「今はゾーンに入っている。そこから出る予定はないよ!」準決勝進出のチチパス [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)が第11シードのヤニク・シナー(イタリア)を6-3 6-4 6-2で退け、ベスト4に進出した。
2022年のここまででベストマッチだった?
「まだ始まったばかりだから早すぎるんじゃないか? でも最初から最後まで素晴らしいプレーができた」
ファーストサーブの次のショットの90%がフォアハンドだった。これは取り組んできたこと?
「たまたまフォアに返ってきただけだから、それを生かしただけかな。狙っていたことじゃない。チャンスがあると思ってフォアハンドで決めにいった」
これまで君はコート上での謙虚さについて何度も話してきた。それがテニスの勝敗に関係すると思うのはどんな理由から?
「調子がいいときは自分を必要以上に称えてしまう。そのとき地に足を着けて、自分が大きな目標を目指している人間であることを思い出すことが大事だ。その素晴らしいものを達成するために可能な限りすべてを尽くし、その方向に集中することが重要なんだ。完璧になるのは不可能だが、完璧にできる限り近づこうと努力すればいい」
この考え方に至ったきっかけはケガや敗戦から?
「いろんなことさ。ケガでいろんなことを学んだ。辛抱強く待ち、よりよい準備をすることを学んだ。人生でいろんなことを考え、振り返る時間を取るようになった。現在自分が辿り着いた場所、毎日テニスの練習ができること、一緒に働いてくれる人や自分のことを気にかけてくれる人がいることを過小評価しがちになるが、それらすべてに対する感謝の気持ちを忘れてはいけない。少し質問から脱線したけど、謙虚さは日々の生活からくるものだ。そしてすべての人間は平等なのだから、自分が誰よりも上などとは考えないことだ」
今日のパフォーマンスをこの大会の他の試合を比べてどう思う?
「今大会ここまででベストのパフォーマンスと安定感だ。かなりよかった。僕のテニスがそれを証明した」
オンコートインタビューでフランク医師への感謝へのメッセージを伝えた。彼は君がこの大会に間に合わないと思っていたと言った。少しその話を詳しく教えてくれないか?
「フランク医師は過去の経験とこれまで治療してきた選手たちを診た経験から、そう思ったのだろう。僕の回復が彼の予想を大幅に上回る早さで驚いていた。彼の狙いはわからないが、僕が少しでも早く回復するように刺激するために言ったのかもしれない」
準決勝の相手、ダニール・メドベージェフ(ロシア)と君との関係を教えてほしい。
「いい関係だ。レーバー・カップで少し仲よくなったと思う。この数ヵ月は2人で会話はしていないが、僕らの関係は同じ夢に向かって戦っているコートの上のライバルだ」
今日の若く才能豊かな相手との対戦をどう感じていた?
「ヤニクは勝利に飢えていて、ここで最高のプレーを見せたいと思っていたはず。ここまでの勝ち上がりで凄く調子がよさそうで、すべての試合で100%の力を発揮していた。僕も最高のプレーを見せようと燃えていたよ。できるだけ高いレベルのプレーが必要だとわかっていたからね」
君は蒸し暑い気候が苦手だと聞いたが、今日はきつかったのでは?
「今日はそこまで湿気がなかったと思う。確かに暑いけど、それほど湿気はない。湿度が高かったら、違った展開になっていただろう」
暑さを考えるとナイトゲームのほうがいい? 2019年のATPファイナルズでロジャー・フェデラー(スイス)に勝ったときもナイトゲームだった。
「どんな状況でも準備はできているよ」
今大会、今日の試合でゾーンに入っていると感じた?
「ゾーンに入っているね。そこから出る予定はないよ。僕のテニスの一部なんだ」
今日の自分のパフォーマンスに驚いているのでは? 手術をしたことも忘れてしまったのではないか?
「ありがとう。毎日フランク医師からメッセージがくるから、忘れることはないよ。いつも頭のどこかに入っている。試合に入るとき自分のベストを出そうとしている。何が起きるのか予想しようとして試合に入る訳じゃない。“3セットで勝てるかも?”などとは考えないんだ。1セットずつに集中して戦うんだ。すべてのセットを取るために全力を尽くし、その結果が最後にやってくる。どんな試合になるかなんて予想できない。相手がどんなプレーを見せようとも、すべての試合のために準備しなければならず、すべての試合が異なるものなんだ」
写真◎Getty Images
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