土に塗れた12のタイトル----ナダルが12回目のフレンチ・オープン・タイトル獲得

 雨による中断のため2日におよんだ準決勝で世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)をフルセットで倒した25歳のティームは、2018年決勝の再現となったこの試合で初のグランドスラム・タイトルを目指していた。しかし、今回も彼はナダルを乗り越えることはできなかった。ティームは現在、世界4位に位置している。

「最初に言いたいのは、ドミニクへの祝辞だ。彼もまた、ここにいるに値するから申し訳なく思う」とナダルは相手を讃えた。

「彼は信じられないほどの激しさを擁している」

 もちろん、ナダルもそうだった。

 ナダルにとって、ジョコビッチに対してオーストラリアン・オープンでこうむったキャリアでもっとも一方的なグランドスラム決勝での敗戦から優勝なしで至った5月まで、彼の非常に高いスタンダードに照らせば今季はここまで荒れたシーズンだったと言える。これまでもたびたびそうだったのように、問題の元凶は右膝を含めた故障だった。

「連続してあまりに多くの問題を抱えたので、精神的に僕はちょっぴりエネルギーを失ってしまった」と右手の指でこめかみを叩きながらナダルは当時を振り返った。

「継続的に顔を殴られていれば、最後にはダメージを受けるものだ」とナダルはスペイン語で言った。しかし彼は、先月のイタリア国際でクレーコートでのタイトルを獲ることにより、舵を正し始めた。

「ローマで優勝したことは、彼にとって非常に重要だった。彼はあの勝利により、自分がいいレベル、正しい軌道に戻りつつあることに気づいたんだよ」とナダルのコーチで、1998年フレンチ・オープン・チャンピオンのカルロス・モヤ(スペイン)はいう。

「そうして、彼は多くの自信をつけていったんだ」

 ほどなくしてナダルはパリにて、慣れ親しんだポジションに身を置いていた。そう、決勝をプレーし、それに勝つという。

 この決勝は、気温15度程度、軽い風の吹く、曇りの午後に始まった。観客席の赤ん坊の声と、ほかの観客の笑い声で短い間中断された最初のゲームでは、5ポイントのうち3ポイントで少なくとも11ストロークはラリーが続いた。

 そしてそれにより、パターンは設置された。3時間1分を要したこの試合の終わりまでに、10ストローク以上続いたラリーは総じて46回あったのだ。そしてそれぞれが、半分ずつそのポイントを分け合った。

 最初からフィジカル的に非常に激しいしのぎ合いが続いたので、ナダルは汗だくになり、わずか7ゲームのあとにネオンイエローのシャツを取り換えて観客席から冷やかしの声を引き出した。ティームは天候のせいで4日連続でプレーする不運に見舞われていたが、試合の序盤には疲労のサインを見せていなかった。

 実際、12本のストロークによるラリーをフォアハンドの強打で決めて最初のブレークポイントをつかみ、それから20本のラリーをオーバーヘッドで仕留め、最初に一歩先んじたのはティームのほうだったのである。その瞬間、彼は右手を握り締め、ガールフレンドで女子ダブルス優勝者のクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)が拳を突き出して叫んでいるゲストボックスのほうに顔を向けた。

 しかしナダルは、ただちに応戦した。彼は続く4ゲームを連取し、ドロップショットを使いながらブレークを果たして5-3とリードを奪い、それからサーブ&ボレーを織り交ぜながらサービスキープしてセットをつかんだ。

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