「凸凹のレッドクレーでの試合は危ないから早く終わってほしかった」下積み時代を振り返るオペルカ
身長2m11cmのライリー・オペルカ(アメリカ)は長身から打ち下ろす強烈なサービスのイメージが強いが、実は繊細なタッチのボレーも得意にしている。動きも悪くない。今年8月28日に24歳になったばかりだ。2019年にツアー下部のチャレンジャー大会を中心に戦いながらトップ100を突破。今年8月の国立銀行オープン(ATP1000シリーズ)で準優勝して、キャリアハイのランキング23位にまで上昇した。
USオープンを前に過去の下積み時代、自身について語った。
「僕のテニスキャリアにおいて暗黒時代でよく覚えているのは、中央アメリカでチャレンジャー大会に出場していたとき。サーフェスはレッドクレーで、ほとんどプレーできるようなものではなかった。僕はコーチと一緒にいた。そのとき、ジョン・イズナー(アメリカ)がマイアミの決勝でアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦するから、練習を中断してスコアをチェックしたのを覚えている。僕はその大会の試合でボール交換のタイミングになったけど、新品のものが足りなくなった。それで、第1セットの途中でまったく違うメーカーのボールに交換したんだ。コートはごつごつしていて、簡単に足首を捻ってしまうようなもの。プレーしたくなかったね。戦意喪失した。イライラもしていなかった。とにかく、ケガなくその試合を乗りきりたかった。まだフィジオはおらず、自分でトレーニングしていた。外はめちゃくちゃ暑いのに室内の選手ラウンジもなかった。そこでイズナーがマイアミで優勝したのを見て、おめでとうと言う気持ちと同時に“これが同じスポーツなのか?”ズベレフとイズナーが対戦したのと、自分がプレーしているのは同じテニスなのかと疑問に思ったよ」
今年のUSオープン・シリーズでは観客から大歓声を受けてプレーしていた。自分の過去を考えると、この環境をどう思っているのか。
「ほとんどの選手が劣悪な環境を経験している。何人かを除いてね。もしかしたら、イズナーもそうかもしれない。彼はグランドスラムの予選を戦ったことがないからね。ほとんどすべての選手がキャリアで下積みの日々があるものだ。僕の苦労はそんな大したことない。何もないところから突然大きな成果を挙げる選手の素敵なストーリーだってある。だが、多くのスポーツ選手が過去に苦しい時期を乗り越えている。僕の経験は何も特別なものじゃない」
コート上での落ち着きが素晴らしい。これは人格的なものなのか、そこに辿り着くのにトレーニングが必要だったのか。
「トレーニングをかけてここまできた。でもまだイライラすることがある。今後も取り組まなければいけない課題だ。ベストの選手たちを倒すのに欠かせない部分だ。余計なことに時間、エネルギーを費やしたくないんだ。心の扉を広げて、怒りを解放するんだ。それより試合を優位に進めるためにできることをやる。戦術的なこと、相手が何をしようとしているのか、自分がやるべきことに集中するようにしている」
多くの若いアメリカ人選手が伸びている中で、リーダーのような位置にいることをどう感じているか。
「自分をリーダーとは思っていない。メディアはアメリカのテニスについて物凄くネガティブだ。今はトップ100に14人の選手がいるんだ。メディアがそれでもアメリカテニスに対して批判的になると、僕には返答するのが無駄なように思える。そんな意見は聞きたくもない。アメリカには素晴らしい選手がいる。イズナーはトップ20を10年間もキープしている。フランシス・ティアフォー(アメリカ)はオーストラリアン・オープンでベスト8、多くのトップ選手を倒してきた。トミー・ポール(アメリカ)はこの2年間素晴らしい成績を残している。テイラー・フリッツ(アメリカ)も長いことトップ30をキープしている。メディアはアメリカテニスに厳し過ぎる。信じられないほど優れたトップ選手がいた時代と比べても意味がないんだ。テニス自体が変化している。あのころとは別物だ。アメリカテニスは現在素晴らしい位置にいる。女子に関してはビーナスとセレナのウイリアムズ姉妹(アメリカ)がいて幸運だった。今はココ・ガウフ(アメリカ)が出てきて、マディソン・キーズ(アメリカ)も頑張っている。アメリカのテニスは現在素晴らしい。問題はメディアであり、選手たちには何も問題ない」(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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