第2セット途中からギアチェンジしたセレナがスティーブンスに勝利「ストレートで負けたくないと思った」 [USオープン]

今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の女子シングルス3回戦で22年前にデビュー戦してからもっとも早い敗退の危機に直面していた第3シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、形勢を逆転させて第26シードのスローン・スティーブンス(アメリカ)を押し返した。

 過去のチャンピオン同士の顔合わせとなった地元勢対決で、セレナは2017年優勝者であるスティーブンスを2-6 6-2 6-2で退けた。セレナはグランドスラムのシングルスでここまで獲得した「23」のタイトルのうち6つを、ここニューヨークで勝ち獲っていた。

 観客席の前列で父親の膝の上に座っていたセレナの3歳の娘オリンピアは試合後に、マスクをつけた姿で母親に手を振った。ロッカールームに向かう前、セレナは娘に手を振り返した。

「娘が母の戦っているところを少しは見てくれたよう祈るわ」とセレナはコメントした。

USオープン2020|トーナメント表

 いつものようにセレナはテニス界最高のサービスを駆使し、最高時速196kmで12本のサービスエースを叩き込んだ。彼女の武器であるサービスは、第2セットの途中から調子を上げた。試合の序盤には乱調だったグラウンドスロトークも再調整されて、時間が経つにつれて素晴らしくなっていった。

「彼女のサービスの調子は(試合後半に)ずっとよくなっていた」とスティーブンは振り返った。ふたりがこれ以前に対戦したのは2015年に遡るが、彼女のセレナに対する戦績は1勝6敗となった。

「言うまでもなく、彼女はテニス界で最高のサービスを持つ選手のひとりよ。コースを読むのが本当に難しいわ」

 自らのプレーレベルを上げることでセレナは最後の12ゲーム中10ゲームを取ったが、それは最初は完璧に近かったスティーブンスが次第にミスを犯すようになってきたことにも助けられてのことだった。スティーブンスはミスをしたあと、コーチのカマウ・マレー氏のほうを見るか空っぽのアーサー・アッシュ・スタジアムに響き渡るほど強く自分の右腿を手の平で叩いた。

「あの第1セットで、彼女はどんなミスも犯していなかったと思う。彼女のプレーは本当に研ぎ澄まされていたわ。私は『ストレートで負けたくない!』と思ったの」とセレナはオンコートインタビューで話した。セレナが今大会で4回戦より早く敗れたのは過去に1度だけで、それは彼女がまだ16歳だった1998年大会の3回戦でイリナ・スピルレア(ルーマニア)に敗れたときのことだ。

 あと3週間ほどで39歳となるセレナは試合中、自分に「いいセレナ、とにかく1ゲーム取りなさい。1ゲームを取るのよ」と言い聞かせたのだと明かした。

 言うまでもなく新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのためにファンが観戦を許されていなかったため、その試合はグランドスラム大会のビッグマッチというより練習試合のような雰囲気だった。

 しかし何人かの選手たちはこの試合を観ており、その中には自分のプレーヤースイートのバルコニーでオレンジジュースを飲みながらランチをとっていた第15シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)もいた。彼女にはそうする理由があった。第22シードのアマンダ・アニシモワ(アメリカ)を6-3 6-1で破ったサカーリは、準々決勝進出をかけてこの試合の勝者と対戦することになるからだ。

 そのほかの試合では、第2シードのソフィア・ケニン(アメリカ)、第16シードのエリース・メルテンス(ベルギー)、第20シードのカロリーナ・ムチョバ(チェコ)、前哨戦のウェスタン&サザン・オープンで優勝した元世界ランク1位のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、アリゼ・コルネ(フランス)、ツベタナ・ピロンコバ(ブルガリア)が3回戦を突破した。

 出産を経ての復帰戦に臨んでいるピロンコバが第18シードのドナ・ベキッチ(クロアチア)を6-4 6-1で破り、コルネは7-6(4) 3-2とした時点で第7シードのマディソン・キーズ(アメリカ)が首の故障で棄権したため試合を最後まで終えずして勝ち上がりを決めた。

「不運なことに、首がずれてしまったような感じになった。プレーを続けようと努力したが、時間が経つにつれてどんどん酷くなっていった」とキーズは説明した。

 3年前の決勝でスティーブンスに敗れて準優勝に終わったキーズは、故障が深刻なものだとは考えていないと語った。

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