初出場のナダルは3回戦でハリスに敗れる「努力を続ける必要がある」 [シティ・オープン]

写真はラファエル・ナダル(スペイン/左)とロイド・ハリス(南アフリカ)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「シティ・オープン」(ATP500/アメリカ・ワシントンDC/8月2~8日/賞金総額204万6340ドル/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第14シードのロイド・ハリス(南アフリカ)に4-6 6-1 4-6で敗れる番狂わせが起きた。

 この試合でナダルにとっていいニュースは、彼の痛む左足の感覚はずっとよくなってきたということだった。悪いニュース? 彼の大会初出場が、2つの荒れた試合をプレーしたのみで終わってしまったことだ。

「努力を続ける必要がある」とナダルはコメントした。

 ナダルはグランドスラム大会を20回制したチャンピオンで、ハリスは同じ舞台で3回戦に進んだことが一度あるだけだ。

「アグレッシブなプレーをした彼を褒めるべきだ。彼はいいプレーをした。勇敢だったよ」とナダルは相手を称えた。

 世界ランク50位で24歳のハリスは身長193cmと長身で、平均して時速193kmを超える強烈なサービスを武器としている。彼はナダルとの試合を通し、16本のサービスエースを決めた。

「彼のサービスは本当に強烈だった」とナダルは振り返った。

 それに比べてナダルのサービスは、明らかに強烈ではなかった。それは恐らく、錆びつきの印なのかもしれない。35歳のナダルが6月のフレンチ・オープン準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れたあと約2ヵ月も大会でプレーしておらず、3週間もラケットに触っていなかったことを考えればそれは理解できることだ。

 ウインブルドンとオリンピックをスキップしたナダルは、初出場だったワシントンDCで確かにいつものようなプレーをしてはいなかった。

 木曜日の試合は、ナダルが2度目のブレークを許したときに幕を閉じた。ロブのウィナーを決めて勝利を確定させた瞬間、ハリスは信じられないという表情でラケットを落とした。

「僕はあの最後のゲームで本当に酷いプレーをした。サービスが正しく機能していなかった」とナダルは悔しさを滲ませた。

 それは水曜日に第3セットのタイブレークで勝負が決した世界192位のジャック・ソック(アメリカ)に対するナダルの勝利と比べ、“ふたりのハードヒッターによる肉体的綱引き”の要素が低い試合だった。ハリスと対戦するためにメインスタジアムに戻る約3時間半前、ナダルはトレーニングのために小さなコート5に向かった。

 ファンが「バモス、ラファ!」と叫んだり隣のコートのスタンドから写真やビデオを撮る中、ナダルはあまり走っていなかった。その代りに彼は同大会の1回戦で敗れた世界165位で29歳のエミリオ・ゴメス(エクアドル)と練習を行った45分の間、ほとんど同じ場所でボールを打っていた。その練習は、彼がいつもやっている厳しく追い込むようなものではなかった。

 そしてハリスとの試合でもナダルはエンジンがかかるまで時間がかかり、彼がようやく試合に入り込んだように見えたのは第2セットに入ってからだった。観客が入れ込み始めたのもその頃からで、ナダルがフォアハンドのパッシングショットを決めて3-1とリードしたときには多くのファンが立ち上がって声援を送った。

 しかし意外にも、第3セットの終盤にかけてよろめいたのはナダルのほうだった。彼は次のターゲットとなるUSオープンに向けて、体勢を立て直す必要に迫られている。ナダルは2019年にフラッシングメドウで優勝したが、昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに関する懸念を理由に欠場していた。

「正直なところテニスに関して言えば、僕は多くのいいプレーをした。一番よかったのは大事な場面で踏み止まり、冷静さを保ったことだと思う」とハリスは試合後に話した。

 ハリスは次のラウンドで、2015年大会のチャンピオンで2014年USオープン準優勝者の錦織圭(日清食品)と対戦する。錦織はこの日、第7シードのキャメロン・ノリー(イギリス)を3-6 6-3 6-3で退けた。

 過去2ヵ月はナダルにとって、容易なものではなかった。

「足に多くの問題を抱えていた。本当にトレーニングをしたかったのに、何日もまったく練習できなかった。でも僕は、できる限りのことはやったつもりだよ。僕はここでも懸命にトライした。そうだろう?」と彼は語った。

 そのほかの試合では第5シードのヤニク・シナー(イタリア)、第11シードのジョン・ミルマン(オーストラリア)、スティーブ・ジョンソン(アメリカ)、デニス・クドラ(アメリカ)、マッケンジー・マクドナルド(アメリカ)、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したジェンソン・ブルックスビー(アメリカ)が勝ち上がり、ベスト8が出揃った。

 シナーは期待の若手同士の対決となった3回戦で、第12シードのセバスチャン・コルダ(アメリカ)を7-6(3) 7-6(3)で倒した。男子テニス界で未来のスターと目されているふたりは今週、ペアを組んでダブルスにも出場している。彼らはツアーで知り合い、シナーがコルダにテキストメッセージを送ってダブルス参戦を打診した。

 ふたりはシングルスで勝ったあと、ナイターの試合でニック・キリオス(オーストラリア)/フランシス・ティアフォー(アメリカ)を6-4 6-4で下して準決勝進出を決めた。

 今季に入って躍進を遂げている20歳のブルックスビーは、第2シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を6-3 6-4で破る番狂わせを演じた。

 先月のウインブルドンで8強入りしたオジェ アリアシムはブルックスビーについて、「彼は将来、危険な選手になるだろう」と評価した。

 準々決勝ではシナーがジョンソンと、ミルマンがブルックスビーと、クドラはマクドナルドと顔を合わせる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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