ズベレフが糖尿病患者支援の財団を設立「この病に課される限界などないのだと伝えたい」
自身も子供の頃から糖尿病を患っていたというアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が糖尿病の子供たちを支援し、発展途上国の患者たちに薬を提供するための『アレクサンダー・ズベレフ財団』を設立したとSNSを通して発表した。
SNSに投稿した声明文の中で、「1型糖尿病の子供たちを支え、人々が健康的生活を送ることで2型糖尿病になることを予防できるよう支援する基金が今日正式に発足しました。我々の使命は、発展途上国の子供たちや助けを必要としている人々にインスリンと生命を救う薬を提供することです」とズベレフは述べた。
「自分自身も1型糖尿病患者である僕は糖尿病の子供たちに、他人が何と言おうと決して夢を諦めるべきではないと励ましたいのです」
1型糖尿病とは、膵臓にあるβ細胞の破壊や消失によってインスリン分泌が減少したりなくなることによって起こるもので、食生活などに問題のない子供や若者が患うことが多く、最初からインシュリン投与が必要となる。
一方で2型糖尿病は誤った生活習慣(過食、運動不足、肥満など)によりもともと遺伝的な体質があった者に起こるとされ、中高年に多く発症する。
現在ラファエル・ナダル(スペイン)に対するフレンチ・オープン準決勝で負った足首のケガからの回復に努めているズベレフはフランスの日刊スポーツ新聞『レキップ』のインタビューで基金発足の理由を聞かれたとき、「小さな子供の頃、医師が両親と一緒に僕と面談するたびに『この手の病を患いながら彼(ズベレフ)がハイレベルのスポーツを行える可能性はまったくありません。リクリエーションのテニスはできるでしょうが、選手になるに十分な肉体レベルには至れません』と繰り返し言っていた。現在の僕は、彼らは間違っていたと言えると思う」と微笑みながら答えた。
「この基金を発足したことで、僕は世界中の糖尿病の子供たちとその両親に『この病に課される限界などないのだ』というメッセージを送りたいんだ」
同インタビューの中でズベレフは自分が3歳半のときに糖尿病だと診断されたこと、かつては糖尿病であることを恥ずかしいと思って学校で気まずい思いをし、頻繁にからかわれていたことなどを告白した。
「一度学校で、誰かが僕の血糖値を測る器具とインスリンを盗んだことがあった。僕は結局校舎の外で、めちゃくちゃに壊されたそれらが地面に転がっているのを見つけたんだけど、僕は今でもこの子供時代のトラウマを記憶から消し去ることができていない。悪い思い出はたくさんある。友達の誕生会に呼ばれ、彼らの両親に『あなたは病気だからお菓子を食べる権利はない』と言われてのけ者にされたり…。僕は自分の物語を語ることで、同じ境遇の人々を助けたいんだ」
ズベレフは糖尿病であることが恥ずかしいという気持ちを消すには長い時間がかかり、17~18歳で記者に糖尿病かと尋ねられたときには否定していたという逸話も明かした。
「ツアーでも、例えばトイレなどに隠れてインスリンを打っていた。ガールフレンドにも隠していたよ。でもテニスで成功をおさめ、医師や他人が僕が夢見るのを阻もうとしたのは間違いだったと自分に証明できるようになればなるほど気持が楽になった。そして僕は今、この話をするのは自分の役目だと感じている。だって僕は今、彼ら(医師たち)が言っていたことは間違いだと示して見せられるのだから!」
写真◎Getty Images
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