第39回第一生命全国小学生テニス選手権大会は、東京都世田谷区の第一生命保険株式会社相娯園グラウンドテニスコートで最終日を行った。

　女子シングルスは、前日に日没順延となった服部天寧（三重・四日市市立三重北小学校6年）と吉田紗良（神奈川・大和市立引地台小学校6年）の準々決勝を最初に行った。1セットオールから再開。事実上の1セットマッチ、しかも準々決勝まではノーアドバンテージ方式とあって、両選手の緊張感が伝わってきたが、最後は服部が吉田の追い上げをしのぎ、6-4で制した。

　準決勝は第1シードの石井心菜（東京・北区立浮間小学校6年）と第3シードの森下結有（三重・鈴鹿市立飯野小学校6年）、第2シードの駒田唯衣（愛知・一宮市立千秋東小学校5年）と第7シードの服部の顔合わせとなった。

森下は勝負どころで押しきられた（写真◎真野博正）

　石井と森下は、球質は異なるがともに強打の持ち主。スコアは競ったが、第1シードの石井が要所で力強さを発揮、ストレート勝ちをおさめた。もう一方の準決勝は東海勢同士の対決となり、第2シードの5年生・駒田が地区大会決勝に続いて1学年上の服部を破った。フォアハンドの逆クロス、バックハンドのダウン・ザ・ラインを軸に攻め、試合の中での調子の波もほとんどなかった。

　決勝は上位2シードの直接対決となった。最初のセットを石井、次のセットを駒田が取り、予想通り熱戦となったが、最終セットは最初の2ゲームで石井が流れを引き寄せ、6-0で圧倒した。

　分岐点はこのセットの第1ゲームだった。「デュースで競って、（ゲームを）取ってから全部入るようになった」と、ここから石井のプレーが尻上がりによくなった。駒田は「そこで取っていたら……。デュースが長く続いた分、相手も折れていたかもしれない」と逸機を悔しがった。

優勝を果たした石井には大物感が漂う（写真◎真野博正）

　第1シードの石井は5月に行われた全国選抜ジュニア12歳以下に続く「2冠」獲得となった。第1シードで臨んだ今大会。1回戦は第1セットを落とし、第3セットに代わるマッチタイブレークでは2-5まで引き離されるなど大苦戦した。「第1シードだから、相手が捨て身で一生懸命やってくる。それで相手の調子がよくなったり、自分が悪くなったり」と、挑戦を受ける立場の苦しさも味わった。だが、リードを許してもまったく動じない長所の持ち主だ。

「（セットを）取られても、そんな驚かないし、特に何も思わない。（ピンチの場面では）ちょっと落ち着いて、私が相手（の立場）だったら（リードしたことで逆に）びびるなと思って、それなら『入れよう』と」

　こうして状況を俯瞰し、緊張せずにできるところが大物だ。ショットはまだまだ荒削りだが、その分、伸びしろの大きさを予感させる。

5年生にして準優勝を果たした駒田（写真◎真野博正）

　敗れた駒田も大きなものを得たはずだ。「プレッシャーで弱気になってしまうところがあったのですが、だんだん強気になっていく感じでした」。以前なら弱気になりそうな場面でも「次、次、って、切り替えていけた」という。大会で学べたものは、と聞くと「自信です」と即答。「自信で自分の調子も変わってくることを学びました」。わずか4日間の大会、しかし、若い芽はこうして大きく育っていく。