ソックは今でこそランキングを落としているがシングルスの元トップ10選手で、グランドスラム大会の男子ダブルスでは3度タイトルを獲得している。
第2セットで初めてブレークされてセットオールに追いつかれたナダルは、第3セット第1ゲームをキープすることができず劣勢に立たされた。しかし彼は1-3となったあと、ベストの自分を取り戻した。
問題なくサービスゲームをキープしたナダルは16本のラリーをフォアハンドで締めくくると、次のポイントを猛ダッシュでドロップショットを切り返す精力的なプレーでブレークして3-3と追いついた。ソックが返球をネットにかけたとき、ナダルはトレードマークでもある「バモス!」の雄叫びを上げてガッツポーズを見せた。
次のゲームも取って4-3としたナダルは、終盤にかけて相手を遥かに凌ぐプレーを見せた。
「何ヵ月もプレーしなかったあとに調子を上げていくためには、このような試合が必要なんだ」とナダルは語った。
木曜日に行われる3回戦で、ナダルは第14シードのロイド・ハリス(南アフリカ)と対戦する。ハリスは第1セットを6-4で先取したあと、第2セット1-0とした時点でテニス・サングレン(アメリカ)が肋骨の痛みを理由に棄権したため勝ち上がっていた。
早い時間帯の試合では、新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したあとの初試合に臨んだ第6シードのダニエル・エバンズ(イギリス)がワイルドカードで出場したブランドン・ナカシマ(アメリカ)に6-7(1) 0-6で敗れていた。
同日に敗れたシード選手は彼だけではなく、第3シードのアレックス・デミノー(オーストラリア)、第4シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、第9シードのアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン)、第10シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)、第13シードのブノワ・ペール(フランス)も姿を消した。
ナダルも危うく彼らに合流するところだったが、ぎりぎりまで追い詰められながらも最後には困難を切り抜けた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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