大坂が18歳の新人相手に苛立ち見せるも試練を克服「受け身になり過ぎた」 [USオープン]

 影がアーサー・アッシュ・スタジアムを横切っていたその午後、137位のコスチュクは大きな驚きを生み出すためのチャンスを手にしていた。カギとなる瞬間は、コスチュクが最終セットでひとつでも取っていれば3-1とリードできていたはずだった5つのブレ―クポイントを掴んだときだった。

 しかし大坂はそのすべてを回避してキープすることで2-2とし、それが彼女の疾走の始まりとなった。彼女はのちに、そこが「ターニングポイントだった」と言った。

「彼女が将来どんなふうになるか、末恐ろしいわ」と大坂は相手を称えた。彼女は前哨戦で痛めた左脚のハムストリングに、しっかりとテーピングを施してプレーしていた。「彼女は恐れ知らずだわ」。

USオープン2020|トーナメント表

 一方でコスチュクの側にも、彼女自身の問題があった。彼女は右足首にテープを巻いてもらうため、2度メディカルタイムアウトを取っていたのだ。

 しかし彼女はその状況の中でもネットに出たときの23ポイント中19本をものにし、長時間に渡ってポイントの結果をコントロールすることができていた。ウクライナのティーンエイジャーは2時間半に及んだこの試合で、36対30と大坂よりも多くのウィナーを生み出してさえいたのだ。

「チャンスがあったのにそれを生かせなかったポイントが本当にたくさんあったと感じている」と大坂は振り返り、ピンチに陥った時間帯で受け身になり過ぎていたことを認めた。

「私がもっとも不満に思ったのは恐らく、自分の下した決断と過剰に受け身になり始めてしまっていた事実だった」と大坂はコメントした。「私は彼女がアンフォーストエラーを犯すことを願ってしまっていたのよ」。

 試合前と試合後に、大坂はジョージア州で武器を持った白人に追われて撃ち殺された黒人男性のアマド・オーブリー氏の名前が書かれたマスクを着けていた。この大会を通してコートに出るたびに、大坂は人種差別の犠牲者にオマージュを捧げるために毎回違ったマスクを身に着けている。

「この死のどれもが、起きるべきではなかった」と大坂は語った。「私は皆に、もっと(こういった人々の)名前を知ってほしいの」。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は大坂なおみ(日清食品)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 04: Naomi Osaka of Japan reacts during her Women's Singles third round match against Marta Kostyuk of the Ukraine on Day Five of the 2020 US Open at USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 04, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Al Bello/Getty Images)

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