「母は25歳で引退したけど、私は今が絶頂期」元プロの母を持つサカーリが準決勝進出 [USオープン]

準々決勝でカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を退けたマリア・サカーリ(ギリシャ)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の女子シングルス準々決勝で、第17シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)が第4シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を6-4 6-4で倒してベスト4に進出した。

「よかった点から言うと、サービスが本当に本当によかった。自分では気付かなかったけど、ESPNの解説者パム・シュライバー(アメリカ)によると22連続ポイントがあったの? 自分でも感心した。自分へ期待する気持ち、ストレスレベルをうまくコントロールできたことにも満足している。終盤は試合を終わらせるのが難しかったけど、うまくやれたと思う」 

 次の準決勝はエマ・ラドゥカヌ(イギリス)が相手でこれまでとは違う、自分よりランキングの低い選手になる。

「彼女は新しい選手だから、まだ詳しく知らない。これまでのキャリアで最高の大会になっているはず。でもその力がある。自分が格上という意識はない。今残っている4選手は誰でも平等に準決勝で勝つチャンス、優勝するチャンスがある。現時点では4選手に25%のチャンス、明日残った2人には50%のチャンスがある。ここまで4人がきたのは偶然じゃない。皆いいプレーをしている。相手が5度棄権した訳でもない。今年2度目の準決勝、とても楽しみにしている」

 自分は26歳で他は23歳、19歳、18歳という事実をどう感じている?

「まだ自分がベテランだとは思わない。今はキャリアで最高の年齢だと思う。以前よりも成長している。すべての選手にはそれぞれブレイクするタイミングがあると思う。私には26歳でそのときがきたと思う。私はジュニアでは活躍できず、ツアー参戦が他の選手よりも遅れた。19歳の頃はまだ無名だった。人生で多くのことを犠牲にしなければならなかったのが、ようやく形になっている。26歳でこのような結果が出たことにとても満足している」

 メンタル面の強化に力を入れてきた。

「今シーズン私が一番成長した部分だと思う。成長しなければならないのはわかっていたけど、コートの内外でその正しい方法がわからなかった。今は私が目指している場所に近づいている。自分がここに値する選手であると信じられるようになった。今シーズンは自分が世界トップの選手のうちの一人だと証明できた。特にメンタル面を強化できた。年を重ねて成熟する部分もあるけど、皆が思っているよりも多くの時間をメンタルの強化に費やしてきた」

 何か秘密があれば教えてもらえないか。

「秘密は答えられない。でも、オフコートでのほうが大変だった。オンコートのことも自分の力でコントロールできなかった。これ以上は個人的なことだから言えない。でも本当にメンタル面では苦労して、本気で取り組んできた」

 フレンチ・オープンの準決勝に進んで、ギリシャ国内での注目度が一気に上がった。

「ギリシャ人にとって大きな出来事だった。これまでオンコートで言う機会がなかったけど、先月ギリシャで大きな火事があって被害が酷かった。だから、今大会の勝利はギリシャに捧げたい。ギリシャのために勝ち、特にこの大変な時期に人々を喜ばせるのは格別のもの。私はギリシャが大好きだから。私のことが今どれほどギリシャで話題になっているかはわからない。フレンチ・オープンと同じくらいかそれ以上の盛り上がりかな。フレンチ・オープンのあとはいいことばかりだった。誰からも批判的な言葉を受けなかった。私を見るとみんな笑顔で素敵な言葉を掛けてくれた。こんなことは人生でずっと続く訳がないから、今を噛み締めたいと思う。人々の記憶に残るだろうけど、10年、15年後には現役を退いているだろうから」

 2度目のグランドスラム準決勝だが、前回より自信があるのでは?

「フレンチ・オープンのとき、もう一度準決勝までたどり着けると思った。強い選手に勝ったから、運だけではなかった。今大会も厳しいドローだった。私よりも厳しかったのはスローン・スティーブンス(アメリカ)だったけどね。それでも、マルタ・コスチュク(ウクライナ)、カテリーナ・シニアコバ(チェコ)、ペトラ・クビトバ(チェコ)、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)、カロリーナ・プリスコバ(チェコ)を倒して勝ち上がってきた。タフな相手ばかりだった。勝ち進めば進むほど難しくなるけど、いいプレーを見せる必要があった。これだけいい選手を倒して準決勝まで勝ち上がったのは大きな自信になる。凄く気分もいい。私のテニスは凄くいい状態にある。メンタル面も落ち着いている。明日も試合があるから、今日の勝利で興奮し過ぎないようにしている。1日オフがあればまた違うけどね。2度目の準決勝、とても楽しみよ」

 パリの経験を今大会でどう生かすか?

「あのときの準決勝の第1セットで2ブレークアップにするチャンスがあったのに生かせなかった。そこでしっかり取りきれるようにしたい。第3セットで勝つチャンスもあったから、今回は違った方法でやりたい。でもプレー自体はあのときに比べてよくなっている。準備もできている。でも、明日はどちらが勝ってもおかしくない。相手のランキングが低いのは関係ない。彼女は強い。今日の試合の雰囲気が最高だったから、次も思い切り楽しんで勝ちにいきたい」


2020年の全豪オープンでマリア・サカーリ(ギリシャ)を応援する母のアンジェリキ・カネロポウロウ

 君の母親、アンジェリキ・カネロポウロウ(ギリシャ)がプロだった頃は、10代でグランドスラムを制するのは普通のことだった。当時について彼女から聞いたり、アドバイスをもらったことはある?

「母は25歳で引退して、今の私と同じ年齢で結婚した。私はまだまだ引退など考えていない。今はキャリア最高の時期。彼女がくれた一番のアドバイスは、今コートにいる時間を楽しむということ。多くの人に言われた。永遠にプレーできる訳じゃないから、今を楽しめとね。彼女のキャリアは短かったけど、私のは長くなって欲しいと願ってくれている。私はまだまだこれからで、引退など微塵も考えていない。彼女が経験して私に伝えてくれたのは、そんなところかな」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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