ジョコビッチがケイレンに見舞われたアルカラスを退け決勝へ「彼のファイティングスピリットを称えたい」 [フレンチ・オープン]

写真は試合後に握手を交わすノバク・ジョコビッチ(セルビア/左)とカルロス・アルカラス(スペイン)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月28日~6月11日/クレーコート)の男子シングルス準決勝で、第3シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第1シードのカルロス・アルカラス(スペイン)を6-3 5-7 6-1 6-1で下して2年ぶり3度目の優勝に王手をかけた。

 とは言え第3セット出だしで起きたアルカラスの問題により、“ジョコビッチがアルカラスを倒した”と言うには語弊がある試合となった。まともに走れなくなったアルカラスはそれでも試合を最後まで遂行したが、他の多くの選手なら第3セットで棄権していたことだろう。

 “年代の対決”と銘打たれたふたりの試合は、第2セットまでは期待通りの凌ぎ合いに溢れた熱戦となった。より安定感のあったジョコビッチが第1セットを先取し、レベルを引き上げたアルカラスが相手の抵抗をねじ伏せて第2セットを取り返した。アルカラスは5-3から5-5に追いつかれたが、ブレークポイントを凌いだ末に第2セットのラスト7ポイントを連取して力強いガッツポーズを作った。そしてこれからさらにバトルのレベルが高まることが期待された矢先、第3セットの始めにそれは起きた。

 アルカラスの1-0リードで迎えた第2ゲーム30-30で周り込んでフォアハンドを打った直後にアルカラスが腕と脚を気にするような最初の奇妙な動きを見せ、次のポイントで回り込んで打ったフォアハンドリターンをネットにかけた直後に彼は動けなくなった。

 コート脇で右膝の辺りを押さえながら立ち尽くしたあと足を引きずってベンチに辿り着いたアルカラスは、1ゲームをペナルティで失うことと引き換えにチェンジコートを待たず直ちに医師を呼んだ。治療後にアルカラスは試合を続けたがボールを追って走れないことは明らかであり、その後はもはや勝負にはならなかった。

「何よりもまず、カルロスに『不運だった』と言いたい。言うまでもなくこのレベルでもっと望まないのは、グランドスラム大会の最終段階でケイレンや身体の問題が起きることだ。だから彼の気持ちを察し、残念に思う。彼が回復して直ぐに戻ってこられるよう願っている」とジョコビッチは試合後のオンコートインタビューで語った。

「ネット際で彼に『自分がどれほど若いかわかっているだろう』と言ったんだ。彼の前途にはたくさんの時間がある。だから彼はこの大会に何度も何度も優勝するだろうと僕は確信している。彼は信じられないようなプレーヤーで、ファーターであり非常にいい人間だ。彼はすべての拍手と応援に値する」

 今季初めて激突したアルカラスとジョコビッチはこの試合の最初の2セットだけでなく、今年のATPランキングでも首位の座を獲ったり獲られたりしながら競り合ってきた。

「棄権すべきか彼がやったようにあのまま最後まで試合を続けるべきか、彼にわからないのは明らかだ。最後のポイントまで頑張り続けた彼のファイティングスピリットを称えたい。僕はそのことをとてもリスペクトするよ」とジョコビッチはアルカラスに温かい言葉を送り、賛辞を惜しまなかった。

「第2セットの終盤にかけて、僕たちがお互いにフィジカルの限界に近い状態だったと思う。僕はまったくエネルギーを感じられなかった。かなり拮抗して1セットオールになり、第3セットの序盤に彼のケイレンが起きた。その瞬間からまったく別の試合になってしまった。僕はとにかく集中力を切らさないようにした。彼が苦しんでいるのはわかっていたけど、それについてはあまり過度に考えたくなかった」

 ジョコビッチは決勝で、第22シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を6-3 6-4 6-0で破って勝ち上がった第4シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)と対戦する。ジョコビッチは次の試合で勝てばグランドスラム獲得タイトル数「22」で並ぶラファエル・ナダル(スペイン)を追い抜き男子歴代単独トップに立つと同時に、アルカラスから世界ナンバーワンの座を取り戻すことができる。

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写真◎Getty Images

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