コロナ感染の2ヵ月後、ディミトロフが復帰戦で勝利「暗い闇の時間だった」 [ウェスタン&サザン・オープン]

ATPツアー公式戦の「ウェスタン&サザン・オープン」(ATP1000/アメリカ・ニューヨーク/8月22~28日/賞金総額467万4780ドル/ハードコート)の本戦2日目。
 
 新型コロナウイルス(COVID-19)に感染して歩くのもやっとの状態になった2ヵ月後、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)はニューヨークでプロテニスの試合をプレーし――結果はもっとも重要なことではなかったとはいえ――彼はその男子シングルス1回戦で勝利をおさめた。

「僕は自分に、『とにかくトライしてみよう』と言い聞かせた。そして僕は今ここにいて、試合をプレーしている」と29歳のディミトロフはコメントした。彼は現在世界ランク19位で、昨年のUSオープンでは準決勝に進出した。

「正直言って僕はここにいれるだけでもうれしいし、大会に参加できて純粋に感謝している。試合云々は重要じゃない。僕は今、テニスについて話してさえいない」

 彼は今大会とUSオープン双方の開催地であるニューヨークに、試合の1日半前に到着したのだという。にもかかわらず彼はそこで、ユーゴ・アンベール(フランス)を6-3 6-4で倒した。

ウェスタン&サザン・オープン2020|PHOTOアルバム

 6月にセルビアとクロアチアで行われたチャリティ大会に参加したディミトロフは、ザダル大会でプレーしたあとにウイルス検査で陽性と判定された。その大会はノバク・ジョコビッチ(セルビア)が主催し、ソーシャルディスタンスなどコロナ関連の予防措置が取られていなかった。

 ちなみにジョコビッチは日曜日に首の痛みを理由にフィリップ・クライノビッチ(セルビア)とのペアでエントリーしていたダブルス出場を取り消したが、シングルスでは月曜日に試合を行うことになっている。

「(COVID-19から回復後の)最初の週は悲劇的だった。僕はただ歩くことから始めたよ。どんなエクササイズもできなかった。ウェイトを持ち上げることも、テニスをプレーすることもできなかったんだ」とディミトロフは明かし、具合が悪かった間にひどく体重が落ちたと言い添えた。

「本当に暗い闇の時間だった。嘘をつくつもりはないよ」

 そのうちようやく1度に20分の練習ができるようになり、そのあとそれを段階的に増やしていったとディミトロフは説明した。それでも彼はここでツアーに復帰することについて、疑念を抱いていたのだという。同大会はパンデミックによりツアーが休止した3月以来、初となるATPツアー公式戦だった。

 コロナウイルスに感染した彼の経験は、この病気をあまり真剣に受け取っていない人たちに少しばかり警戒を促す役に立つかもしれないとディミトロフは語った。

「僕はただ、ある意味で『それが誰であろうと』『どれほど健康的な食事をとって、肉体的にフィットしていようと』関係ないのだというメッセージを伝えたかったんだ」とディミトロフは訴えた。「この病は、誰にも(そういったことを)尋ねない。僕たちは皆、同等なんだ」。

 第14シードのディミトロフは次のラウンドで、ノルベルト・ゴンボス(スロバキア)との予選勝者同士の対戦を6-3 6-4で制したマートン・フチョビッチ(ハンガリー)と対戦する。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)
NEW YORK, NY - AUGUST 23: Grigor Dimitrov of Bulgaria hits a backhand against Ugo Humbert of France on Day 4 at the 2020 Western & Southern Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 23, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Peter Staples/ATP Tour via Getty Images )

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