「ラファや“ビッグ3”が優遇され過ぎている」準々決勝でナダルに敗れたシャポバロフがアンパイア批判 [オーストラリアン・オープン]

準々決勝の途中でネット越しにラファエル・ナダル(スペイン)と話すデニス・シャポバロフ(右)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で第6シードのラファエル・ナダル(スペイン)に3-6 4-6 6-4 6-3 3-6で敗れた第14シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)が、試合後に不満をぶちまけた。

あれほどフィジカル、メンタル的にも力を振り絞ったのに報われなかったとき、どんな気分になる?

「タフだよ。フィジカル的には大丈夫だ。メンタル的にはこの試合を落としたのはきつい。勝てると思った。第3、4、5セットでは自分のほうがいいプレーをしていると感じ、チャンスも多かった。たったひとつの悪いゲームで敗れた。こんなのはクソだ。大会全体はいいものだったけどね」

アンパイアとは何を話していたんだ? 少しずつ鬱憤が溜まったのか、あのときに突然怒るような何かがあったのか?

「”嘘つきだ!”と僕が彼に言ったことは失言だったと思う。感情的になっていた。でも、自分の言い分もある。ラファが優遇されているのはフェアじゃないと思う。僕は完璧にプレーする準備ができていて、ショットクロックが3・2・1とゼロに向かっていた。僕はアンパイアを見上げて、何かを言おうと声を上げた。1分半も準備ができていたのに、僕が準備ができていないからラファにはコードバイオレーションを与えないと言っていた。冗談じゃないよ」

「第4セットが終わったとき、ラファは一度コートを去った。昨年の同じ状況のとき、僕がドクターを呼んだときにトイレブレークを取ることが許されなかった。彼はこの試合で既に2度メディカルタイムアウトを取っていたんだ。アンパイアには“彼は診断を受けている”と言われたんだ。診断を受けたあとに彼はトイレブレークを取った」

「境界線はどこにあるんだ? ラファが信じられないほど凄い選手で彼の成し遂げてきたすべてをリスペクトしている。でも、ルール上のボーダーラインがどこかにあるはずだ。選手としてとても不満だ。相手と戦っているだけじゃなくて、アンパイアとも戦わなければならないのは荷が重すぎる。第4セットが終わったあと、再開までの時間が長過ぎた。流れもまったく変わってしまった。これでプレーするのは難し過ぎる。ラファに対して不平がある訳じゃない。彼は偉大な選手だ。彼の偉業はすべてリスペクトしている。でも、アスリートとしてこれらすべてのことを相手にしなければならないのはあまりに困難でストレスが大きい」

彼の存在自体が大きいから優遇されていると?

「そういうことだ。100%そう思う。今日以外のすべての試合でアンパイアがしっかりショットクロックを見ていたから、ポイント間が短く早いテンポで進んでいた。でも、この試合では第2セットが終わったあとは1時間半くらいかかった。すべてのポイント間で長い時間を取ったからね。セット間も凄く長い時間を与えられている。とにかくすべてが長引かせられた」

「僕が昨年のオーストラリアン・オープンでメディカルタイムアウトを取ったとき、トイレに行くことが許されなかった。彼がメディカルを求めたことが問題ではない。検査を受けたと同時にトイレブレークも取って、試合をかなり遅らせたことが気に入らないんだ。公平じゃない」

ネット際で君とラファが何か話していた。友好的な雰囲気だったが、どんな内容だった?

「ラファについての話じゃなかった。ラファがサービスを打つときにアンパイアは彼のことを見ているものだと思ったら、僕のことをじっと見ていた。意味がわからない。ラファがサービスの準備をしていてショットクロックがあるなら、アンパイアはサーバーを見るべきだろう? 僕は“どうして僕のことを見ているんだ?”という態度で見返したよ。そこで僕の失言があったけど、僕のことをじっと見つめるから何か問題があったのかと思った。だから、ラファ自身に対するものではなかったと本人に説明したんだ」

それに対してラファは何と言った?

 「いや、混乱した様子だった。何があったのか聞いてきただけだった。そこでは何も問題はなかった」


試合中、苛立つシーンが目立ったデニス・シャポバロフ(カナダ)(Getty Images)

第1、2セットは緊張のためか、よくなかった。2セット奪われるまでエンジンがかからない様子だった。

「少しナーバスになっていた。居心地がよくなかった。久しぶりのロッド・レーバー・アリーナでの試合だった。間違いなくラファのほうがリラックスしていたはずだ。僕はとにかく試合に入っていかなければならなかった。サービスもリターンもよくなかったのでリズムがまったく掴めなかった。そのあと何とか持ち直して反撃できたことには満足している。第3、第4セットで自分のプレーを取り戻せた。グランドスラム大会では自分のプレーができるようになるまで、ある程度の時間が必要なんだ」

どんなところにフォーカスした?

「リターンが酷かったから、構えを少し高くした。それで彼のサービスがよく見えるようになり、リターンがよくなった。サービスも多少はよくなったけど、今日は最後まで満足できるものではなかった。原因はわからない。もしかしたら、少し違うコート環境かもしれない。サービスが悪く、もっといいのが打てたはずだ」

それがビッグ3と対戦するとき重要なカギだと思う? ときに相手をリスペクトし過ぎて一歩引いてしまい、自分を奮い立たせないと相手と戦えなくなってしまうものだ。

「それは間違いないね。僕は彼らが成し遂げたことをすべてリスペクトし、感謝している。でもダニール・メドベージェフ(ロシア)が言ったように、ファーストサーブとセカンドサーブの間にファンが大声を出すべきじゃない。それはすべての選手に対して敬意を欠いている。もし本当のテニスファンなら、両選手が頑張っているのを理解できるはずだ。僕には選手が重ねてきた努力がわかる。ベストを尽くそうとしているのに、なぜファーストサーブとセカンドサーブの間に拍手をするんだ? 必要ないんだ。すべてがもっと公平であるべきだと思う。ビッグ3はその実力だけでも倒すのが相当難しい。そこにさらにアドバンテージを与えてしまうと、それだけ倒すのが難しくなる。彼らは偉大なチャンピオンでレジェンドだし、彼ら自身には何の不平もない。でもコートに立つときはどの選手に対しても平等にして欲しい」


最後のプレーでボレーをミスしたデニス・シャポバロフ(カナダ)がその場でラケットを破壊、そのままコートに置き去りにした(Getty Images)

試合を振り返って、勝負を分けたのはラファのプレー? 或いは自分自身のプレーだった? 

「両方かな。ラファは第5セットでピンチを迎えたとき、突然サービスを思い切り打ち始めた。僕がコート上で心地よくなかったのも確かだ。彼は相手にどんどんプレッシャーを掛けてくる。必要なときにアグレッシブになり、ボールを何度でも返してくる。いろんな要素がある。他の相手なら、僕にもっと自由にプレーさせてくれると思う。彼は本当に難しい。だから、両方だと答えたんだ」

ラファがフィジカル面で苦しんでいるのはどの時点で気づいた?

「フィジカル的には問題なかったはずだ。5セットマッチなんだから、どちらもフィジカル的に苦しんでいた。彼は痛み止めのためにトレーナーを呼んだんじゃないのか。でも彼は最後までコートに立っていた。何があろうと関係ない。僕にだって痛みや涙がある。僕もこの大会を100%の状態で戦えた訳じゃない。だから、そこにはあまり注意していなかった」

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写真◎Getty Images

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