ダブルヘッダーの金曜日、アルカラスがチチパスを倒して準決勝へ「僕にとってクレーコートで最大の勝利」 [バルセロナ・オープン]

写真は男子シングルス2回戦でのカルロス・アルカラス(スペイン)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/スペイン・カタルーニャ州バルセロナ/4月18~24日/賞金総額280万2580ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準々決勝で第5シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が第1シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)を6-4 5-7 6-2で倒し、今季4度目のベスト4進出を決めた。

 木曜日に予定されていた試合のほとんどが雨で流れたため、この日は3回戦に勝った選手の全員が同じ日に準々決勝を戦うダブルヘッダーを強いられた。チチパスがまず3回戦で第14シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を6-1 6-4で下し、アルカラスはワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したジャウメ・ムナール(スペイン)との同胞対決を6-3 6-3で制し、それぞれナイターの準々決勝に駒を進めた。

「恐らくこれは、僕にとってクレーコートで最大の勝利だ。信じ難いほど素晴らしかった」と勝利後にアルカラスはコメントした。

「僕は信じられないような試合をプレーした。今日の僕がコートで体験したのは、信じられないほど素晴らしい雰囲気だった。ここの雰囲気、観客、僕がプレーしたレベル…。すべてが信じられないような凄さだった」

 この勝利でアルカラスは、大会後に更新される世界ランクで初めてトップ10入りすることが確実となった。ATP(男子プロテニス協会)によれば、アルカラスは2005年のバルセロナを制したラファエル・ナダル(スペイン)がやってのけたのと同じ日に、彼と同じ年齢で成し遂げることになる。

 第1セット4-4から相手のサービスゲームを破って第1セットを先取したアルカラスは第2セットでも第3ゲームで目覚ましいバックハンドのリターンエースでブレークに成功し、チチパスが追うのを諦めるほど見事なこの日6度目のドロップショットによるウィナーを決めて4-1とリードしたときにはアルカラスがこのまますんなりと勝利に向けて突き進んでいるかに見えていた。

 しかしチチパスはそこから反撃を開始し、ときに辛抱強く、ときにアグレッシブなプレーで4ゲームを連取して完全に相手側に傾いていた流れを逆転させた。アルカラスも4-5とされてから立ち直りの兆しを見せたが、チチパスが6-5から3度目のブレークを果たしてセットオールに追いついた。

 第2セットを落としたあとにアルカラスはトイレ休憩を取ってコートを離れ、頭を切り替えて戻ってきた。

「とにかく気持ちを切り替えるためにトイレに行ったんだ。第2セット終盤にしていたプレーを変え、第3セットに集中するためにね。すべてを忘れ、第3セットで100%の力を注ぐだけだと言い聞かせたよ」とアルカラスはのちに説明した。

 その言葉通り集中力と前向きな姿勢を取り戻したアルカラスはアンフォーストエラーをぐっと減らし、第3セット開始直後にブレークすると一気に4-0とリードした。

 その過程では、ちょっとしたドラマもあった。0-3とされた時点で着替えるためにコートを離れたチチパスは、戻ってきて審判に注意されると「アルカラスのほうが長く外に出ていた」と抗議した。そのあとその件でペナルティポイントを取られて第4ゲームをアルカラスの30-0リードから始めていたことに気付いたチチパスは、更なる抗議で気持ちを乱すことになった。

 チチパスは何とか気持ちを立て直してもう一度流れを変えようと奮闘したが、アルカラスが重要なポイントでスーパーショットを繰り出し、もはや付け入る隙を与えなかった。

「僕は優勝候補を倒した。僕は素晴らしいレベルでプレーしている。僕にはタイトルを獲る準備ができていると思う」と試合後にアルカラスは自信を滲ませた。

 アルカラスは準決勝で、第10シードのアレックス・デミノー(オーストラリア)と対戦する。デミノーは3回戦で6-0とシードしたあとにロイド・ハリス(南アフリカ)が棄権したため短い時間で8強入りを決めたあと、準々決勝で第4シードのキャメロン・ノリー(イギリス)を6-3 5-7 6-1で退けた。

 もうひとつの準決勝は、第6シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)と第8シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)の顔合わせとなった。

 シュワルツマンが3回戦で20歳のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)に6-4 7-5で勝ったあと、第13シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)を7-5 6-4で破って勝ち上がってきた第3シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を3-6 6-2 6-3で振りきった。

 一方のカレーニョ ブスタは第11シードのロレンツォ・ソネゴ(イタリア)を6-2 5-7 6-2で倒したあと、第2シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)に4-6 7-6(8) 6-3で競り勝つという非常にハードなダブルヘッダーを勝ち抜いた。

 それに先立ち行われた3回戦ではルードがエミール・ラウスビュオーリ(フィンランド)を6-2 6-2で、ノリーはマートン・フチョビッチ(ハンガリー)を7-5 6-7(9) 6-4で破っていた。

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写真◎Getty Images

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