悪役から人気者の座を掴んだメドベージェフがチチパスにアドバイス [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の大会5日目は、ボトムハーフ(ドローの下半分)の男女シングルス3回戦などが行われた。
ダニール・メドベージェフ(ロシア)はかつてUSオープンでブーイングの標的となったが、その数日後にはファンたちが彼を応援するようになった。そのことからもわかる通り、ニューヨーカーがステファノス・チチパス(ギリシャ)を愛すようになる希望はある。
しかしメドベージェフは、それを実現するための唯一の方法はチチパスが最初に観客を怒らせる原因となったことをもう繰り返さないようにすることだと考えている。
「2019年のことを思い出せばわかると思うが、僕は間違いを犯した。ただ僕は別の試合をするときに同じミスを続けはしなかった。そうでなければ、観客が応援してくれるようにはならなかっただろう。それが僕ができる唯一のアドバイスだよ」とメドベージェフはコメントした。
その2019年でのメドベージェフはルイ・アームストロング・スタジアムで3回戦をプレーしていたのだが、彼はまずボールパーソンからタオルを奪い取り、それからラケットを主審の方向にぽいと投げて最終的に額の横に中指を当てた。
試合後のオンコートインタビューでもっとヤジれと手を振って煽ったとき、彼はUSオープンの悪役としての烙印を自らに押したかに見えていた。しかし彼はそのあと悔い改め、1週間後にメドベージェフが決勝でラファエル・ナダル(スペイン)を5セットの死闘に追い込んだときには観客はメドベージェフを熱く応援した。
第2シードのメドベージェフは金曜日にそのルイ・アームストロング・スタジアムに戻り、パブロ・アンドゥハル(スペイン)を6-0 6-4 6-3で圧倒してフラッシングメドウで続いている自分への歓声を聞いた。
それに対してチチパスは、違うタイプの音を聞いている。
アンディ・マレー(イギリス)は1回戦でチチパスと対戦した際、彼が第4セットと第5セットに間に取った8分のトイレ休憩を長すぎると批判した。チチパスはアドリアン・マナリノ(フランス)との2回戦でも第3セットを落としたあとに同じような長いトイレ休憩を取り、戻ってきたときには観客からブーイングを受けた。
「彼とマレーに起こったことは変えることができない。彼はブーイングを受けた。少なくとも次の試合では8分も離れなければよかったのに、彼はやったんだ」とメドベージェフは語った。
チチパスは金曜日の試合後に声援を受けたが、彼にとって不幸なことにそれは彼が敗れてコートから退場するときだった。彼は第5セットのタイブレークで決着がついた3回戦で、18歳のカルロス・アルカラス(スペイン)に敗れるという番狂わせに見舞われた。
いずれにせよチチパスは、自分で物事を理解して答えを見つけ出しているだろうとメドベージェフは考えていた。
「彼には彼自身の人生があるんだ。彼は恐らく、僕のアドバイスなんかに耳を貸さないだろうさ」とメドベージェフは話した。(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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