公益財団法人日本テニス協会（JTA）などが主催する「DUNLOP全日本ジュニアテニス選手権'21 supported by NISSHINBO」（大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター、江坂テニスセンター／8月23～30日／ハードコート）の大会7日目は昨日まで江坂会場で戦っていた14歳以下と12歳以下も靭会場に移り、全年代男女の単複準決勝が行われた。

　18歳以下の女子シングルスでは第2シードの石井さやか（関東／HSS）が大橋麗美華（関東／荏原SSC）を6-4 6-2で下し、インターハイ・ベスト4の吉本菜月（中国／岡山学芸館高）は第10シードの石川こころ（関西／トップランAIOI）に6-3 6-1と快勝した。

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　2日後の8月31日が16歳の誕生日という石井が、16歳以下のカテゴリーでなく18歳以下に挑んでいるのは特段不思議なことではない。昨年は愛媛で開催されたITFグレード5のリポビタン国際ジュニアで優勝し、全日本ジュニア選抜室内（JOCカップ）では最年少の一人だったものの3位の成績を残した。今大会もここまで4試合のうち半分がフルセットとはいえ、順当な勝ち上がりだ。

　しかし、「誰と当たっても年上だし、特に今年がジュニア最後の年という人は意気込みも凄い」と石井。この日の準決勝の相手も、特別な思いで臨む18歳の大橋だった。大橋は盛田正明テニスファンドの奨学生として12歳のときに渡米し、4年近くの間は主にアメリカで過ごした。全日本ジュニアは14歳以下で出場した2016年以来となる。それに加えて関東ジュニアでは3回戦で石井に敗れており、この一戦にリベンジを期していた。

　試合は大橋のブレークでスタートし、石井が第6ゲームでブレークバックに成功した。カギになったのは第9ゲームだ。大橋は「デュースが続く長いゲームで、私はリスクがあってももう少し自分から積極的に展開できればよかった」と悔やんだ。

　170cm超と長身の石井はワイドへのサービスを効かしてピンチを凌ぎ、次のゲームをブレーク。そのまま第1セットを6-4でものにすると、第2セットも流れを渡さず6-2で奪った。

　ときに攻めすぎてミスが多くなりがちという石井だが、この日は大事なところで丁寧に我慢強くプレーしながら攻守のバランスをうまく取った。

「スコアよりも力は本当に僅差で、最後は粘り強さとかそういうところがカギになる試合だったかなと思う」

　明日、15歳最後の日を快進撃のまま締めくくることができるだろうか。決勝の相手は、やはりジュニアのラストイヤーに意気込みを見せる吉本との初対戦だ。一昨年の全日本ジュニア選抜室内と今年のインターハイでのベスト4を経て準決勝の壁を突破した吉本にとっては、念願の全国初タイトルがかかっている。（ライター◎山口奈緒美）