世界トップのダブルスチームを擁するクロアチアがセルビアを倒して決勝進出 [デビスカップ・ファイナルズ]
男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリッド、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)の大会9日目は決勝トーナメントの準決勝1対戦がマドリッド会場で行われ、第4シードのクロアチア(グループD・1位)が第6シードのセルビア(グループF・2位)を2勝1敗で下した。世界最高のシングルスプレーヤーと世界トップのダブルスペアの対決でクロアチアが勝利を掴み、決勝進出を決めた。
第1試合で世界ランク279位のボルナ・ゴヨ(クロアチア)が同33位のドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)を4-6 6-3 6-2で倒す番狂わせを演じ、第2試合はノバク・ジョコビッチ(セルビア)がマリン・チリッチ(クロアチア)とのエース対決を6-4 6-2で制して1勝1敗となったあと、勝負のかかったダブルスでニコラ・メクティッチ/マテ・パビッチ(クロアチア)がジョコビッチ/フィリップ・クライノビッチ(セルビア)を7-5 6-1で退けた。
3年ぶり3度目の優勝を目指すクロアチアは決勝で、ロシア(グループA・1位)とドイツ(グループF・1位)の勝者と対戦する。
ダブルスが強いクロアチアのことを考えるとセルビア代表チーム監督のビクトル・トロイツキ(セルビア)が「重要」と位置付けていたオープニングマッチの第2シングルスを落とし、セルビアはいきなり窮地に立たされた。ラヨビッチは1-4から挽回して第1セットを先取したが、第2セット以降は200位以上ランキングが下のゴヨが相手を上回るプレーを見せた。ゴヨは試合を通して5度のブレークに成功し、チームに願ってもない大きな1勝をもたらした。
伏兵ゴヨにラヨビッチが敗れたことであとがなくなったセルビアはジョコビッチが責務を果たしてダブルス勝負に持ち込んだが、世界トップの実力を誇るクロアチアペアの研ぎ澄まされたチームワークを打ち破ることはできなかった。
「僕たちはできると信じてコートに出たが、ダブルスに持ち込まれると世界最高のチームが相手になるからもっとも厳しい戦いになることはわかっていた」とジョコビッチはコメントした。
「彼らはお互いをよく知っている。ひとりがパートナーを横切って動いてももうひとりがどこにいるのかわかっている。僕たちのようなシングルスプレーヤーは真ん中に戻るだけだ。彼らは常に完璧なショットを打たせるんだ」
ユーゴスラビア崩壊後に独立国家になった両国は2010年と15年に対戦し、いずれもセルビアが勝っていた。
ニコラ・カシッチ(セルビア)はダブルスでジョコビッチとペアを組む予定だったが、トロイツキ監督が土壇場でクライノビッチとの変更を決断した。
ダブルスの第1セットでジョコビッチは5度のブレークピンチをサービスエースなどで凌いだが、5-6からのクライノビッチのサービスゲームを落としてクロアチアが先行した。第2セットではメクティッチ/パビッチが2度のブレークに成功し、最後のショットをジョコビッチがアウトして試合に終止符が打たれた。
「僕たちは最初から本当に気合が入っていた。チームの全員が110%の力を出した。第2の男がまたも素晴らしい勝利を挙げてくれて、言うことなしだよ」とメクティッチは話した。
グランドスラム大会で3つのタイトルを獲得した壮大なシーズンを終えたジョコビッチは、セルビアがもう一度デビスカップで栄冠を勝ち獲りたいなら敗北から学ばなければならいと語った。
「痛ければ痛いほど、このような瞬間は人としても選手としても成長するために最高の機会となるものだ。今年の経験からいい教訓を得ることができるよう願っているよ。間違いなく僕たちは、常に一緒にプレーするダブルスチームが必要だ。そうしなければ、目標を成し遂げることは難しいだろう」
ファイナルズでは18ヵ国が3チームによる6グループに別れて総当たり戦を行い、各グループの1位と2位の中でもっとも成績のいい2チームが決勝トーナメントに進出して優勝チームを決定する。試合はベスト・オブ・3セットマッチで行われ、シングルス2試合とダブルス1試合で争われる。
昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、開催中止となっていた。オーストリアがロックダウンに入ったためインスブルックでの試合は無観客で行われ、トリノが収容人数の60%に制限され、マドリッドは最大75%までの観客動員が許可されている。
2019年大会では7日間に渡って全試合がマドリッドで行われたが、プレーヤーやファンから時間が遅すぎてスタンドに空席が目立つナイトマッチと対戦の間に十分な休みがないことに対する批判が出たため大会期間を11日間に延ばして会場を3都市に分けて行うことを決めていた。(APライター◎ジョセフ・ウィルソン/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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