USオープン優勝者同士の対決はラドゥカヌの途中棄権でアンドレスクに軍配 [イタリア国際]

写真はメディカルタイムアウトを取って腰の治療を受けるエマ・ラドゥカヌ(イギリス/左)(Getty Images)


 WTAツアー公式戦の「BNLイタリア国際」(WTA1000/イタリア・ローマ/5月9~15日/賞金総額252万7250ドル/クレーコート)の女子シングルス1回戦で、第9シードのエマ・ラドゥカヌ(イギリス)がビアンカ・アンドレスク(カナダ)に2-6 1-2とリードされた時点で腰のケガを理由にリタイアした。

 注目を集めたUSオープン優勝者同士の対決は、ラドゥカヌの途中棄権という残念な形で終わった。WTA(女子テニス協会)によればラドゥカヌはここ数週間ほど腰に問題を抱えており、マドリッドの3回戦で敗れたあとに数日休むことでよくなることを願っていたが、思っていたほど回復できていなかったようだった。

 試合後にラドゥカヌは、「コートに出るまで、どれほど悪いのかは正確にわからなかった」と記者たちに説明した。

「私は未だ、どのようなときに体を酷使して頑張り抜くのが正しいのか正しくないのかについて学んでいる最中なの。私はこれらの大会で、そういったことを学んでいるのだと思う。多くの選手たちと違っているのは、私がそれを大きな大会でやっているということね」

 10代の終わりにいくつかのケガでツアーを離れたことがあるアンドレスクは、ラドゥカヌの状況に理解を示した。19歳だった2019年にインディアンウェルズで優勝を遂げたあと、肩のケガでクレーコートとグラスコートのシーズンを棒に振った経験を持つアンドレスクは、その年に復帰してからトロントとUSオープンでタイトルを獲得したが、WTAファイナルズで今度は半月板を損傷して15ヵ月の戦線離脱を強いられた。

「何が必要かを本当の意味で知るには、実際に経験してみなければいけないのだと思う。でも最高峰のプレーヤーたちと対戦しているときには適切な栄養摂取や正しいゲームプランを始め、肉体的にもメンタル的にも感情的にもすべてにおいて正しくなければいけないの」とアンドレスクは試合後の記者会見で語った。

「ツアー生活は簡単ではないわ。1月から10月末まで、本当に長い。適切にトレーニングを組まなければならないし、試合のプランもそう。またケガもテニスの一部であることを知らなければならない。でも一番いいのは、ケガを予防することね。私が彼女にできるアドバイスはそれよ」

 ラドゥカヌは今、あと2週間ほどで始まるフレンチ・オープンに向けて準備を整えることを最優先事項としている。ラドゥカヌはシュツットガルトやマドリッドでもそれなりの成績を残し、クレーコートでもいいプレーができるところを見せていた。

「ここ数週間は本当のポジティブだった。私は自分について多くを学び、私のテニスはこのサーフェスでも間違いなく上達したわ。でも私は、例え時間がかかっても背中を完治させる必要がある。いつ無理するのかしないのかについては今週のことで学んだから、無理をしてまで次の試合をプレーしたくないの。今回の判断は恐らく正しくはなかった」とラドゥカヌはここまでのクレーコートシーズンを振り返った。

「練習では1日に数時間プレーできていたから、奇妙だわ。でも練習と試合では、受けるボールの質が同じではないの。試合では間違いなく、必要以上に負担がかかっていると感じるから」

 一方のアンドレスクは、「私は自分の身体のことをますます知るようになってきていると感じているわ。そのおかげで自分のために(適切な)決断を下すことができる。でもそれと同時に私にはテニス界で長くやってきた経験豊かな素晴らしいチームがついてくれているから、彼らが私を助けてくれるしね。私は常にやろうとするタイプの選手なの。彼女もそうなんじゃないかしら。できるなら毎週プレーしたいと思っているくらいよ」と話した。

「私はすべてにとても満足している。基本的に私は全力で取り組んでおり、やりたいことをやりたいようにやると決めているの。確かにマドリッドでジェシカ・ペグラ(アメリカ)と対戦したときはアップダウンが本当に激しかったけど、あれで現実を把握できた。昨年の私だったら2日くらいは泣いていたと思うけど、そこから立ち直ることができた自分を誉めてあげたいわ。今の私は以前よりハングリーだし、成長していくための努力を続ける意欲に満ちている」

 アンドレスクは次のラウンドで、大坂なおみ(フリー)がアキレス腱のケガで欠場したため本戦入りの権利を手に入れたラッキールーザー(予選決勝で敗れたが欠場者が出たため本戦出場権を得た選手)のヌリア・パリザス ディアス(スペイン)と対戦する。

 パリザス ディアスは同胞のサラ・ソリベス トルモ(スペイン)が6-1 4-3としたの時点で背中の負傷で棄権を強いられたため、リードすらしていなかったにもかかわらず勝ち上がりを決めた。

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写真◎Getty Images

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