今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」（イギリス・ロンドン／本戦6月27日～7月10日／グラスコート）の男子シングルス準決勝で、第9シードのキャメロン・ノリー（イギリス）は第1シードのノバク・ジョコビッチ（セルビア）に6-2 3-6 2-6 4-6で敗れた。

　このウインブルドンまでグランドスラム大会で3回戦を超えたことがなかったノリーだが、ここ1年余りで大きく力を伸ばしてきている。

　初めてのグランドスラム準決勝で敗れたあと、ノリーは「素晴らしい経験だった。このことから大きな自信を得られる。準決勝に、2週目の金曜日に至れるというのはかなり凄いことだ。でも僕は、もっと先を目指したい。このような活躍をもっとして、もう一歩先までいってグランドスラム優勝を狙いたい」と手応えと野望を口にした。

「今週には、僕にとって多くの『初めて』があった。多くのいい経験があった。これを取り込んでさらに進歩できるよう願う。ノバクと比べてみて、任務を遂行するレベルが僕より彼のほうが高かったと思う。彼の集中力のレベル、自分のサービスゲームへの対処の仕方は僕よりも上だった。それが違いだった」と試合後の記者会見でノリーは分析した。

　第1セットをノリーが6-2で取ったときには、彼が初のグランドスラム決勝進出を狙うことは可能であるかに見えていた。しかし案の定、ジョコビッチはそのままでは終わらなかった。

「僕のプレーはまずくなかったと思う。多くのリターンをしたし、サービスではいいスポットを突いていた。前にも言ったように、これは僕のキャリアでもっとも重要な試合だった。僕は大いに走り、多くのボールをコート内に入れた。試合の序盤、彼が少しナーバスになっているように感じた。彼は以前に僕が見てきたときほどいいサービスを打っていなかった。僕はすべてのラリーに勝ち、すべての長いポイントを取っていた。堅固なセットだった」とノリーは第1セットを振り返った。

「勝つチャンスを手にするためには、レベルを上げ続けなければならないことはわかっていた。初めてのグランドスラム準決勝で第1セットを6-2で取るというのはいいスタートだ。でもそれだけでは十分ではなかった」

　昨年のインディアンウェルズで初めてATPマスターズ1000大会のタイトルを獲得したノリーは同年のATPファイナルズにも出場し、ここ1年余りで間違いなくある一線を超えた。

　勝つことを期待されながらセンターコートやナンバー1コートでプレーするのは、決して簡単ではなかったとノリーは語った。

「アンダードッグとして試合に臨み、失うものが何もないというのは常にいいものだ。（今年は）僕がコートに出ていったとき、勝たなくてはいけないという大きなプレッシャーがあった。勝つチャンスはあった。だから僕にとってコートに出ていってセットを取り、試合を決め、神経をすり減らしながら集中力を高めるのは、大変だけどとても楽しかったよ」

　ノリーはまた大会を通して自分を支えた母国のファンに感謝し、「皆が僕を応援してくれた。雰囲気は信じられないほど素晴らしく、特にダビド・ゴファン（ベルギー）に対してサービスゲームをキープして準決勝進出を決めたときはかなり凄かった。クレイジーだったよ」と回顧した。

「すべてはあっという間に起きた。すべてを思い返し、熟考するには時間が必要だ。でも今それについて考えるのは難しい。言うまでもなく、ノックアウトを食らったばかりのところだからね。でも多くの有益なことを学んだよ」