驚異の逆転劇でバーティから初勝利のロジャーズが喜びに浸る「もう少しここに留まりたい」 [USオープン]

写真はキャリア最大の勝利のあと喜びに浸るシェルビー・ロジャーズ(アメリカ)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の女子シングルス3回戦で第1シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)に6-2 1-6 7-6(5)で競り勝ったあと、シェルビー・ロジャーズ(アメリカ)はアーサー・アッシュ・スタジアムのファンと携帯電話で思い出の写真を撮るなどしながら長い時間をコートで過ごした。

 彼女がバーティに勝ったのは今回が初めてだった。USオープンでだけでなく、キャリアで初だったのだ。

 今年の4度を含め、ロジャーズは過去5回の対戦で世界ランク1位のバーティに一度も勝ったことがなかった。だからこそこの女子ドローに勝ち残った唯一のアメリカ人であるロジャーズは自分の方法論に変化を加え、多様化させることを強いられた。

 騒々しい観客に促され、ロジャーズはムーンボールを打って我慢強くプレーした。そして混乱したバーティが多くのアンフォーストエラーを犯すのを待ち、バーティをまたもUSオープン早期敗退に導いた。

 第3セットで2-5と劣勢に立たされていたロジャーズはそこから巻き返し、タイブレークの末にバーティを倒して28歳のキャリアで最大の勝利をもぎ取った。

「私はただ、観客を引き込もうとしたの。もし落ち込んでいったとしても、死ぬ前の最後のあがきを見せてやると思っていたわ」とロジャーズは振り返った。

 サービスの調子を取り戻したロジャーズはバーティに対して鋼のような決意を固め、不可能かに見えたカムバックをやってのけた。

「目の前のことだけに集中し、2-5だということを考えないようする方法を見つけるのよ」とロジャーズは語った。彼女はここまで、世界1位の選手に対して0勝6敗だった。

 その負の連鎖を断ち切るのに、バーティは大きく寄与してしまった。バーティは今大会でここまで一度もセットを落としていなかったが、出だしからややずさんだった。彼女は第1セットで17本のアンフォーストエラーを犯し、第3セットで5-2とリードしていたときにさらに3本のミスを追加してロジャーズが試合の中に戻るのを許してしまった。バーティはサービング・フォー・ザ・マッチを2度迎えていたが、ロジャーズが2度ブレークに成功して追いついた。

「著しく不安定だったという意味で、第1セットでの私はかなりひどいプレーをしていたわ。やりたいと思っていたプレーのリズムを見つけることができなかったの」とバーティは肩を落とした。

 ロジャーズは1年前にここニューヨークでベスト8に進出した選手で、バーティは2019年フレンチ・オープンと今年のウインブルドンで優勝したがUSオープンでは一度も4回戦を超えたことがない。しかし前述の通りバーティに対して0勝5敗だったロジャーズは、ジミー・コナーズ(アメリカ)をついに打ち負かしたビタス・ゲルレイティス(アメリカ)が言った「誰もビタス・ゲルレイティスを17回連続で破ることはできない」という自虐的な言葉を引用して笑った。

「バーティは本当にいい人だから、彼女に負けるたびに怒ることはできなかったの。『またやられたわ』という感じね。それから『いつかやっつけるわよ』となるのよ」とロジャーズは話した。

 幸いにもロジャーズは、バーティに対する全敗記録を断ち切るのにゲルレイティスほど長く待つ必要はなかった。
 
 アメリカ人選手がプレーする際には大概そうであるようにアーサー・アッシュ・スタジアムの観客はロジャーズがウィナーを決めるたびに歓声を上げ、彼女は腕を振ってファンたちにもっと応援するように促した。

 勝利のあとにスタジアムの観客に投げキッスを送ったロジャーズは、「今年の観客は別のレベルね。皆さんは勝って欲しい選手を選んだ。今夜は私を選んでくれてありがとう」とファンに感謝の意を伝えた。

 月曜日の4回戦で、ロジャーズは予選から勝ち上がってきた18歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)と対戦する。ラドゥカヌはこの日、サラ・ソリベス トルモ(スペイン)を6-0 6-1で破って勝ち上がりを決めた。

 ラドゥカヌについて尋ねられたロジャーズは、今日の勝利について話したがった。彼女は次の試合でアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦するため待っていた同胞のジャック・ソック(アメリカ)に謝りさえした。彼女は試合に2時間8分をかけたあと、勝利の喜びに浸るためさらに少しの時間が欲しかったのだ。

「ジャック、あなたが早くプレーしたいのはわかっているわ。でも私はもう少しここに留まりたいの」

 のちに行われた記者会見で、進行役が彼女にニューヨークでの1週間について尋ねようとしていることがわからなかったときに「私はあまり記者会見に慣れていないの。ごめんなさい」と笑いながら言った。

 25歳のバーティはウインブルドンで優勝した1980年のイボンヌ・グーラゴング(オーストラリア)以来のオーストラリア人女子選手となり、今季はここまで5つのタイトルを獲得した。これはかなりいい成果だが、ニューヨークでは満足いく結果が得られなかった。

「燃料タンクに残量が十分残っていなかった感じね。今年はすべてをコートに出し尽くしてきた。今夜もそのことには違いはないわ」とバーティはコメントした。(APライター◎ダン・ゲルストン/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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