若きシャポバロフとオジェ アリアシムが前年優勝国ロシアを倒してカナダを初の決勝に導く [ATPカップ]

写真は準決勝ロシア戦で勝負のかかったダブルスを制したフェリックス・オジェ アリアシム(右)/デニス・シャポバロフ(カナダ)(Getty Images)


 2020年に創設された男子テニス国別対抗戦「ATPカップ」(オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニー/1月1~9日/賞金総額1000万ドル/ハードコート)の大会8日目は準決勝「カナダ対ロシア」が行われ、デニス・シャポバロフ(カナダ)とフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)が率いるカナダ(グループC:1位)が前年優勝国のロシア(グループB:1位)を2勝1敗で下して初の決勝進出を果たした。

 第1試合はシャポバロフがロマン・サフィウリン(ロシア)に6-4 5-7 6-4で競り勝ち、第2試合でダニール・メドベージェフ(ロシア)がオジェ アリアシムとのエース対決を6-4 6-0で制して1勝1敗に追いついたあと、勝負のかかったダブルスでオジェ アリアシム/シャポバロフがメドベージェフ/サフィウリンを4-6 7-5 [10-7]で倒してカナダが決勝行きの切符をもぎ取った。

 ダブルスでのカナダは第2セット6-5リードからサフィウリンのサービスゲームをブレークすることに成功し、もつれ込んだスーパータイブレークでは第2セットでのいい波に乗るカナダが先に相手サーブからのポイントを取る『ミニブレーク』を果たして先手を取った。ロシアも次のポイントでミニブレークを返してすぐさま2-2追いつく意地を見せたが、その後は常にカナダが僅かに先行しながらの競り合いとなった。

 シャポバロフがボレーを決めて6-3としたあとロシアも巻き返して6-5と詰め寄ったが、そこでオジェ アリアシムが絶妙なドロップボレーを決めてスコアは7-5に。次のポイントでメドベージェフのリターンがラインを割って8-5となったあと、シャポバロフがポーチを決めて9-5としたカナダが最初のマッチポイントを迎えた。

 サフィウリンのサービスエースでロシアが最初のマッチポイントを凌いだあとオジェ アリアシムのダブルフォールトで9-7となったが、最後はまたもシャポバロフがバックハンドボレーでポーチを決めて死闘に終止符が打たれた。

 勝利後のオンコートインタビューでシャポバロフは、「フェリックスが素晴らしい仕事をしてくれた。僕は立ち上がりがよくなくて少しリターンに苦労したけど、僕らはいい戦いを見せた」と話した。

「僕たちには素晴らしい団結心があり、チームへの忠誠心を強く持っている。それが大きな助けになったよ」

 シングルスで完敗したあと、その失望からどうやって奮起したのか尋ねられたオジェ アリアシムは「ポジティブな姿勢を維持する必要があった。もちろんシングルスの第2セットがうまくいかなかったから大変だったよ。デニスが助けてくれて、チームも後押ししてくれたんだ」と答えた。

「それがATPカップの醍醐味なんじゃないかな。例えシングルスで負けても勝つことができる。本当にチームの支えがあってこそで、勝ち抜くことができてうれしいよ」

 昨年のATPカップ&デビスカップ優勝国であるロシアを倒したとはいえ、カナダの勝利は必ずしも番狂わせという訳ではない。メドベージェフは世界ランク2位だが今大会で活躍したサフィウリンは167位に過ぎず、対するカナダは世界11位のオジェ アリアシムと同14位のシャポバロフと粒揃いの上に2人ともダブルスで必要とされるスキルも兼ね備えている。また彼らはジュニア時代からお互いの特徴をよく知り合っており、2019年デビスカップを始めチーム戦でともに戦うことにも慣れている。

 カナダは大会最終日の決勝で、前日にポーランド(グループD:1位)を2勝1敗で破って勝ち上がったスペイン(グループA:1位)と対戦する。これは2019年デビスカップ決勝と同じカードで、そのときはスペインに軍配が上がっている。

「これは僕にとって最高の週のひとつだ。そして決勝で勝ち、さらにいい週にしたいと思うよ」とシャポバロフは意欲を見せた。

 3回目となる今年の大会は16ヵ国が4チームによる4グループに分れて総当たり戦を行い、各グループの1位が決勝トーナメントに進出して優勝チームを決定する。試合はシングルス2試合(ベスト・オブ・3セットマッチ)とダブルス1試合(第3セット10ポイントマッチタイブレーク)で争われ、先に2勝を挙げたチームが勝者となる。(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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