“どこからともなく現れた男”ファン デ ザンツフープがUSオープンで予選から驚きの快進撃

今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の大会7日目は、ボトムハーフ(ドローの下半分)の男女シングルス4回戦などが行われた。
ボティック・ファン デ ザンツフープ(オランダ)が4時間20分に及ぶ“勝つかすべてを台無しにするか”のスリル溢れる勝利のため、初めてルイ・アームストロング・スタジアムでプレーしていたという事実自体が予選勝者の彼にとってすでに十分に驚くべき成果だった。
このUSオープンにやってくる前、ファン デ ザンツフープは一度もアメリカの地に足を踏み入れたことがなかった。ところが彼は今、壮大な規模の新たなステージに身を置いている。彼はフラッシングメドウで準々決勝に進出し、プロ化以降の時代でそこまで勝ち上がった3人目の予選勝者となった。
「大会前には、僕がここで準々決勝に進出すると予想したひとはひとりもいなかったと思う」と彼は語った。
あなたは思っただろうか?
日曜日にフファン デ ザンツフープは第11シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)を6-3 6-4 5-7 5-7 6-1で倒し、その“どこからともなく現れた”進撃を継続させた。
このUSオープンはすでに、無名選手やアンダードッグの台頭と番狂わせに満ちていた。女子はディフェンディング・チャンピオンの大坂なおみ(日清食品)と世界ランク1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)が敗退し、男子では第3シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)と第5シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)が姿を消した。
今大会でのファン デ ザンツフープは男子シングルス4回戦に進出した3人の予選勝者のひとりであり、このようなことが起きたのは大会が予選の記録を保管し始めた1982年以降で初めてのことだった。彼は1968年のプロ化以降の時代で、USオープンで予選から準々決勝に進出した3人目の男子選手として1999年のニコラ・エスクード(フランス)と2008年のジル・ミュラー(ルクセンブルク)に合流した。
ファン デ ザンツフープの名前など、一度も聞いたことがない?
それはもっともなことだ。USオープン前に9年間プロとしていたプレーしていた彼はツアーレベルでの勝利を5度しか挙げたことがなく、一度も世界117位を超えたことがなく、グランドスラム大会では一度も2回戦より先に進んだことがなかった。
しかし今、彼を見てみるといい。彼のUSオープンは、ほぼ無名の予選勝者にとって破格の成功をおさめている。
「今日は彼の戦術が完璧に機能していた。今日の彼は僕よりもいいプレーをしていたから、第3セットと第4セットでの僕は運に恵まれていたかもしれない」とシュワルツマンは相手を称えた。
それが続けられる間、ファン デ ザンツフープはできる限り楽しんでおいたほうがいいだろう。彼の次の相手は、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)に決まった。メドベージェフは第24シードのダニエル・エバンズ(イギリス)を6-3 6-4 6-3で下し、快調に準々決勝まで勝ち進んできた。
メドベージェフは3年連続でベスト8進出を果たす過程でまだ1度もセットを落としておらず、ファン デ ザンツフープは彼が今年のフラッシングメドウで対戦する3人目のノーシードプレーヤーとなる。
「僕は自分よりも優れている選手や一般的に強い選手と対戦するとき、自分のレベルも上がるんだ。だから僕は強い選手とプレーすることのほうがうれしいよ」と25歳のファン デ ザンツフープは次戦を見据えた。
今大会でのファン デ ザンツフープは、2回戦ですでに第8シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)を破っていた。彼はまた最初の3試合で第1セットを落としていたが、シュワルツマンとの試合ではこの傾向を覆した。
予選勝者たちにとって、今年はすでにビッグなシーズンだった。アスラン・カラツェフ(ロシア)は2月のオーストラリアン・オープンで予選から勝ち上がり、最終的に準決勝まで突き進んだ。
とはいえ、ファン デ ザンツフープがグランドスラム大会でサプライズを起こし得る徴候は明らかだった。彼は今年のグランドスラム大会予選で11勝1敗という戦績を残した。彼は予選決勝で敗れたウインブルドンでは欠場者が出たためラッキールーザーとして本戦入りし、2回戦に進出していた。
「僕は自分がトップ20やトップ10の選手を打ち負かすことができることをわかっていた。だけど今回のように頻繁に、一貫してできたことがなかったんだ。僕はここで本当に安定したプレーができているし、大会を通していいプレーを見せていると思う。だからこれは僕にとって、新しいことなんだ」とファン デ ザンツフープはコメントした。(APライター◎ダン・ゲルストン/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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