ルブレフとメドベージェフを擁するロシアがズベレフ不在のドイツに勝利、ともに3度目の優勝を目指すクロアチアとの決勝へ [デビスカップ・ファイナルズ]
男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリッド、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)の大会10日目は決勝トーナメントの準決勝残り1対戦がマドリッド会場で行われ、ロシア(グループA・1位)がドイツ(グループF・1位)に勝って2006年以来となる3度目の優勝に王手をかけた。
第1試合でアンドレイ・ルブレフ(ロシア)がドミニク・コプファー(ドイツ)を6-4 6-0で退け、第2試合のエース対決でダニール・メドベージェフ(ロシア)がヤン レナード・ストルフ(ドイツ)を6-4 6-4で下して決勝進出を決めた。
消化試合となったダブルスでケビン・クラウィーツ/ティム・プッツ(ドイツ)がアスラン・カラツェフ/カレン・ハチャノフ(ロシア)を4-6 6-3 6-4で倒したため、最終的に2勝1敗でロシアの勝利となった。世界トップ30の選手を4人擁するロシアは、世界ランク3位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を欠くドイツより優位だと見なされていた。
大会を通してまだ1セットも落としていないメドベージェフは勝利を決めたあと、スタンドのほうを向いて足元のハードコートを繰り返し指さした。彼はもう1日マドリッドに滞在し、男子テニスでもっとも栄誉あるチーム対抗戦のトロフィーを母国にもたらすためにプレーすることになった。
ドイツファンと中立的なスペインの観客から野次が飛んだが、世界2位のメドベージェフは気にしていなかった。それどころか彼は観客たちを煽り、勝利の喜びに浸るロシア代表チームに向けて拳を突きだす前に反抗的に足を踏み鳴らしさえした。
それは単に自分たちのチームの祝い方で、「落ち着け」のジェスチャーが人気となったサッカーのような他のスポーツチームの真似をしただけだとメドベージェフは説明した。もし観客たちが誤解したとしても、それで構わないと彼は意に介さなかった。
「僕らはチームで練習したりトランプをしたりするときに冗談を言い合ったりしているんだ。クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)のようなサッカー選手がそうしているのを見たことがあるよ。僕たちは『落ち着け、落ち着け、落ち着け』と言ってやっているんだ。だからあんな感じで祝おうとしたんだけど、皆からブーイングが起きたね…」とメドベージェフは説明した。
「僕はとにかく日曜日もまだここにいることができて本当にうれしいんだ」
世界5位のルブレフは大会を通して何度もセットを落とし、弱さも見せていた。彼は日曜日に40歳で世界106位のフェリシアーノ・ロペス(スペイン)に敗れ、ロベルト・キロス(エクアドル)とエリアス・イーメル(スウェーデン)に3セットの戦いを強いられていた。
しかしこの日のルブレフは隙を見せず、世界54位のコプファーをわずか50分で一蹴した。彼は6本のサービスエースを決めて快調に第1セットを先取し、それから急激に力を弱めたコプファーは第2セットで3つのサービスゲームをひとつもキープすることができなかった。
USオープン優勝者のメドベージェフは自分のサービスゲームでほとんど問題を抱えず、どのタイミングでストルフのミスに付け込んでいくのかが焦点になっているように見えていた。ストルフも必死で食い下がったが、それも第1セット4-4の0-40までだった。彼はふたつのブレークポイントを凌いだが、次のポイントでアプローチショットをネットにかけて最初のブレークを許してしまった。
サービング・フォー・ザ・セットを難なくキープしたメドベージェフは第2セットでも3-2からブレークすると、そのリードを守りきって試合を締めくくった。
ドーピングによる国際スポーツ界での出場停止処分が現在も進行中のため正式にはRTF(ロシアテニス連盟)と呼ばれているロシアは日曜日に行われる決勝で、前日に世界ナンバーワンのノバク・ジョコビッチ(セルビア)率いる第6シードのセルビア(グループF・2位)を2勝1敗で破って勝ち上がった第4シードのクロアチア(グループD・1位)と対戦する。両国はともに、3度目のデビスカップ制覇を目指している。
「クロアチアは非常に強いチームだ。彼らはデビスカップで常に強豪であり続けている。僕は簡単な戦いになるとは思っていないよ。僕たちは勝つチャンスを掴むために最高のプレーをしなければいけない」とメドベージェフは気を引き締めた。
ファイナルズでは18ヵ国が3チームによる6グループに別れて総当たり戦を行い、各グループの1位と2位の中でもっとも成績のいい2チームが決勝トーナメントに進出して優勝チームを決定する。試合はベスト・オブ・3セットマッチで行われ、シングルス2試合とダブルス1試合で争われる。
昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、開催中止となっていた。オーストリアがロックダウンに入ったためインスブルックでの試合は無観客で行われ、トリノが収容人数の60%に制限され、マドリッドは最大75%までの観客動員が許可されている。
2019年大会では7日間に渡って全試合がマドリッドで行われたが、プレーヤーやファンから時間が遅すぎてスタンドに空席が目立つナイトマッチと対戦の間に十分な休みがないことに対する批判が出たため大会期間を11日間に延ばして会場を3都市に分けて行うことを決めていた。(APライター◎ジョセフ・ウィルソン/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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