今年最後のグランドスラム大会「USオープン」（アメリカ・ニューヨーク／本戦8月28日～9月10日／ハードコート）の男子シングルス準々決勝で、第3シードのダニール・メドベージェフ（ロシア）がよき友人でもある第8シードのアンドレイ・ルブレフ（ロシア）との同胞対決を6-4 6-3 6-4で制してベスト4に進出した。

　高い湿度を伴う34度の暑さの中で双方の選手がコンディションに苦しめられ、長いラリーのあとには屈み込んで息を荒げた。特にメドベージェフは2度メディカルタイムアウトを取り、第3セットの途中にはテレビカメラの前で「選手がひとり死ぬ」と呟いた。

　一時はリードを許しながらも挽回して2セットを連取したメドベージェフは第3セットも2度先にブレークされたがその都度追いつき、6度のデュースを繰り返した5-4からのレシーブゲームで5度目のマッチポイントをものにして2時間48分で試合を終わらせた。

「過酷だった。このコンディションで唯一よかったのは、両選手ともに苦しんだことだ。お互いに大変だった。多少のアップダウンはあったけど、それは当然のことだ。第1セットの終わりにはボールをまともに見えなくなり、感覚でプレーしていたよ」とメドベージェフは試合後のオンコートインタビューで語った。

「僕は思いきって決めにいこうと思って走ろうとしたけど、彼（ルブレフ）も同じことをした。彼はもう走れないと思って走らせようとしたけど、彼はいつもそこにいた。僕たちは疲れ果てていた。過酷な状況で、勝つのは物凄く大変だった」

　約半分がブレークゲームだったこの試合で、メドベージェフは暑さに苦しみながらもあり安定したストロークを武器に踏ん張り抜いた。一方のルブレフは全米での4度を含めグランドスラム準々決勝で一度も勝てておらず、同ラウンドで9連敗を喫した。

「彼が絶対に諦めないことは知っていたけど、彼も僕が決して諦めないことを知っている。第3セットで彼が2回くらいブレークアップしたとき、僕は冷たいシャワーが待ち遠しくて仕方なかった。冷たいシャワーを浴びると体が固まって動けなくなるか気分がましになるかのどちらかみたいだけど、『気にしてはいられない。どうにでもなれ』という感じだった。何とか行かなくて済んだから、これから行ってくるよ」とメドベージェフは試合後に安堵の笑みを浮かべながら話した。

　8強入りを決めた時点でATPファイナルズ出場権を獲得していたメドベージェフは次のラウンドで、第12シードのアレクサンダー・ズベレフ（ドイツ）を6-3 6-2 6-4で破って勝ち上がった第1シードのカルロス・アルカラス（スペイン）と対戦する。