今年最後のグランドスラム大会「USオープン」（アメリカ・ニューヨーク／本戦8月30日～9月13日／ハードコート）に向けて大坂なおみ（日清食品）が記者会見で抱負を語った。

「グランドスラムは他の大会とは別物。1試合ずつ戦っていく、皆が勝ち上がりを予想するけど、それはほとんど当たらない。私にとって、観客の前でプレーすることが大きなエネルギーになる。とてもエキサイティングで楽しみ。ニューヨークが大好きだから、2週間ずっとここに留まれたらいい。でも実際、この大会のためにここにいられることだけでもハッピー」

　昨年は素晴らしい成功をここで収めたが、戻ってきた感想を。

「素晴らしい気分。ここに来るときはいつでも気分がよく、さらに優勝した素晴らしい思い出もある。でも、正直一番の思い出は子供の頃、この敷地内を走り回っていたこと。その思い出がここでいいプレーができる要因なのかはわからないけど、ここには間違いなく懐かしい記憶が蘇る」

　公の場所に出るとき、少し気にし過ぎてしまう面があると自分で言っていた。ふたたび多くの観客の前でプレーするのが楽しみか。

「間違いなく、これまでとは違った感じ方になると思う。どう表現していいのかわからないけど、自分と違った考え方の人の視線を乗り越えることが必要だった。それと同時に、それはそれと受け入れようともした。人が自分のことをどう思っているのか変えることはできない。私は私のやるべきことをやるだけ。観衆がいることに少しナーバスになるかもしれないけど、1回戦はいつでも緊張するもの。身を任せるしかない。その状況になったら、わかるのかもしれないけど」

　この数ヵ月はあまりいい結果を残していない。今大会に臨むのに当たり、自信の面で自分のプレーがどのレベルにあると感じているのか。

「今年はたくさんの試合をプレーしていないのを理解している。大会でベスト8にも届いていない。でも、現在の自分のプレーには満足している。シンシナティで凄くタフな2試合を乗りきった。私が負けた選手は、凄くいいプレーをしていた。対戦したことがないから、相手についての情報もなかった。試合のリズムは絶対に必要なもの。文字通り、私はその直前は大会に出ていなかった。でも、今の自分のプレーにはまずまず自信を持っている。今大会、物凄いことを成し遂げると宣言している訳ではない。私は1試合ずつ戦っていくタイプ。それが結果に結びつけばいい」

　観客に関してはどう？　昨日は自分が昔プレーしていたクイーンズのコートで素晴らしいイベントだった。観客が自分の助けになると思っている？

 「観客がいることは素直に喜んでいる。私が地元の人気ナンバーワンだとは思わない。ココ（ガウフ／アメリカ）もいるしね。彼女もここで大人気でしょ。昨日、クイーンズのイベントでダニール・メドベージェフ（ロシア）が一番好きな選手だという子供がいてビックリした。ロジャー・フェデラー（スイス）が好きというファンが多いのかなと思っていたから。新たな世代が出てきて活躍し、ファンがこの新しい選手たちが一番好きだと言うのは素晴らしいこと」

　コート上を聖域のように感じて、コートに立てば普段の生活のことを一切忘れて試合に集中できるという選手もいる。あなたも同じですか？

「私にもそのように線引きをできればいいけど、実際はできない。私はすべてのことが繋がっているタイプ。私のキャリアがまだ浅いころはそれが顕著に見られたと思う。私生活でうまくいっていないことがあれば、それは私のコート上のプレーにも表れていたはず。その線引きができるロボットのスーパーマンになって、コートに立ったらテニスのことだけに集中してプレーできたら、最高だと思う。私は一度にいろんなことを考えてしまうタイプ。だから、ときにすべてがごちゃまぜになってしまうことがある」

　アシュリー・バーティ（オーストラリア）が素晴らしいシーズンを送っているが、彼女の成功している要因は何だと思うか。 

「彼女は素晴らしいシーズンを送っている。このように継続して素晴らしいプレーを見せるのは本当に凄い。彼女のようなシーズンを送ったことがないから、要因は彼女に聞いた方がいい。彼女は凄く強い気持ちを持って、常に集中していると思う。オーストラリアンオープン以降は一度もオーストラリアへ帰っていないようだから、移動ばかりで大変だと思う。私に同じことはできない。本当に凄いし、素晴らしいこと」

　スタンドにファンが戻り、記者会見もリモートではなく、人が会見場に入って行われる。自分の心地よさという面で何か違いはある？

「会見室で人がいるほうが断然いい。私は心地よければ冗談を言ったりもする。スクリーンの前に座って話すのは凄く話しづらかった。それが会見で不安になる大きな要因だったのかもしれない。直接人と話す方が気分も断然いい」

　クイーンズでのイベントで思い出した過去の思い出を教えてください。

「凄く楽しく、素晴らしい気分だった。フロリダに引っ越してから一度もクイーンズのコートを訪れていなかったから。8歳のとき以来かな。子供のころからそこにいる人が今もいてくれたのが本当にうれしかった。皆イベントに出てきてくれた。皆が“両親に伝えたいことがあるから！”と言って、ここに父と母を呼ぶように皆が促すの。大きな家族のような存在で、みんな私が子供の頃に面倒を見てくれた。皆が変わらず元気なのを見られたのは本当に素晴らしかった」

　ロラン・ギャロスでの発言後、いろいろ学んだことがあると思うが、具体的に教えてもらえるか。

 「あのとき自分が間違いをおかしたことがたくさんあったと思っている。でも私は正直な人間で思ったこと、感じたことをすべて言ったり、行動したりしてしまう。悪いことだとは思わないけど。よりうまくできるようにいろんなことを学んだ。同じことはもう起こらないはず。もし一言でいうなら、自分ではあれほど大事になるとは思っていなかった」

　昨年は7つのマスクを用意して決勝まで勝ち上がった。今大会はどんなモティベーションで臨むのか。

「私は何か大きな目標があるほうが力を発揮できる。面白い話があるの。本当は引退後に話したいけど、なぜ私がオーストラリアンオープンでいい成績を残せるのか。コートに入場するときに通る廊下に私の写真が飾ってあるから。昨年のUSオープンではすべてのメッセージを披露する大きな目的があった。今はあれほど大きなメッセージなどがない。だから、今大会で何が自分のパワーの源になるのか、楽しみでもある。もちろん、自分は競技者で勝ちたいと思っている。昨年よりいいプレーがしたいという欲求がある」

　ファッションが大好きなようだが、子供服をデザインするつもりはないのか。

 「可愛いし、いいね。正直プランはなかった。今ここで話していいのかわからないけど、ヨネックスと一緒に子供用ラケットのデザインをしているの。服ではないけど、今回のが最初のステップにはなると思う。でも今ここに代理人も一緒にいて、今の話を聞いているから、将来は実現するかもしれないね」（テニスマガジン）