「用具を変えたのが失敗」4回戦でルーネに敗れたチチパス [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の男子シングルス4回戦で、第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)が19歳のオルガ・ルーネ(デンマーク)に5-7 6-3 3-6 4-6で敗れた。
「彼は素晴らしいプレーをした。ベースラインからかなり下がっていたのが失敗だった。リターンをミスし過ぎて、フリーポイントを相手に与え過ぎた。そのような状態では勝つチャンスなど見えてこない。ベースラインの前に入り込んで早めにリターンを打つ方法に変えたら、だいぶ違った。このポジション取りで展開が大きく変わる試合だった」
フィジカルなど、ほかに問題はなかった?
「フィジカルは完璧で何も問題なかった。朝目覚めたときは最高の気分だった。でも、プレー面で自分のリズムが掴めずにいた。コート上でイライラしてナーバスになっていた。自分の変化に気づいていたが、修正できなかった。用具の変化などで感覚が変わることはある。でも、自分の選択だから、そのせいにしたくないし、よりよいプレーをするために選んでいるのだから。そのあとはリターン時のポジションを前にしたことでだいぶよくなった。彼のラスト2回のサービスゲームではかなりプレッシャーをかけることができていた。そしてデーゲームとナイトセッションの間での対処が大事だった。状況に対処するときに集中力が足りなかった。本当に集中できたときにはもう遅すぎた。もう帰って寝るしかない、それくらい遅すぎた」
大会序盤からアップダウンが激しかった。優位に見えるドローが影響した?
「それはまったくない。ドローは見ないし、自分が勝てば対戦するだろう相手をチェックしたりもしない。昨年の自分がよかった状態を取り戻すのに、何が必要かわかっている。簡単ではないけどね。でも、過去の経験があるのだから、決勝までふたたび勝ち上がるために何が必要かはわかっている。クレーコートでの戦いを熟知する強い相手と戦わなければならない。でもメンタル、フィジカル、プレー面の状態はいい」
「練習でいくつか問題があった。少しストレスがあったのは、自分がやろうとしていること、攻めのパターンを完全に理解できていなかったから。少し用具を変えると、頭のどこかにその意識が残ってしまう。昨年素晴らしい結果を残して初めて決勝までいくことができたのに、その用具を変えるべきではなかったのかもしれない。しかし、そこを問題にしたくない。この数週間で自分が望んだ通りの変化が起きて、またプレーがよくなるはずだ」
相手は最後まで冷静に戦っていたが、どこかで崩れるのではないかと予想していた?
「彼は若く、感情を出して戦う。凄く感情的な相手で、何かがいつも気になっているようだった。そう見えた。珍しいタイプだ。でも、その影響で突然プレーがよくなったりもする。彼は感情を出して素晴らしいプレーができる。大事な場面でよりよいプレーをしていたし、勝利に値した。でも次に対戦したときは、違った戦い方ができるはずだ。もっといい試合ができると思う。今日は自分のすべてを出しきれた訳じゃない。力を出しきれなかった。相手の影響ではなく、自滅した。情けないことだ」
彼の感情を前面に出すスタイルに影響を受けて、自分のリズムを失った面もある?
「彼のサービスでかなり後ろからリターンしようとした。彼のサービスはいいが、ジョン・イズナー(アメリカ)程じゃない。でも、メンタル面でかなり影響があった。何本かリターンをミスしたり、浅く返したときに彼はそこに付け込んできた。他のショットもすごくよくなっていった。彼には、何か邪魔されていると感じるようなものはなかったはず。そのようなプレッシャーは対戦相手である僕がかけていかなければならないものだ。それに対して僕は頑固過ぎた。以前はうまくいっていたが、今回はもっと早く柔軟に対応しなければならなかった」
今後数週間のプランは? ポイントを勝ちきろうとするプレー面の変化はウインブルドンを意識している?
「ウインブルドンの前にできるかぎり多くのグラスコートの大会に出場することだ。以前、グラスコートでまったくプレーせずいきなりウインブルドンに出て大失敗した。でも、ジュニアの頃はグラスコートでもいい成績を残している。何も確証はないけど、グラスコートでも自分のプレーは適応できるはず」
ルーネのメンタル面ではなく、技術面はどのように見ている?
「ダウン・ザ・ラインのバックハンドが素晴らしい。正確でライン際に落ちるし、それを継続して打てる。でも精神的に追い込まれることがある。リードされると極端なグリップでフォアハンドを打ちにくる。彼のことは詳しくはわからないけど、思い切り振り回してくる」
用具の問題を詳しく知りたいんだが、ストリングかラケット?
「申し訳ないが、話したくない。次お願いします」
今年クレーコートで敗れた相手はカルロス・アルカラス(スペイン)や今日のルーネ。少し前までは自分が若手だったが、今はその若手に敗れることもある。彼らとの対戦へのモティベーションは高い?
「誰にでもそのときはやってくる。僕は心配していない。自分のテニス、自分のスタイルはよくわかっている。若手は僕のことを追いかけているのだから、ボロボロにやられることもあるだろう。でも、僕も追いかけ続ける。彼らとは今違う立場にいる。僕も彼らを倒したい気持ちで一杯だ。彼らに負けたのだから、早くリベンジするチャンスが欲しい」
写真◎Getty Images
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