劣勢を覆した大坂がアザレンカを倒し、フラッシングメドウで2度目の栄冠 [USオープン]

 大坂と彼女のコーチであるウィム・フィセッテ氏――彼はかつてアザレンカを指導していた人物だ――は、コート外での活動が試合での彼女のエネルギーとマインドセットに好影響を与えていると話していた。

 31歳のアザレンカに対するこの勝利で、パンデミックに強いられた休止期間を経てツアーが再開したあとの大坂の戦績は11勝0敗となった。アザレンカは大坂と同じく3度目のメジャー制覇を目指していたが、それは7年半ぶりのものだった。

 前哨戦を制したアザレンカも11連勝を引っ提げて土曜日に至っており、積み重ねた勝利の中にはセレナが追い求めているグランドスラム24勝目の夢を断ち切った準決勝での感動的な3セットマッチもあった。彼女は2012年と13年のオーストラリアン・オープンで優勝し、同じ2年にUSオープン決勝でセレナに敗れていた。

「3度目の正直があると思っていたんだけど」とアザレンカは言った。「私はもう一度トライしないといけないようね」

 彼女は大坂に対して素晴らしいリターンで迅速にブレ―クを果たし、早々にリードを奪った。アザレンカはまた大坂がミスするまでラリーを引き延ばし、実に素晴らしいディフェンス能力と粘り強さを披露した。それに対して大坂は、ここ最近の試合では見せなかったようなミスを連発していたのだ。

 対照的にアザレンカは、すべてのボールを自分の思う場所に打ち込んでいるように見えていた。彼女は素早く最適な形でボールを打つのにふさわしい場所に入り、深いグラウンドストロークをコーナーからコーナーに打ち込んでいった。ポイントは頻繁に大坂のミスで終わり、第1セットはあっという間に6-1でアザレンカの手に落ちた。

 第2セットの序盤でブレークを果たしたアザレンカは、早くも2-0とリードした。問題は『誰が勝つか?』ではなく、『これは1968年のプロ化以降の時代でもっとも一方的なUSオープン女子決勝になるのではないか?』に移行するかに思われ始めていたのだ。

 しかし答えがノーであることを、大坂はそこから迅速に示してみせた。彼女はまずブレークバックして状況をイーブンに持ち込み、アザレンカのミスが次第に増えていったこともあって第2セットで4-3とリードした。

 いかにして大坂は試合を変貌させたかのか。彼女はよりベースライン近くに立ってショットをより早いタイミングで、より力強く打った。アザレンカ自身が第1セットの調子を維持できず、序盤ほどしっかりボールを打ち抜けなくなり始めていたことも影響した。

 これは不安定だった大坂が、安定感を取り戻したことに大きく関係していることは明らかだった。第1セットでの大坂のウィナーはわずか5本に過ぎなかったが第2セットには16本に増加し、第1セットで13本だったアンフォーストエラーは5本に減少していた。

 第3セットで不安定だったのは、アザレンカだった。彼女はダブルフォールトでブレークポイントを献上し、それから17本続いたラリーをフォアハンドのネットミスで終えて1-3と劣勢に立たされた。彼女は抵抗して静かに立ち去りはしなかったが、勝利の女神がほほ笑んだのは大坂のほうだった。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は女子シングルス表彰式での大坂なおみ(日清食品/右から3人目)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 12: Naomi Osaka (3rd R) of Japan holds the trophy and celebrates with her team and boyfriend, rapper YBN Cordae (R), after winning her Women's Singles final match against Victoria Azarenka of Belarus on Day Thirteen of the 2020 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 12, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)

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