男子は相生学院(兵庫)が初優勝狙う大分舞鶴(大分)を退け3連覇、大会通して負け試合ゼロの完全優勝 [2022高校センバツ]
公益財団法人全国高等学校体育連盟などが主催する「大正製薬リポビタン第44回全国選抜高校テニス大会」(3月20~26日/団体戦:3月21~25日◎福岡県福岡市・博多の森テニス競技場、個人戦:3月23~26日◎福岡県福岡市・博多の森テニス競技場博多の森テニス競技場&福岡県春日市・春日公園テニスコート/砂入り人工芝コート)の競技5日目は男子団体決勝が行われ、第1シードの相生学院(兵庫)が第6~7シードの大分舞鶴(大分)を3勝0敗で退け3大会連続5度目の頂点に立った。
2020年の大会中止を挟んでの3連覇を狙う相生学院と、春夏を通して初めて団体戦で決勝に駒を進めた大分舞鶴。本命の相生学院に対して大分舞鶴が挑戦者という図式だったが、相生には昨年のインターハイで第1シードながらベスト16に終わった苦い経験があるし、大分舞鶴にとってはチームを率いて16年の大園洋平監督がこの大会を最後に同校を去るという状況が未知の力を生み出す可能性があった。月並みな表現だが、団体戦はやってみなければわからないものだ。
大園監督も相生学院の大﨑翔平監督も、揃ってダブルス1のベンチに入った。カギになるポイントだったことは間違いなく、シングルスよりも戦術が反映されやすいという点でも両監督の選択は当然だった。実際、一斉に始まったシングルス1&2とダブルス1の中で唯一大分舞鶴が1セット目を取ったのが、このダブルスだった。
両校の監督がベンチに入ったカギとなるD1で第1セットを先取した大野琢実(右)/糸永龍矢(大分舞鶴2年/1年)(撮影◎上野弘明)
ここまで負けなしの大野琢実(2年)/糸永龍矢(1年)は相手の動きをよく見てパッシングショットなどを痛快に決め、第1セットを6-3で先取した。しかし、相生学院の高畑里樹(2年)/唐津裕貴(2年)は第2セットの中盤からベースラインの打ち合いでもネットの動きでも好プレーを見せ始め、第7ゲームで初めてブレークに成功した。
「前半は固くてミスも多かったので、しっかり声出して、勢いをつけていこうと話しました」とキャプテンでもある唐津は振り返った。こうしてセットをタイに戻すと、最終セットは0-1から一気に5ゲームを奪って勝利へ猛突進した。
すでにシングルスは2試合とも片がついていた。まずシングルス2で山本夏生(1年)が齋藤樹市(2年)に6-3 6-1と危なげなく先勝し、続いて三城貴雅(1年)が髙妻蘭丸(2年)の最後の追い上げを振りきり6-1 6-4でエース対決を制した。
途中打ち切りになったシングルス3の坂本日色(1年)を含め、相生学院のシングルス3人は誰がエースでもおかしくなかったという。その中で2番手として戦うことになった山本は、準決勝でも真っ先に勝利を挙げた。そしてこう胸を張る。
「最初にいい流れを作るのが自分の仕事だと思っていたので、それがしっかりできてチームの助けになれたのがよかった」
S2で幸先よくチームの1勝目を挙げた山本夏生(相生学院1年)(撮影◎上野弘明)
山本は小学生の頃、父に連れられて行ったインターハイで相生学院の優勝を観たという。センバツでは2011年と2013年に優勝していた相生がインターハイで初栄冠に輝いた2016年のことだ。そのとき既に相生の選手たちが練習するトップランAIOIで練習していた山本は、普段コートで見る“お兄さん”たちが皆でひとつの勝利を掴み取る姿を、素直に「かっこいい」と感じた。子供心に感じ取った団体戦のスピリットは、今では自分自身の中に息づいているのだろう。〈世界〉を個人の目標に見据えながらも。
大﨑監督は、昨夏以降取り組んできたことを話してくれた。
「まずは個々の力量を上げることに努めました。具体的には、海外のITF(国際テニス連盟)の大会に挑戦したり、国内ならJTAの大会などで格上の選手と対戦する機会を増やしたり。日頃の練習でも、例えば同じメニューであってもその質を高めることを意識しました。うちではトップもそれ以外も関係なく全員で課題を共有して、同じ練習に取り組んでいます。なかなか目には見えないですが、それも団結力を高めるということに繋がるのかなと思います」
ひとつの成果は出たが、次の目標はもう掲げられた。もちろん『春夏連覇』である。(ライター◎山口奈緒美)
撮影◎上野弘明
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