「ウインブルドンのポイントを加算しない」とATPが公式声明

2019年のハレ・オープンでサービスを打つロジャー・フェデラー(スイス)(Getty Images)


 ウインブルドンがロシア人選手、ベラルーシ人選手の出場を禁止したことに対する処置として、ATP(男子プロテニス協会)がウインブルドンで選手が獲得する予定のポイントを加算しないと発表した。以下がATPの公式声明の訳文になる。

 選手はいかなる国籍であろうと、自身の成績によってのみ、差別されることなく大会に出場できることはATPツアーの基本原則だ。ウインブルドンが今夏のイギリス内での大会でロシア人選手とベラルーシ人選手の出場を禁止したことは、この原則とATPランキングシステムの公平性を損なうものだ。ランキングのルールにも一貫性がなくなる。この状況に変化が見られないため、誠に遺憾ながら、2022年のウインブルドンで貸与されるべきポイントをすべて無効にする以外の方法が考えられなかった。

 我々のルールや協定は選手の権利を守るために存在する。このような性質の一方的な決定は、残りのツアー大会にとって悪しき前例となってしまう。30ヵ国以上で開催されているツアーにおいて、ある一つの大会による差別は認められない。

 我々は長年のウインブルドン、英国テニス協会(LTA)との素晴らしい関係を高く評価しており、彼らがイギリス政府の示したガイダンスに直面して下した難しい判断を過小評価していない。しかしながら、これは命令ではなく非公式なガイダンスであり、この決定に同意しつつも、ニュートラルな立場として出場することができるという選手個々に判断を委ねることができたはずだ。影響を受ける選手たちと内部で話し合った結果、我々のこの決定がツアー全体にとってよりよい決定になるという結論になった。今回の問題は、プロテニス界をまとめる統一された管理組織の必要性を再度明らかにした。今後はこのような性質の問題を全体が合意の上で決定できることを願っている。

 また、すでに発表したようにATP500のクイーンズ、ATP250のイーストボーン、イギリス内で開催されるチャレンジャー大会でのランキングポイントは通常通り貸与されることを再度ここに確認する。これらの大会が行われる期間に、ロシア人選手とベラルーシ人選手は他の大会に出場してポイントを得られるという選択肢があるからだ。ウインブルドン期間中はそのような選択肢がないため、今回の措置を取った。ATPのルールを破るようなイギリス協会による制裁は、別の問題としてこれから評価する。

 ロシアによる壊滅的なウクライナ侵攻を非難する我々の考えは明確なままだ。我々はモスクワでのATPツアー大会を即座に中止し、ロシア人選手、ベラルーシ人選手がツアー内で母国を代表することができず、ニュートラルな立場で出場させるという形ですぐに行動を起こした。並行して他のテニス組織とともにウクライナへの人道支援を続け、影響を受けた多くの選手たちを金銭面で直接サポートしている。

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写真◎Getty Images

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