ナダルが13度目の優勝でフェデラーの20タイトルに追いつくことは可能か? [フレンチ・オープン]
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の15日間に渡る本戦が、日曜日からスタートする。
殴るように打ち込む高く跳ねる左利きのフォアハンド、反射的なリターン、コートを隅から隅までカバーする運動能力、底なしのエネルギーとガッツなどなど、ラファエル・ナダル(スペイン)のフレンチ・オープンにおける前代未聞の覇権に貢献している多くの能力の中で他のものよりも際立っている要素がひとつある。ナダルがここ2年のロラン・ギャロス決勝で倒した相手によれば、それば以下の通りだ。
「(ナダルに対しては)例え自分がベストのテニスを3、4時間プレーしたとしても、もしかしたら十分ではないかもしれないと知りながら試合に臨むことになる。そしそれができたら少しは勝つチャンスが生まれるけど、すべてのラリー、すべてのポイントで自分の限界に挑戦しなければならない」と2週間前にUSオープンでグランドスラム初優勝を果たしたドミニク・ティーム(オーストリア)はAP通信に語った。
「このことが、試合に向かうことを難しくするんだ。それがメンタル的な部分だろう」
日曜日にフレンチ・オープン本戦が始まれば、ティームを含む男子のドローに入ってるすべての選手たちは34歳のナダルが歴史を追う中で彼を追いかけることになる。
もしナダルが13回目の栄冠に輝きひとつのメジャー大会の同種目での最多タイトル数の記録を更新することになれば、彼はグランドスラム優勝回数で男子の最多記録を持つロジャー・フェデラー(スイス)の「20」に並ぶことになる。ナダルがフレンチ・オープン以外を制した回数は、USオープンが4回、ウインブルドンが2回、オーストラリアン・オープンが1回だ。
「これまでのフレンチ・オープンの中で、恐らく僕にとってもっとも困難な状況だ」とナダルは金曜日にパリで話した。2020年にはいつもより試合数が不足しており、「スーパースローで重い」新ブランドのボールが採用され、天気予報によると涼しくて雨が多い。
「分かっていると思うけど、僕は戦うためにここにいるんだ。そして可能な限り全力をつぎ込んでプレーするつもりだ」
今季はもうプレーしないことを決めている39歳のフェデラーに追いつく可能性について尋ねられたとき、ナダルは以前にも述べていた気持ちを口にした。グランドスラム大会タイトル数のリストを登ることは、「自分の頭にこびりついて離れない願望ではない」とナダルは明言している。
「君たちがそういうことに多くの注目を注いでいるのは知っている」とナダルは先週のイタリア国際でこの話題が出た際に釘を刺していた。
「もちろん25のタイトルを手にキャリアを終えられたらいいが、そんなことは起こる訳がないことだ。僕はチャンスを作れるように戦い続けるつもりだよ。実際にキャリアを終えるとき、どうなっているか見てみようじゃないか」とナダルはコメントした。
「僕はただ、テニスを楽しみ続けたい。それだけだ。もしいいプレーをしていればチャンスを手にするだろうし、いいプレーができなければ不可能になるだろう。それだけさ」
もちろんこの時代にナダル同様、フェデラーとの差を縮めているテニスの偉人がもうひとりいる。それは世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)だ。彼は直近のグランドスラム7大会のうち5つで優勝してタイトル総数を「17」に伸ばしたが、先のUSオープンでは絶対的優勝候補でありながらコートチェンジの際にカッとなって打ったボールを誤って線審にぶつけたために失格となっていた。
この常軌を逸した年、グランドスラム大会はフレンチ・オープンをもって幕を閉じる。このクレーコートのグランドスラム大会は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのために本来の5月から延期されていた。
「ロラン・ギャロスは最後のグランドスラム大会、今季最後のチャンスだ。我々は皆、誰が優勝候補かは知っている。言うまでもなく、それはナダルだ。そしてキャリア全体を通して彼がそこでやってのけたすべては、恐らく一選手によってコート上で成し遂げられたもっとも印象的な記録だ。彼はここで、1、2回しか負けたことがないのだから」とジョコビッチはライバルに賛辞を送った。「だからこの大会の優勝候補の筆頭は、もちろん彼だよ」。
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