ウー・イービンがATPツアー史上初の中国人チャンピオンに「僕は母国と故郷のために歴史を作った」 [ダラス・オープン]
ATPツアー公式戦の「ダラス・オープン」(ATP250/アメリカ・テキサス州ダラス/2月6~12日/賞金総額82万2175ドル/室内ハードコート)の男子シングルス決勝で、今大会で破竹の勢いを見せていた世界ランク97位のウー・イービン(中国)が第5シードのジョン・イズナー(アメリカ)を大接戦の末に6-7(4) 7-6(3) 7-6(12)で倒し、ATPツアー史上初の中国人チャンピオンに輝いた。
今週までATPツアーで決勝に進出した中国人選手は存在せず、またトップ10プレーヤーに勝った中国人男子選手もいなかった。準決勝で世界8位で第1シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)を破ったウーは、僅か1週間でこのふたつをやってのけた。
「僕はここで母国と故郷のために歴史を作った。自分自身を非常に誇りに思う。何よりここに応援しにきてくれたすべてのファンと僕のチームにお礼を言いたい。皆さんがいなければ成し遂げることはできなかった」とウーは表彰式のスピーチで語った。
最後までブレークがなかったこの試合で第1セットを先取したイズナーは第2セット6-5からのレシーブゲームでチャンピオンシップポイントを手にしたが、冷静なプレーでピンチを凌いだウーがタイブレークに持ち込んでセットオールに追いついた。
第3セットのタイブレークは交互にマッチポイントを迎える手に汗握る展開となったが、最後はウーの鋭いバックハンドリターンに押されたイズナーのフォアハンドがラインを割って3時間近い激闘に終止符が打たれた。
イズナーは試合を通して44本のサービスエースを決めたが、パワーと正確さを兼ね備えたアグレッシブなストロークにスライスやネットプレーを織り交ぜた多彩なプレーを見せたウーが最終的に5つ目のチャンピオンシップポイントをものにした。
「辛い敗戦だ。マッチポイントがいくつあったかわからないけど、かなり多かったはずだ。何度か自分の勝ちだと思ったよ。スポーツはときに残酷だ。僕は第2セットでもマッチポイントがあったのに…」とイズナーは悔しさを滲ませた。
「彼(ウー)はすべてのポイントを同じようにプレーしているように見えた。緊張した様子はなかったよ。彼は打つべき球がきたら迷わず打つ。彼にとって打ちにくいショットを打つのは難しい。彼は信じられないようなボールストライカーで、非常に優れた才能の持ち主だ」
この大会でサービスエース1本につきイズナー・ファミリー基金に100ドルを寄付すると約束していたイズナーは5試合で138本を決め、ダラスの恵まれない子供たちのために1万3800ドルを集めた。
2017年全米ジュニア優勝者で元ジュニア世界ナンバーワンのウーは一連のケガにより2019年から21年を棒に振っていたこともあり、今週までツアー本戦で3勝しか挙げていなかった。前週のチャレンジャー大会で決勝に進出して中国人男子プレーヤーとして史上2人目のトップ100入りを決めたばかりだったウーは今週の活躍で、大会後に更新されるATPランキングで中国人として歴代トップの58位に浮上することが確実となった。
このあとに行われたダブルス決勝では、第1シードのジェイミー・マレー(イギリス)/マイケル・ビーナス(ニュージーランド)が第2シードのナサニエル・ラモンズ/ジャクソン・ウィズロウ(ともにアメリカ)に1-6 7-6(4) [10-7]で逆転勝利をおさめてタイトルを獲得した。
男子ダブルス優勝のジェイミー・マレー(イギリス/左)とマイケル・ビーナス(ニュージーランド)(Getty Images)
写真◎Getty Images
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