女子テニスツアーがペン・シューアイに関する懸念を理由に中国での大会開催を一時停止にすると発表

写真は2019年資生堂WTAファイナルズ深圳のドロー抽選会でのスティーブ・サイモンWTA会長兼CEO(Getty Images)


 女子テニスのプロツアーを運営するWTA(女子テニス協会)の責任者が水曜日、元政府高官から性的暴力を受けたと告発したペン・シューアイ(中国)の安全に関する懸念を理由に中国でのWTA大会の開催を停止すると発表した。これはあるスポーツ団体が中国に対して取った中で、もっとも強い反対の姿勢だと言える。

 元ダブルス世界ランク1位のペンは11月2日にSNSを更新して元副首相のジャン・ガオリー(張高麗)氏を性的暴行で告発したが、そのあと公の場から姿を消していた。

「残念なことに、中国の首脳陣たちはこの非常に深刻な問題に対して信憑性のある方法で対処していません」とWTAの会長兼CEO(最高責任者)であるスティーブ・サイモン氏は声明文の中で述べた。

「我々は今、ペンが今どこにいるのかは知っています。しかし私は彼女が自由で安全な状況に置かれているか、検閲や強制および脅迫の対象ではないかについて強い疑念を持っています」

 サイモン氏はペンの告発について、検閲のない「徹底的で包み隠すところのない調査」を繰り返し要請した。彼はまた、香港を含む中国での大会開催を一時停止するという動きは「WTA理事会の全面的な支援を受けて」決まったと明かした。

「ペン・シューアイが自由にコミュニケーションを取ることを許されず性的暴行の告発を撤回するようプレッシャーをかけられている様子であるときに、道義的な観点から私はアスリートたちにそこで競技しろと頼むことはできません」サイモン氏は語った。

「現状を踏まえた上で2022年に中国で大会を開催した場合、私は選手やスタッフたちが直面する可能性のあるリスクについても非常に心配しています」

 通常であれば中国では年間女子ツアー10大会を開催しており、その中には2019年から10年間に渡って行われる予定だった権威あるシーズン末のエリート大会「WTAファイナルズ」も含まれている。中国はWTAだけでなく、NBA(男子プロバスケットボールリーグ)やIOC(国際オリンピック委員会)を含む様々な国際的スポーツ団体にとって数十億ドル規模の収入源となっている。

 国際テニス名誉の殿堂のメンバーで女子テニスのパイオニアであるビリー ジーン・キング(アメリカ)は、「私はスティーブ・サイモンとWTAの指導者が中国と世界中で人権を擁護するために強い立場を取ったことを称賛します」とコメントした。

「WTAは選手の権利を擁護することで、歴史の正しい側に立つことを選択しました。これは女子テニスが女子スポーツのリーダーであるもうひとつの理由なのです」

 全米テニス協会(USTA)もサイモン氏とWTAを支持し、「この種のリーダーシップは勇気があり、個人の権利が保護された上ですべての声を聞くために必要なことだ」とツイートした。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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